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数字経済 > マーケット > 済州ビールに江陵ビール…地域の特色を生かしたクラフトビールの売上が好調
「韓国のビールは不味い」という認識が変化している。小規模の醸造所を中心にビール本来の味を生かしたクラフトビールが続々と登場しているからだ。特に最近では「ローカルビール」が新たなトレンドとして注目されている。地域の特色を反映した材料を使用したり、地域が持っているイメージをビールの味で表現して、一般的なクラフトビールとの差別化を図っているのだ。
代表的なのがまさに済州島の翰林邑(ハンリムウプ)の醸造所で作っている「JEJU WIT ALE」だ。先月、済州島内の韓国料理店や酒屋を中心に販売が開始された。世界的なクラフトビールブランドのBrooklyn Breweryがアジアで初めて姉妹会社である「済州ビール」を正式に開始して、本格的に生産した製品だ。
最大の特徴は済州島の特産物であるミカンの皮を材料として使用している点。有機栽培の済州みかんの皮を醸造過程で使用したもので、ビールにほのかな柑橘系の香りが漂う。ビールや食べ物のペアリング概念を確立した世界的なブリューマスター(醸造家)であるGarrett Oliverがレシピを作り、黒豚焼き、サバの刺身、ブリの刺身など重たい味が生きている済州の郷土料理との相性を合わせた。一般の消費者が参加できる醸造所ツアーのプログラムもあり、ビールの製造工程を直接見学した後、新鮮なビールを味わうことができる。
江原道の江陵にある「Budnamu Brewery」も特色あるローカルビールとして名前が知られているところだ。過去にマッコリを作っていた醸造所を改造して伝統酒の製造方法を応用してビールを作る。江陵道の沙川面美老里(ミノリ)で生産した米で作った「Minori Session」がシグネチャビールだ。コメを活用したビールは通常、渋味が強くなることを防ぐために米の含有量を20%ほどに保つが「Minori Session」はこれを40%まで高めながらも柔らかくすっきりとした味を持つのが特徴だ。江陵で育つ松の葉を使って作られた「Pine City Pale Pale」も人気のある商品だ。
京畿道の南楊州市(ナミャンジュシ)「The Hand and Malt Brewery」は韓国最高水準のクラフトビールの醸造所として定評のあるところだ。人気のビールはシトラスアロマの香りが特徴的な「SLOW IPA」だ。農場で栽培したホップを入れてクラフトビールを作る点がポイント。通常、ビールのホップは生産が難しくて輸入に依存している場合が多いが、韓国の土地で育てたホップを使っている点から名実共にローカルビールと言える。
忠清北道堤川の「Bank Creek Brewery」も近くの鳳陽邑ソルティ村の住民と一緒にホップを栽培して、ビールの材料として使う。代表的なビールは大麦の香りにスパイシーな味をよく生かした「Salt blonde ale」だ。
大型マートやコンビニなどでもクラフトビールの醸造所と手を組んで地域名を冠したビールを披露している。ホームプラスは先月から「Korea craft brewery」の「西氷庫ビール」の販売に乗り出した。国内で初えてベルギーのWestmalle修道院の「Tripel Ale」スタイルで作られたビールだ。国産ビールの中では最も高い8.5%の度数、どっしりとしたボディ感が特徴だ。昨年10月の「江西ビール」、今年3月の「達西ビール」、6月の「海雲台ビール」に続く4番目の地域ビールシリーズだ。 CUはSevenbrauと手を組んで「江西ビール」「達西ビール」に続き、先月「全羅ビール」の販売を開始した。
しっかりとしたアイデンティティを持つローカルビールの登場により、クラフトビールの人気はさらに高まる傾向にある。
業界によると昨年基準で国内のクラフトビール市場規模は200億ウォンほどと推定されている。約2兆700億ウォン規模の全体のビール市場の1%ほどで、成長余力が大きいという評価だ。特に先月、政府が小規模醸造所のビールの小売店流通を可能にし、醸造施設基準を緩和する税法改正案を発表して、地域の醸造事業の活性化に乗り出した。
業界関係者は「ローカルビールの開発は雇用創出、観光産業との連携など、地域経済の活性化とも密接な関係がある」とし「地域別に特色あるビール文化が発達した外国のように、国内でも様々なローカルビールのブランドが誕生する環境をつくるべきだ」と話した。