A. 家計負債へのフォーカスは2つだ。「微弱な家計負債の償還能力で成長が制約される臨界点まで来ているのか」と「家計負債に失敗したときに、波紋はどのくらいなのか」だ。もう一つ付けたすと、限界世帯はどのようになるのかだ。最後の部分は、厳密に申し上げて通貨当局の領域ではない。来年に金利が上がれば限界世帯のうち一部はデフォルトになるだろうが、金融政策を放棄することはできない。家計負債の増加が金融機関の融資の不良につながる可能性は高くない。上位40%が全体の負債の70%をかかえている。所得階層は資産が負債よりも多い。デフォルトの可能性は高くない。
Q. 史上最低水準の金利を維持でチョンセ難のような副作用が発生しているが、市中には金回っていない。
A. 金利引き下げは複数の経路を介して実物に波及する。波及経路が多様で時間差があるために、効果は時間の経過してこそ分かる。金利政策の効果が実体経済に波及するところに、以前よりも制約がある。最も大きな理由は景気の不確実性だ。金利引き下げが投資と消費につながる継ぎ目が弱まることがある。また、他の経路は経済の構造的な変化だ。産業部門間の不均衡も政策効果を制限する。輸出大企業の海外生産比率が高い。サムスン電子は生産の90%と雇用の70%が海外で行われる。人口の高齢化も影響を与え、消費性向の高い若い人口が減っている。
Q. 円安によって経済の不確実性が高まっている。アベノミクスの評価を下すとすれば。
A. アベノミクスが昨年3~4月から本格化し、1年の間は目に見える効果があった。企業の収益性が良くなり、求人率が高くなる成果が現れた。しかし、消費税引き上げの影響で2四半期連続のマイナス成長を記録し、危機感を感じた日本は措置に乗り出した。アベノミクスの評価にはまだ早いが、少し前までは肯定的な視角が多かった。最近になって否定的な評価が高まっている。
Q. 円安への対応は。
A. 為替レートは通貨政策の考慮要素にはなる。しかし、為替レートは基本的に市場で決定される価格変数で、政策変数ではない。為替レートを的に金利政策を展開することはできない。ただし、急激な円安の否定的影響はよくわかっている。急速な変動や偏り現象は、市場安定の次元で韓銀が努力している。
Q. デフレの懸念が提起されている。
A. デフレを警戒しているが、金融政策はデフレ抑制には限界がある。デフレが始まると百薬が無効だ。政策対応は難しい。いままだデフレを懸念するほどではない。いま物価上昇率が低いのは供給要因が大きい。コアインフレをみると、最近に1.8%まで低下したが概ね2%前後だ。デフレは全商品の価格が落ちなければならないが、その程度までではない。日本のように不動産価格が暴落すればデフレと言える。気をつけなくてはならないが、台湾にもその可能性がある。われわれもけっきょく、実体経済が長期間低迷することを防ぐのことデフレ防止策だ。
Q. 物価目標は適正なのか。
A. 今になってみると、中期安定物価目標の2.5~3.5%は適正水準ではないようだ。しかし、これは世界的な現象だ。インフレターゲットを採用したほとんどの国が抱えている問題だ。現在の物価目標を定める際に、考慮した適正インフレが今の現実と合わない可能性はある。