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肝臓がんを引き起こす特定の遺伝子メカニズム突き止める


  • 肝臓がんを引き起こす特定の遺伝子メカニズム突き止める
特定の遺伝子が、肝臓がんを引き起こす過程を韓国の研究陣が明らかにし、肝臓がん治療の新たな可能性を提示した。

がんを抑制する遺伝子として知られているヒッポ(HIPPO)が肝臓がん細胞の代謝およびシグナル伝達経路を調節して肝臓がんを誘発するという事実が初めて解明され、肝臓がん患者の予後予測と新しい標的治療剤の開発に大きな助けになることが期待されている。

ソウル峨山病院医生命研究所融合医学科のパク・ユンヨン教授と米国MDアンダーソン病院のイ・ジュソク教授の共同研究チームは、ヒッポ(HIPPO)遺伝子の機能低下により活性化されるYAP/TAZ遺伝子が肝臓がん細胞の代謝を促進するグルタミン移動体SLC7A5/SLC38A1の発現を増加させることを発見したと11日、明らかにした。

また、研究チームは、グルタミン移動体が増加すると、mTORというがんのシグナル伝達経路が活性化されるメカニズムも一緒に発見し、ヒッポ遺伝子により活性化されたYAP/TAZ遺伝子が、最終的に肝臓がんの生成を促進させるという研究結果を得た。

この研究結果は、米国の肝臓学会誌『Hepatology』とがん学会誌の『Clinical Cancer Research』最新号でれぞれ発表された。

これまで、5年の生存率が20~30%水準に過ぎない肝臓がんは、効果的な薬物治療がまだ開発されておらず、特にがんの生成に関連する遺伝子マーカーは、明らかになったことがなく、明確な標的治療剤がないのが実情だ。細胞増殖を防ぎ、死を促進する「ヒッポ(HIPPO)」と呼ばれる遺伝子が、2003年にがん細胞の生成も抑制することが明らかにされたが、発がん過程にどのように作用するのか、特にがん細胞の増殖が速い肝臓がんでどのような役割をするのか明確に究明されていなかった。

研究チームは、まずショウジョウバエで発見されたヒッポ遺伝子の作用原理を人に適用するために、哺乳類が持つ遺伝子のうち、ヒッポに相当するMST1/2をマウスに適用して調節した。ヒッポの哺乳類遺伝子であるMST1/2をマウスで人為的に欠如させて、肝臓がんが自然に生成されるように作り、マウスの遺伝子を分析してMST1/2の活性化に関連する遺伝子のプロファイルを構築した。

これらのマウスの遺伝子プロファイルに基づいて、米国の遺伝子情報データベース(GEO)に登録されている韓国、中国、米国の肝臓がん患者455人のゲノムデータを分析して、MST1/2の活性が高い362人の肝臓がん患者とそうでない93人の患者に区分して、患者の予後を観察した。MST1/2の活性が高い患者の場合、そうでない患者よりも統計学的生存率が有意に高いことが示され、MST1/2、つまりヒッポ遺伝子が人間にも腫瘍抑制効果があり、肝臓がんの生成も減らすことができるという事実を確認することができた。

パク・ユンヨン教授は「今回の研究は、肝臓がんの生成に影響を与えるヒッポ遺伝子と、がん細胞の代謝と調整メカニズムを初めて究明した研究で、肝臓がん患者の予後をMST1/2遺伝子群に基づいて予測が可能であることを示したことに、大きな成果がある」とし、「特にYAP1/TAZ遺伝子とmTORが同時に増加した場合、選択的にラパマイシンを使用する場合は、肝臓がんの生成が抑制されることが確認され、標的治療剤の新たな可能性を提示するものと期待している」と述べた。
  • 毎日経済 イ・ビョンムン医療専門記者 / 写真=photopark.com | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-11-11 11:37:48




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