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アップルが韓国の消費者を無視?…韓国のアプリマーケット事情

1万ウォンのアプリがアップルでは1万2600ウォン…なぜ? 

  • アップルが韓国の消費者を無視?…韓国のアプリマーケット事情
  • < 韓国内のアプリマーケットの市場シェア / AppleとGoogleのアプリマーケットの価格差 >

キム・スンヒさん(35)は去る6日、スマートフォンに英国製ゲームの「モニュメントバレー」を、AppleのApp Store(アプリケーションストア)からダウンロードした。価格は4.39ドルだが、為替レート(ドル=1160ウォン)が適用されて実際の購入価格は5092ウォンだった。一方、キムさんの友人はこのゲームを4000ウォンで購入した。同じゲームアプリなのになぜ価格が違ったのだろうか。

キムさんはiPhoneユーザーで、友達はAndroidフォンを使うのがその理由だった。この事実を知ってキムさんは「ぼられた気分」を感じた。不愉快な経験は今回が初めてではなかった。カカオフレンズの絵文字「ムジ&コン スペシャルエディション」を買った時もそうだった。 AppleのApp Storeで2.19ドル(約2540ウォン)で買った同じ絵文字を、Googleのプレイストアでは2000ウォンで売っていた。キムさんは「iPhoneはAppleのApp Storeのみ許可するため、価格が気に入らなくても他に選択権がない」とし、「ホゲン(だまされやすい顧客)になった気分」だと怒りを爆発させた。

AppleのApp Storeの価格政策が議論をもたらしている。同じ製品がAppleのApp Storeでは他のアプリマーケットよりも高いからだ。ドル決済のみが許容されて決済手段が制限されるなど、閉鎖的な決済システムも消費者の便益を阻害しているという指摘だ。

韓国の無線インターネット産業連合会によると、AppleのApp Storeは国内のアプリマーケットのコンテンツの売上げで34.9%を占める第2位のマーケットだ。 1位はGoogleのプレイストア(51.7%)だ。 GoogleのプレイストアとアップルのApp Storeは、基本的にオペレーティングシステム(OS)が異なる。 Googleのプレイストアは、Googleが作成したオペレーティングシステムであるAndroid上で動作して、AppleのApp StoreはアップルのiOSで動作する。

価格政策も違う。 Googleのプレイストアは開発者が商品価格をウォンで自由に設定することができる。一方、AppleのApp Storeは全世界150カ国以上で、アップルが考案した決済基本単位である「ティア」を使用する。 1ティアは0.99ドル、2ティア1.99ドル、3ティアは2.99ドルという式で、価格を1ドルずつゾーニングしたものだ。

国内のApp Storeもこの基準に従う。さらにここに昨年7月、アプリマーケット事業者は国内で販売されている海外アプリ付加価値税(VAT)を代わりに支払うように税法が改正され、国内のティアの基準が約10%ずつ引き上げられた。このため国内のApp Storeでの1ティアは1.09ドルだ。

問題は商品価格がティアと合わない時だ。例えば商品定価が1500ウォンの場合は2ティア(2.19ドル/約1276ウォン)であるために、意図とは異なり700ウォンを引き上げているわけだ。カカオトークの絵文字価格が、GoogleとAppleのあいだで差がある理由だ。カカオの関係者は、「もともとムジ&コン スペシャルエディションの価格は1.49ドル(1749ウォン)に策定した」とし、「アップルに対応する価格帯がなく、2ティア(2.19ドル)に合わせたことから価格が上がった」と説明した。 Googleのプレイストアをはじめとする他のマーケットにはこのような単位がなく、自由に価格を設定することができる。最終的に、消費者はAppleの一方的な制度のために不必要な料金の値上げを経験するということだ。アップルコリア側は、「ティア制度は本社の方針で、具体的な理由は分からない」とした。

しかし、Appleは韓国とは異なり一部の国では代替ティアの単位を提供して、価格の選択権を与えている。中国・インド・英国・メキシコ・インドネシアには代替ティアを提供する。例えば中国の1ティアは6元(約0.93ドル)だが、Appleは中国に1元(0.15ドル)建ての代替ティアA、3元(0.46ドル)建ての代替ティアBを提供する。中国のアプリ開発者は価格選択権をより多く持つことになる。

ティアの単位がドルである点も、消費者の立場からは負担だ。最近のように為替レートが上昇したときは、国内のiPhone利用者は本意ではなくより多くを支払うことになる。ウォンでの決済が可能なGoogleのプレイストアと異なる点だ。

アップルはそれぞれの国の通貨で決済すれば、App Storeの課金システムの統合性が壊れると主張している。 App Storeがサービスされている150以上の国で、それぞれの支払い単位を異にするのは現実的に難しいという説明だ。しかし、Appleは欧州連合(EU)ユーロ、英国ポンド、日本円、中国元の支払いは可能にしている。ウォンでの決済が不可能だという主張は説得力が落ちる。

パク・チホ経済正義実践市民連合幹事は、「中国や英国などの自国通貨で決済する国があるということは、韓国もウォン決済が可能だという話」だとし、「アップルが韓国の消費者を無視する処置」だと指摘した。ソン・ヨンシン漢陽大教授は、「消費者の不便が明らかに見えていても、Appleは本社の政策として改善の可能性じたいを遮断している」とし、「消費者が望むサービスを提供することが企業の優先責務だ。アップルの態度は企業責務を見捨てる行動だ」と指摘した。
  • 毎日経済_イ・ソンヒ記者/オ・チャンジョン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2016-04-07 20:11:47




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