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LED・OLED超える次世代ディスプレイ素子の開発

ポステックなど韓国研究チーム、太陽電池の素材を利用して成功/既存OLEDより色味良く、価格は10分の1 

国内研究チームが発光ダイオード(LED)と有機発光ダイオード(OLED)の両方を代替できる画期的な次世代ディスプレイ素子の開発に成功した。

ポステック新素材工学科のイ・テウ教授研究チームは、R.H.フレンド英国ケンブリッジ大学教授、イム・サンヒョク慶熙大学教授、光州科学技術院(GIST)のイ・チャンヨルとミョン・ノソン博士、ユ・スンヒョブ韓国科学技術院(KAIST)教授などと共同で「次世代LED」と評価されるペロブスカイト発光素子(PeLED)の開発に成功した。商業化に成功した場合、ディスプレイ市場の版図を揺るがす「ゲーム・チェンジャー」になれる見込みだ。研究成果は4日、世界的な科学誌『サイエンス』に掲載された。

LEDとOLEDは消費電力が低くて発光効率が高く、照明をはじめテレビや携帯電話などの各種家電機器に幅広く使用されているディスプレイだ。OLEDは発光効率がLEDよりも優れているが、発光体材料の価格が高いので汎用化に困難をきたしている。また、色調整の過程が複雑で色純度も低く、自然の色を実感できるように実現するには限界があるのが欠点だ。このため、科学界ではこれまでOLEDの欠点を超える新しいLEDの開発競争が激しく展開されてきた。

イ・テウ教授の研究チームは、太陽電池の素材として使われるペロブスカイトに注目した。ペロブスカイトはこれまでのOLED素材にくらべて材料価格は10分の1に過ぎない。OLEDに比べて色純度ははるかに高く、自然そのままの色味を鮮やかに伝えられることができる。色純度が高いほど、自然そのままの色を実現することができる。このような利点にもかかわらず、ペロブスカイトが持っている特徴のために、LEDとして使用するには発光効率が大きく落ちる問題があった。

研究チームは、ペロブスカイト発光層を均一な薄膜として作ることができないことから発光効率が低下することを把握した。研究チームは「ナノ結晶固定化」と呼ばれる新しい薄膜形成プロセスを開発し、薄膜を均一かつ平らにすることができた。これにより、発光効率を低下させる金属性鉛原子の形成も防ぐことができるようになり、発光効率を向上させることができた。研究チームが開発したPeLEDは発光効率が8.5%で、最高効率が5%である蛍光OLEDを超えた。

イ・テウ教授は3日、毎日経済新聞とのインタビューで「LCDとOLEDに続く、次世代ディスプレイは他にないだろうかと悩んで開発したものがPeLED」だとし「多くのひとがペロブスカイトLEDを作ることは不可能だといったが、次世代LEDはPeLEDという執念を持って研究にしがみついた結果、このような成果を得た」と語った。イ教授は「英国と韓国が現在、PeLED分野を開拓している」とし、「ただし、プロセス技術は韓国が持っているので、韓国が主導権を握ることができる」と語った。イ教授は「英国がこの水準の技術に追いついてくるまでは、少なくとも6カ月から1年はかかる」と強調した。

イ教授は商業化の時点について、「OLEDは開発以来、商業化するのに20年がかかった」とし「PeLEDも時間がかかるかもしれないが、1年間で1%に満たなかった発光効率を8.5%まで飛躍的に引き上げただけに、OLEDよりは商用化の時期をはるかに短縮できるだろう」と語った。
  • 毎日経済 イ・ヨンウク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-12-04 04:01:05




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