A. | ※この記事は「韓国の自殺率はなぜ高いのでしょうか?(1)」の続きです。 巫女は神にお願いをして永遠の命を約束してもらいました。 しかし、若さを要求しなかったため、老いることはどうしようもない運命でした。老けて縮んだ体で巫女は生活を続けましたが、ある日、巫女は甕(カメ)の中に自らを閉じ込めます。 「私は死にたい」 永遠の命ではなく、1日を耐え抜くことが難しい韓国人はこの言葉を繰り返します。 「私は死にたい」 春が始まる3~4月、年中で最も多くの韓国人が命を絶ちます。 『荒地』を書いた詩人T.S.Eliotは「4月は死んだ土地からライラックが育って、思い出と欲情を混ぜて、眠っている根を春雨で覚醒させる」と歌いましたが、一歩遅れて発見された冷たい遺体には、悲痛な記憶だけが宿っており、春の欲情などは毫も見当たりません。なぜ新しい春に数多くの韓国人が生きることを諦めるのでしょうか。 韓国の自殺率は、2011年に人口10万人当たり31.7人と少し減ったものの、まだ1日平均37.9人(2014年)が自ら命を絶ちます。OECD(経済協力開発機構)諸国の中で圧倒的な1位です。本当に恥ずべき数値です。 70代の高齢層では57.6人、80歳以上へと年齢を上げると78.6人にもなります。高齢層に比べると少ないものの、10代の若者も10万人当たり4.5人と、人口を増やそうと様々な浮揚策を使うことだけが能ではないという考えが自然に浮かびます。 経済が成長して、医療技術が良くなり、乳児死亡率は出生児1000人当たり3.0人と、OECD平均4.1人よりもはるかに少ないのに、美しい花を咲かせる前にこの世を去っていく若者がそれだけ多いということです。 実際に、自殺を考えてから行動に移す10代の数が想像以上に多いのです。2014年、疾病管理本部が全国の青少年7万2060人を対象に実施したアンケート調査で13%に達する9438人が「自殺を考えてみた」と答えました。 このうち、74%である6983人が普段からストレスにより苦しんでいると打ち明け、1年間で自殺を試みた青少年も1812人になりました。 自殺を決心すると、誰も止めることはできません。決心する前に気持ちに変化を与える必要があります。しかし、自殺を考えるほど深い悩みがあっても、周辺に話を打ち明ける人を見つけることは困難です。 自殺を考えたことのある学生のうち、家族から慰めを受ける青少年は24.9%、学校の先生から勇気をもらう若者は2.6%に過ぎません。40.4%と、最も多くの学生が慰めを受けたり頼る対象を友人だと答えています。 学校の先生も、親も、友達もいない高齢者は、誰から人生に対する勇気をもらうのでしょうか。誰もいません。韓国社会はこれを「個人の選択」だからと責任を押し付けます。毎年、交通事故を防ぐために数兆ウォンの予算を使いますが、自殺を防ぐために使うお金はわずか10億ウォン余りです。 捨てられたという気持ちが自然に沸きます。何の楽しみもなく憂鬱なことばかりの世界、酒に頼って延命をしながら衝動的に人生を終えても、それを彼の選択だからと感じてしまう以上、韓国の自殺率が大幅に低くなる可能性はあまりないように思います。 幸いなことに忠清南道と公州市など、一部の自治体では、自殺は個人だけの問題ではなく、社会環境のせいでもあるとし、自殺予防に乗り出しています。全国平均より1.4倍も自殺率が高いことが、このような対策を講じた背景です。 ※この記事は「韓国の自殺率はなぜ高いのでしょうか?(3)」へ続きます。 |