Q.韓国の児童虐待の実態について教えてください。(1)

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A. 最近では事情が少し変わりましたが、1990年代までは家族全員が米国に移民した韓国家庭では思いがけず親が警察に捕まるケースが多かったそうです。

その頃、親に体罰を受けずに育った子はほとんどいませんでした。もちろん、ほとんどは過ちを犯したり、学校の成績が悪かったり、またはご飯を食べずに不平を言うなどの理由があったりしました。しかし、中には子どもの性格や癖を直すという理由で常習的に罰を与える親もいました。

せっかちな父親はむちを見つける前に、先に手をあげがちになります。平手打ちをする程度なら弱いほうです。拳で殴って蹴る非道な父親も多くいました。

このような親の行動が韓国ではしつけという美名で親の権利とされていたわけで、周辺に止めに入る人も、警察に通報する人もいませんでしたが、米国では通用しなかったわけです。親の叩く音、子どもの泣き声が聞こえれば近所の人が申告をするため、警察に捕まったのです。ひどい場合には親権を喪失し、子どもが児童養護施設に預けられた場合もあったそうです。

子どもが体罰を受けない権利? 少し前まで児童虐待に対する概念自体がぼやけていました。「かわいい子にはもう一発むちを打つ」という言葉が児童暴力に正当性を提供していました。

ところがです。筆者の記憶では1980年代までは両親が一緒に子どもを叱る姿はあまり見ませんでした。父親が厳しいと母親がかばい、母親がむちを手にすれば、父親が止めに入る光景が一般的でした。

ところが、最近では虐待を受ける子どもを見ると、両親ともに叱っているようなのです。片方の親が継父や継母だったりしない、生みの親のもとで育つ子どもも同様です。親のどちらか一方だけでも子どもをかばっていたなら、極端な児童虐待は起こらないことでしょう。

韓国で児童虐待が社会的に問題になった最初の事例は、おそらく1998年4月に起きた「ヨンフン姉弟」事件であるはずです。この事件は、SBS『それが知りたい』を介してテレビで放送されて全国民に知られることになりました。

子どもたちが父親と継母に虐待を受けて乞食のように暮らしていることを見て見ぬふりできなかった近所の住民が放送局に情報提供をしたことが、真相が明らかになったきっかけでした。

姉の姿が見えず、幼い男の子だけが見えるという情報提供を受けて、放送関係者が児童専門家と一緒に家を訪問したところ、継母は平然と「子どもが奇妙な行動をとるので叱っていた」と返事をしました。「男の子の姉はどこにいるのか」と行方を追及したところ、最初は親戚の家に送ったと言い逃れをしましたが、追及の末に前庭に埋めたと父親が告白しました。

事件発生当時、6歳だったヨンフンは年齢にしては信じられないほど栄養状態が悪かったうえ、背中にはアイロンによる火傷跡が残っていて、足の甲も鉄箸で刺されて腫れた状態でした。胃液が残っていない状態だったのですが、ヨンフンを診察した医師は、約2週間程度何も食べていないようだと診断しました。ヨンフンの姉も遺体を発掘して調べた結果、死因は餓死、簡単に言って飢え死にしたという検死の結果が出てきました。

継母だけでなく、父親がどうしてこんなに残酷になれたのでしょうか。自分の実の子どもを飢えさせて殺すだなんて。父親と継母は法廷で15年の刑を宣告されましたが、ヨンフンの暮らしも平穏ではありませんでした。親の行動を踏襲するかのように暴力的な性向が顕著で、このために委託家庭から2回も見捨てられる経験をすることになります。

ヨンフンの事例を見ると「児童に対する暴力が消えるだけで、凶悪犯罪のほとんどを防ぐことができる。ほとんどの凶悪犯は児童虐待の経験により心が枯れていることが原因」という言葉が正しく聞こえたりします。

ヨンフン姉弟の事件は有名無実だった児童保護法を改正する契機になりました。以後、2013年に蔚山と漆谷で児童虐待殺人事件が相次いで起きながら、全国で取り上げられ、児童虐待特例法が制定されて、昨年には親に虐待されていた11歳の少女が父親と同居中にマンションのガス配管を伝って脱出して、やっと救助される事件が起きました。

少女は発見当時、体重が4歳の子どもの平均多重である16キロに過ぎず、どれだけひどい虐待を受けたのか簡単に推測することができます。

韓国の児童虐待件数は毎年増加傾向を見せます。本当に歓迎できない数値です。韓国刑事政策研究院が分析した資料を見ると、2004年から2013年までに全国の児童保護専門機関に申告された児童虐待の事故件数は9万5622件に達し、うち半分を超える5万5484件が児童虐待判定を受けました。1日に平均15.2件が発生しているので、今もどこかで子どもが虐待されているのかもしれません。2014年には一年間に児童虐待と判定された件数が1万件を超えました。

もちろん、急に児童虐待が増えていると断定することはできません。児童虐待に対する認識の変化により通報も増えて、判定基準が強化された側面もあるでしょう。だとしても、2011年以降、継続的な児童虐待の増加傾向は、韓国社会が病んでいることを代弁する側面もあります。

最終的には警察と裁判所が乗り出しました。警察は児童虐待を担当捜査する組織を新設し、裁判所も担当裁判部を形成しました。司法機関と捜査当局のこのような措置を見て安心するべきでしょうか。さらに、警察は虐待担当捜査人員を来年までに1000人レベルに拡大するとしましたが、捜査当局が児童虐待がさらに増えるものと見ているようで、憂うつな気持ちになります。

次回は父母が子どもを虐待する理由について説明します。

  • < 児童虐待申告と保護の現状 >



※この記事は「韓国の児童虐待の実態について教えてください。(2)」へ続きます。
  • Lim, Chul
  • 入力 2016-02-23 00:00:00

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