Q.韓国では義理の兄弟同士が結婚すること(キョプサドン)が禁止されていますか。

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A. アジアでは珍しく、パク・クネ大統領が女性として総帥権を持ち話題となりましたが、韓半島(朝鮮半島)に初めて登場した女性の指導者は新羅の善德女王です。

ところが、善德女王の家系を見ると、とても複雑です。善德女王の姉の天明公主は龍樹公のもとへと嫁いだのですが、龍樹公が死ぬと弟の龍春公に引き継がれました。妻だけでなく、子どもの春秋(後の太宗大王)まで一緒についていきました。

天明の姉妹だった天花公主はお嫁に3回も行きます。もともとは龍樹公の妻でしたが、龍樹が天明を娶りながら龍春に嫁に行きます。その後、龍春が天明を妻として迎えた後には一緒に暮らしていましたが、善德女王が即位しながら龍春を自身の父親にしたため、再び白龍公のもとへと嫁ぎます。女性の人生として、良い事なのか、どうなのかよくわかりませんね。公主(姫)が何か物のようにも感じられます。

とにかく、韓国では昔、兄が死ねばその弟が兄嫁を迎える風習がありました。「兄死妻嫂」という言葉まであります。貧しい3兄弟がお金を集めて長男が妻を迎えたのですが、それがあまりにも羨ましくて兄弟の殺戮が行われたという恐ろしい野史もあります。

兄の嫁と結婚することは現在も可能なのでしょうか。世間に表面化していない場合がなくはないでしょうが、法的には不可能です。近親婚を禁止した民法の条項がキョプサドンを防いでいるからです。

キョプサドンとは、サドン(漢字=査頓 / 姻戚のこと)同士が再びサドン関係を結ぶことを指しますが、双査頓(サンサドン)と書いたりもします。キョプとは重なるという意味の韓国語で、義理の兄弟同士が結婚することにより、姻戚が重なることを意味します。

同姓同本(同じ本貫の同じ姓)の婚姻を禁じていた条項が無くなったように、キョプサドンについての条項も一部緩和しました。まず、民法の条項から見てみましょう。民法809条2項は「6寸(チョン/ 等親のこと)以内の血族の配偶者、配偶者の6寸以内の血族、配偶者の4寸以内の血族の配偶者の姻戚だったり、このような姻戚だった者同士は婚姻できない」と規定しています。何のことかよくわかりませんよね。混乱しているのは筆者も同じです。

一言で、妻と離婚したとしても、その姉妹とは婚姻することができないということです。妻の妹がどんなに可愛くても、どうすることもできない仲になるということです。なぜこのような禁止条項を作ったのか、理由は同姓同本の禁婚条項と似ています。一言で、族譜がぐちゃぐちゃになることを防ぐという意味です。

族譜とどんな関係があるのか、簡単に例を挙げてみましょう。AとBが兄弟で、CとDが姉妹だとします。AとCが結婚したのですが、頻繁に合っていたため、BとDが恋に落ちました。BとDが結婚すると、キョプサドンになります。

AとCにはEという子どもがいるのですが、EにとってBはどのような存在になるのでしょうか。父親側から見ると、チャグンアボジ(父の弟)ですが、母親の方から見るとイモブ(母の姉妹の夫)になります。家に遊びに来たら「チャグンアボジ」と呼んでみたり、「イモブ」と呼んでみたりと混乱します。AとBが兄弟や姉妹ではない、兄妹や姉弟であった場合でも、結婚した後、子どもの世代になると寸数(等親)を数えることが難しくなるのは同じです。

民法の改正により、血族の配偶者の血族同士の婚姻は禁止する姻戚対象から外されましたが、韓国では寸数が多い遠い親戚だとしても近親婚と考えられるため、否定的です。世間の視線が厳しいからなのか、ドラマでは逆によく登場する素材になりました。

キョプサドンを素材にしたドラマをいくつかご紹介すると、1999年に放送されたMBC『ずっと会いたい』、2007年のKBSドラマ『ヨメ全盛時代』、2014年2月に放送が終了した『王家の家族たち』などがあります。キョプサドンで最も人気を集めたドラマは2011年から2012年まで58部作続いた『棚ぼたのあなた』であることでしょう。

『棚ぼたのあなた』の女性主人公は、能力のある孤児を理想のタイプと考えていたキャリアウーマンが、完璧な条件を持つ外科医と出会い結婚にゴールインするのですが、突然現れた夫の家族により、キョプサドンになる状況に陥るというストーリーです。

キョプサドンはドラマ以前に、古典小説にも頻繁に登場する素材でもあります。双子の兄弟が同時に双子の姉妹と結婚するだとか、そんな内容です。家同士が結束を強化するために、子どもたちが生まれたと同時に約束を取り交わしたのですが、後に嫁にしてみたら余り気に入らなかったため、妹も嫁に寄こせと要求したという逸話も登場します。

同じ姓氏同士が集まって暮らす集姓村でも、お嫁に来た女性や結婚した婿が近い親戚の仲人となることも珍しくなかったといいます。しかし、朝鮮時代以降は由緒ある家門ではキョプサドンという言葉はありえないと拒否反応を見せるようになりました。

tvNドラマ『応答せよ1988』でも母親が結婚したために親友(パク・ボゴム扮)が兄弟になったのですが、この兄弟が自分(コ・ギョンピョ)の妻(リュ・ヘヨン)の妹(ヘリ)と結婚すればキョプサドンになるため、この知らせを聞いた母親がため息からつく場面が登場します。

  • < 新郎と右端のパク・ボゴムが両親の再婚により兄弟になった。新婦の妹であるヘリと結婚することになればキョプサドンだ /ドラマ『応答せよ 1988』の画面キャプチャ >


  • < ヘリとパク・ボゴムの熱愛報道を見て2人を問い詰める大人たち / ドラマ『応答せよ 1988』の画面キャプチャ >

見方を変えると、キョプサドンは親姻戚の呼び名をとても細かく区分している韓国語のせいで生まれたのかもしれません。韓国ではサムチョン(父の未婚の兄弟)、ウェサムチョン(母の兄弟)、コモブ(父の姉妹の夫)、イモブ(母の姉妹の夫)、チャグンンアボジ(父の結婚した弟)、クンアボジ(父の結婚した兄)が英語では全てUncleで、チャグンオモニ(父の弟の妻)、イモ(母の姉妹)、コモ(父の姉妹)、ウェスンモ(母の兄弟の妻)が全てAuntで済まされるため、族譜を覚える必要もありません。日本もおじさんとおばさんで十分だそうですが、どうですか。
  • Lim, Chul
  • 入力 2016-04-14 00:00:00

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