A. | ずいぶんと昔、歌手が演技生活をするというのは簡単なことではありませんでした。本当に指で数えることができるくらいでした。 1980年代まではトップスターの3~4人ほどだけがキャスティングされていました。しかも1本か2本ほど出演した後、本業の歌手やミュージカルの方へと戻って行きました。 映画俳優として活動した韓国最初の歌手が誰かははっきりと明らかになっていませんが、70年代に歌謡界で絶大な人気を誇っていたナム・ジンではないかというのが関係者の話です。彼は映画『胸が痛く』『泣くために私が来たのか』などに出演しました。映画『3日の夜、3日の昼に』に顔を出していたナ・フナ、一時期若者の偶像だったチョン・ヨンロクと『夜行列車』で有名な歌手イ・ウンハなどが一時演技者を兼業していた歌手です。 当時、演技者として活躍していた歌手でも、テレビドラマへの出演はなかなかありませんでした。当時は音盤市場の景気が良かったうえに、ナイトクラブの出演など、お金を稼ごうと思えばいくらでも稼げていたため、長時間かけてドラマに出演する必要が無かったのです。放送局も演技力が検証されていない歌手に主人公を任せる考えは、さほどなかったことでしょう。 歌手としての人気を基盤に観客集めに乗り出すという目的で映画企画者がトップ歌手をキャスティングしたと見る方が正しいわけです。もちろん、ドラマにアイドル歌手を主演させる最近も、歌手生活で積んだ人気にあやかろうとする意図があるのでしょう。 とにかく、最近はアイドル歌手が演技者に変身することは決して珍しいことではありません。変身の速度も段々と早くなっています。S.E.Sのユジンの場合も、グループ解体後、ソロとして活動してから演技者に転業しましたが、最近ではデビューと同時に演技を並行したり、最初から歌手と俳優の両方でデビューする芸能人もいるほどです。 一時は、ドラマや映画に出演するアイドル歌手を演技ドル(演技+アイドル)と呼びましたが、あまりにも数が多いため、歌手や俳優という職業を取り除いて、アイドルと呼ぶのが正しいのではないかという気がします。 客談はここまでにして、歌手出身の演技者を紹介します。 ピ(RAIN / チョン・ジフン)=2002年『悪い男』で歌謡界にソロとしてデビュー、スティーブ・ユが去った韓国ソロ歌手の領域を平定した。翌年の2003年に本名で演技者の道に進み、KBSドラマ『サンドゥ、学校へ行こう!』で主演を務めた。2004年にはソン・ヘギョと共演したKBSドラマ『フルハウス』で演技者としてもトップにのぼりつめた。
ク・ボンスン=1994年、22歳という若い歳でファーストアルバム『君だけのために』を引っさげて彗星のように歌謡界に登場した。188センチの長身に小さな顔、スマートな体系で1990年代の中盤、彼の人気はものすごかった。歌手としての人気を基盤にして、1994年MBCドラマ『総合病院』に出演した。俳優と歌手の両面で相当の人気を集めていた当時に軍に入隊した。残念ながら転役後には以前の人気を再び得ることはできていない状態だ。 キム・ドンワン=1998年、6人組男性グループ「神話」のメンバーとして芸能界にデビューした。2000年代の半ばから、映画界に入門、演技者生活も並行しており、現在はミュージカルにも出演中だ。演技者としてデビューしたばかりのころは、演技力がなかなか認められず、演技への進出は失敗だったという評価を受けていたが、アイドルの人気を利用しようとするドラマよりも、作品性のある小さな作品に出演しながら、演技力を育てた。おかげで、2011年に主人公を引き受けたMBC特集ドラマ『絶頂』は、アメリカのヒューストン国際映画祭で特集部門の対象を受賞し、演技力を認められた。その後に出演した『がんばれ、ミスターキム!』と映画『ヨンガシ-変種増殖-』など、興行に成功して演技者としての地位を固めた。 キム・チャンワン=ソウル大農業学科出身のエリートで、兄弟で構成された家族バンドのリーダーとして、実験的な歌詞と独特なサウンドで注目を集めた。1980年代から演技活動を始めたが、演技活動の始めの頃は、暖かくて素朴な市民役を主に引き受けていた。 エリック=キム・ドンワンと一緒に演技生活を並行している神話のメンバー。2004年、MBCドラマ『ブルセ(火の鳥)』の主人公として電撃的にキャスティングされながら演技者としてもものすごい人気を得ることになった。 IU=歌手デビューの直前に演技のレッスンも受けており、歌手デビュー後、3年目にして2011年KBSドラマ『ドリームハイ』に出演して、激しい減量に成功した女子高生役を演じた。IUは昨年放送されたKBS『プロデューサー』に主人公としてキャスティングされ、優れた演技力を見せた。
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