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数字経済 > 企業 > 経口剤の代わりにパッチや自宅で注射 韓国製薬業界、剤形変更で競争
「ドネペジル(Donepezil)」は2020年、韓国国内の認知症治療薬の売上高約2900億ウォンのうち80%を占めるほど広く処方される成分だ。ただ、経口剤の服用において問題が多かった。健康な一般人が服用しても腹痛・嘔吐などの副作用が多かった。保護者も大変だった。薬を飲み込みにくい高齢の認知症患者の服用を毎日助けなければならなかったからだ。この過程が煩わしく、経口剤を粉砕して患者の食事に入れ服用させたという保護者の事例もあった。
昨年11月、食品医薬品安全処の許可を獲得したアイキュアのドネペジルパッチ剤「ドネリオンパッチ」は、このような問題を補完するために開発された。3~4日に一度肌につけるだけで十分なほど利便性を高めた。経口治療薬に比べて投薬効能の差も微々たるものだというのがアイキュア側の説明だ。
このように医薬品の剤形を変更する試みが国内製薬・バイオ業界で相次いで出ている。最大限患者に優しい剤形に変えて他の製品との差別化を試みるという戦略だ。
3日、業界によると韓国バイオ企業のアイキュアはセルトリオンと共同開発した世界初のドネペジル成分認知症パッチ剤「ドネリオンパッチ」を早ければ第3四半期から販売する。
アイキュアの関係者は「海外製薬会社のノバルティスが開発したリバスチグミン成分の認知症パッチ剤は毎日付着しなければならないが、発売から2年後に同じ成分の経口治療薬を50%代替した前例がある」とし「付着回数がさらに少ないドネリオンパッチは、これより早く経口剤を代替できるだろう」と見通した。
セルトリオンとサムスンバイオエピスなどバイオシミラーの先頭走者たちは「SC剤形(皮下注射)」を自社製品に適用しヨーロッパ市場の占有率を拡大している。平均2時間の投与が必要な「IV剤形(静脈注射)」とは異なりSC剤形は5分前後で投薬が終わる。専門医療スタッフなしで自宅で自ら投与することもできるため、あえて医療機関を訪問しなくてもいい。
セルトリオンは自己免疫疾患治療剤レミケードのバイオシミラーの中で世界で初めてSC剤形を導入した「ラムシマSC」を販売している。セルトリオンヘルスケアの関係者は「品目別売上を公開するのは難しいが、ヨーロッパ市場の占有率は毎年持続的に上がっている」と明らかにした。
サムスンバイオオフィスのバイオシミラー製品の中でSC剤形が適用されたリウマチ関節炎治療剤「ベネパリ」と自己免疫疾患治療剤「イムラルディ」も売上上昇の勢いを続けている。特に両製品はSC剤形をさらにアップグレードした「オートインジェクターSC剤形」が適用された。オートインジェクターは薬物を注入する皮膚部位に注射の先端部分が触れるだけで薬物が自動注入される剤形で従来のSC剤形からさらに一歩進んだ形だ。
サムスンバイオオフィスによると昨年、両製品の欧州市場での売上は7億3170万ドル(約8700億ウォン)で前年比3000万ドル(約380億ウォン)増加した。
HKイノエンは国産新薬1号「Kキャップ(胃食道逆流疾患経口剤)」を保有している。同社も伝統的な経口治療薬の剤形に変化を与え、市場占有率1位の座を強固にするという構想だ。1日に発売されたKキャップ「口腔内崩壊錠」は見た目は錠剤のように見えるが、口に入れれば水がなくても自然に溶ける剤形だ。錠剤を飲み込むのが難しい「経口剤死角地帯」患者に以前にはなかった新しい代案ができるのだ。
GC緑十字は高脂血症・高血圧治療剤市場に3剤複合剤を2日、発売した。血中コレステロール値を下げる「ロスバスタチン」と「エゼチミブ」、血圧を下げる「テルミサルタン」成分を一粒に入れた3剤複合剤だ。既存の医師の所見によって2、3種類の成分の薬を同時に処方される場合があったが、3剤複合剤があれば個別の薬をいちいち服用する必要がなくなるからだ。その他、JW中外製薬も高脂血症2剤複合剤を昨年9月に発売し同年第4四半期の売上31億ウォンを記録するなど好実績を続けている。