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韓中FTA締結、安堵する自動車メーカーと恩恵期待する鉄鋼・石油化学

IT・造船は影響微々…財界「新しい成長動力になるだろう」 

  • 韓中FTA締結、安堵する自動車メーカーと恩恵期待する鉄鋼・石油化学
△写真=FTA民間対策委員会は10日、ソウル・小公洞にあるロッテホテルで韓・中自由貿易協定(FTA)の妥結を歓迎すると言う大国民声明を発表している。左から銀行連合のパク・ビョンウォン会長、貿易協会のハン・ドクス会長、全経連のホ・チャンス会長、大韓商議のキム・ギム会長、中小企業中央会のキム・ギムン会長 [キム・ホヨン記者]

韓・中の自由貿易協定(FTA)締結で鉄鋼・石油化学・高級家電など、韓国主力産業への恩恵が期待される。関税撤廃で価格競争力がさらに大きくなる化粧品など、最終消費財産業にも大きな好材料だ。しかし、自動車・造船・半導体・モバイル機器のディスプレイなどは、今回のFTA妥結で変化することはあまりない。

財界の主要団体で構成されたFTA民間対策委員会は10日、ロッテホテルで国民向けの声明書を発表し、「交渉妥結を大いに歓迎する」と明らかにした。委員会はまた、「交易規模1位の中国とのFTAは、わが国の産業と経済の新しい成長動力になるだろう」と伝えた。特に政府関係者はこの日、「関税撤廃に対する期待が大きくなかった鉄鋼と石油化学業種は、中・長期的に関税を撤廃する内容を引き出した」と明らかにした。

中国は交渉過程で、鉄鋼・石油化学などに対する関税率を維持するという立場を維持したが、終盤に姿勢を変えたと伝えられた。このことから、鉄鋼・石油化学業界は向後の具体的な関税引き下げ日程を期待する雰囲気だ。

政府関係者は、「10年後に関税が撤廃される各品目は、年間関税率の10%ずつを削減される」とした。例えば、輸出額の10%に相当する関税を支払って中国に輸出する鉄鋼製品の場合、毎年1%ポイントずつ関税率が削減されるという意味だ。

具体的な産業別の利害得失を数値でみてみるためには、品目別の関税撤廃スケジュールが出なければならないが、これは現在は未公開状態だ。交渉を担当する産業通商資源部の関係者は、「両国が韓・中FTAに仮署名するまで、関税撤廃の日程は公開しないことで合意した」と明らかにした。しかしヒントはある。政府は冷延鋼板・熱延鋼板・メッキ鋼板などの鉄鋼製品、プロピレンやエチレンなどの石油化学製品、ファッション(アパレル・アクセサリーなど)、乳幼児用品、スポーツ・レジャー用品、医療機器および健康用品、冷蔵庫・エアコン・炊飯器など高級生活家電などが関税撤廃の対象に含まれると明らかにした。産業通商資源部は、「韓・中FTAを通じて、中国輸出の年間87億ドルに相当する物品の関税が、発効と同時に撤廃される」とし、「また中国輸出の458億ドルに該当する物品は、発効10年後に関税がすべて撤廃される予定」だと明らかにした。

協定締結の効果は大きいと予想される。昨年の一年間、ポスコが自動車メーカーに販売した鉄鋼製品は、10トントラックに積むと76万5000台程度だ。ところで、その中で13万3000台(17%)ほどになる分量が、中国現地の自動車工場に輸出された。この程度で物量が確保された状況で、価格までが毎年1%ポイントずつ低下したとするならば、ポスコの立場からは売上げ拡大に有利となるしかない。

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  • < 韓・中FTA締結による産業別利害得失 >

石油化学メーカーはもちろん、ファッション・食品業界も肯定的な反応だ。すでに中国市場に相当の規模で進出しているファッション業界の場合、関税引き下げにともなって韓国製品の価格競争力が高まることに対し、中国の衣類ブランドは韓国消費者の選好度が低く、大きな影響はないものと観測している。

キムチ業界は数百億ウォン台の中国市場を攻略できるようになった。これまで中国政府はキムチの中の乳酸菌を細菌と見て、自国の加熱処理漬け野菜の「パオチャイ」と同一の検疫基準(100グラムあたり大腸菌群数30匹以下)を適用しており、韓国キムチの中国輸出は事実上不可能だった。業界関係者は、「キムチの輸出に対する期待感が大きいのは事実」とし、「現地流通網の確保と工場の建設など、積極的な投資計画を模索できるだろう」と語った。原乳在庫が有り余って苦痛の牛乳・粉ミルク業界も、今後は中国という大きな市場が開かれることを好材料と見ている。

韓・中FTAのために中国産低価格自動車の空襲を懸念していた自動車メーカーも、安堵の息を吐いている。ある自動車メーカーの関係者は、「韓・中FTAで関税引き下げ措置がとられた場合、中国で生産されたヨーロッパブランド車や、中国産の低価格車が韓国市場に上陸する恐れが大きかった」と語る。逆に中国現地化がかなり進んだ韓国の自動車メーカーの立場からは、韓国で生産した自動車を中国に輸出する理由はあまりない。韓国自動車産業協会のキム・テニョン理事は、「国内の自動車メーカーは中国市場確保のために、中国現地化戦略を今よりも加速するだろう」と展望した。

しかし、IT・半導体・モバイルディスプレイ・造船など、その他の韓国の主力産業はメリットは大きくないのが事実だ。特にIT業界は、1996年にシンガポールで締結されたITA協定によって、加盟国間の関税は既に撤廃された状態だ。ディスプレイ業界は10%を超える高関税障壁が存在しているが、今回の韓・中FTAで超敏感品目に指定され、関税率に変化はないと伝えられた。造船業もこれまで関税がなかったので、大きな変化はない。

各界では今回のFTA締結は、韓国の産業構造自体を変えうるという評価を出した。中小企業中央会の金基文(キム・ギムン)会長は、「中小企業の立場からも、韓・中FTAで有益な項目が十分多いことが分かった」と語った。韓悳洙(ハン・ドクス)貿易協会長は、「製造業分野での中国の関税引き下げが、わが業界が望んでいたレベルに達していない点は残念だ」とし、「ただ、自動車とディスプレイは両国とも現地化戦略を取っており、必ずしも農産物のために損害を甘受したわけではない」と説明した。
  • 毎日経済_シン・ヒョンギュ記者/キム・ドンウン記者/ソ・ヂヌ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-11-10 17:41:40




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