韓国のアイドルグループのファンクラブの話は、まず少女時代のファンクラブ、ソウォン（S♡NE）から始めるのが順序と言えるでしょう。

韓国のガールズグループのファンクラブのうち、不同の1位を固守しており、大規模なボーイグループのファン層とも火力戦を繰り広げるほどなのですから。2、3、5位を合わせたものとほぼ同じくらいの規模を誇るため、他のガールズグループには、まさに越えられない万里の長城のように感じられることでしょう。

S♡NEは少女時代がデビューした翌年に結成されました。ソウォンはSo + Oneで重複する2つのOをハート（♡）で表現したものです。少女時代はひとつだ、少女時代とファンはひとつだという意味だそうです。ファンクラブは所属事務所であるSMエンターテイメントが設立しました。少女時代デビュー1周年記念のファンミーティングでファンクラブの名前が発表されました。それまで、ダウムやネイバーのカフェ、DCインサイドの少女時代ギャラリーでファンたちが活動をしてきていましたが、公式ファンクラブはSMエンターテイメントが直接組織したものです。今でもファンクラブの運営はSMエンターテイメントが行っています。

だからなのでしょうか。ガールズグループのファンは忠誠心が低く、事件が発生したりすると、がらがらと崩れてしまうのですが、ソウォンの会員は決して減りません。

メインボーカルを務めたジェシカが脱退して、最年少のソヒョンもいつの間にか26歳になったため、少女コンセプトを続けて行くことが難しくなったにも関わらずです。

△写真=ジェシカの脱退で8人体制となった少女時代。堅く応援してくれるファンがいるから、少女たちはしっかり立っていられる。昨年8月に発表した正規5集『Lion Heart』のジャケット写真。[写真＝少女時代の公式ホームページ]

昨年、久しぶりに韓国をメインに活動し、8人体制でも成功裏に一年を終えることができたのは、結局、ファンクラブの支えがあったおかげだったことでしょう。少女時代のファン層は男性アイドルグループとは異なる点があります。

それがまさに、おじさんファンの存在です。少女時代が登場する前のアイドルのファン層の主軸は10代でした。年齢の高いファンはほとんどが女性でした。ところが、少女たちにすっかりはまってしまった30代以上のおじさんがアイドルグループのファンクラブに加入したのです。このことがどれくらいすごい事だったのかは、2009年当時、少女時代とおじさんファンを扱ったドキュメンタリーが結構頻繁に放映されていたことからも確認することができます。

少女時代には、国民ガールグループなど、いくつかのタイトルがついているのですが、そのうちの一つが元祖軍大統領というニックネームです。軍大統領とは、大韓民国60万将兵に最も愛される女性歌手という意味です。そして、軍から除隊したおにいさん、おじさんたちがどこへ行くのかというと、そのまま少女時代のファンとして復帰するわけです。

30代以上のおじさんの財布は10代の若い学生とは厚さが違います。もちろん、少女時代だけを見つめてショッピングをするわけにもいけず、生業にも気を使わなければならないため、ついつい忘れて音源やアルバムを買う時期が遅れる場合がなくはありませんが、決定的な瞬間には威力を発揮します。

お金を出して投票するゴールデンディスク、ソウル歌謡大賞などの人気賞部門で少女時代の威勢は本当にすごいんです。

だからといって女性ファンがいないかというと、そうでもありません。ヨドク（여덕、女性オタク）と呼ばれる多くのおねえさんファンがいます。男性アイドルグループの女性ファンは、熱く燃える若手グループが登場すると、乗り換える場合が多いのですが、ソドク（少女時代のオタク）は完全に杭を打ち込んでしまったようです。

芸能界の分析では、少女時代だけを見つめるファンの性比は約5対5で、絶妙なバランスが保たれているそうです。コンサートでも体感比が約半分ずつだそうです。ファンがまんべんなく混ざっていて、ある程度年齢の高いファンも多いため、熱愛説やジェシカの脱退などの悪材料が出てきても、黙々と応援してあげる素敵な姿を見せます。


男性と女性の比率が半分ずつといっても、それでも男性ファンの数が他のグループに比べると圧倒的に多いため、男性利用客が多い主要なコミュニティはソドクが掌握してしまった状態です。特に韓国最大のコミュニティーサイトであるDCインサイドは代表がS♡NEであることから、ものすごい威勢です。

ファンの期待に応えて少女時代が9年目トップの座を守っていることから、ファンは少女時代のファンという自負心を持っているそうです。

少女時代のファンだと自ら認めた歌手や俳優、スポーツスターがあまりに多く、いちいち取り上げることができないほどです。あえて何人かを挙げるなら、韓国のプロ野球チーム、KIAタイガースのエース投手であるヤン・ヒョンジョンがテヒョンのことを好きなことで有名です。2009年シーズンには記者に頼んでテヨンのサインを受け取ったのですが、テヨンはサインをしながら「ぜひ10勝してください」と書きました。

ところが、嘘のように、ヤン・ヒョンジョンが10勝を収め、ついにはKIAタイガースが韓国シリーズで優勝したのですが、ヤン・ヒョンジョンは「優勝はテヨンおかげだ」という発言までしました。

もうひとり例を挙げるなら『オールドボーイ』に出演していた俳優チェ・ミンシクが非常に有名なソドクです。少女時代が広告していた時代にビタ500という飲み物を飲んで、『GENIE』のミュージックビデオを見ていたほどの熱狂的なおじさんファンです。

このようなファンたちの愛に感謝するように、少女時代のメンバーたちは、「私はソウォンのファン」と明らかにしています。テヨンはインスタグラムに「ソシバボ（少女時代しか知らない馬鹿）」という言葉を残したりもしました。

少女時代の公式カラーはパステルローズハートです。公式ペンライトを別途作成したのですが、ピンクがあまりにも目によくつくため、主にこれを利用するといいます。 S♡NEのスローガンは、「チソアプソヨンソ（지소앞소영소）」。今は少女時代、これからも少女時代、永遠に少女時代（지금은 소녀시대, 앞으로도 소녀시대, 영원히 소녀시대）の略です。

▶ 韓国アイドルグループのファンクラブシリーズ
・韓国アイドルグループのファンクラブシリーズ（1）- どのように作られるのか
・韓国アイドルグループのファンクラブシリーズ（2）- 少女時代の場合
・韓国アイドルグループのファンクラブシリーズ（3）- BIGBANGの場合
・韓国アイドルグループのファンクラブシリーズ（4）- Apinkの場合
・韓国アイドルグループのファンクラブシリーズ（5）- Girl's Dayの場合
・韓国アイドルグループのファンクラブシリーズ（6）- 各女性アイドルグループのファンカフェURLと会員数まとめ
・韓国アイドルグループのファンクラブシリーズ（7）- 防弾少年団の場合
・韓国アイドルグループのファンクラブシリーズ（8）- EXOの場合
・韓国アイドルグループのファンクラブシリーズ（9）- 各男性アイドルグループのファンカフェURLと会員数まとめ