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超大当たり「ハニーバターチップ」開発成功ストーリー

香ばしい甘味を求めて、 食べては出すを2年 …100日めで100億突破 

  • 超大当たり「ハニーバターチップ」開発成功ストーリー
「はいはい、私たちも量を増やそうと努力しています」。「チーム長、タレントのソイさんやカン・ミンギョンさんがうちの製品の話をTwitterにアップしました!」

静かだった龍山区南営洞(ナミョンドン)のヘテクラウン製菓本社は最近にぎやかだ。去る8月に発売した新製品「ハニーバターチップ」が「超テバク(超大当たり)」してからだ。8月の発売から3カ月後の11月8日、売上50億ウォンを記録したところで、ソーシャルネットワークサービス(SNS)など口コミに乗り、きっちり10日後に売上げ53億ウォンを上乗せした。発売後100日も経たずに売上げ103億ウォンを記録したわけだ。親会社のクラウン製菓の株価は、11月初めの17万ウォン台から25万ウォン台まで上昇した。お菓子の新製品は年間売上げ100億ウォンになっただけでも大当たりだが、ハニーバターチップはこの峠を100日めで上回った。

全国のコンビニエンスストアで品物がないと叫び、文幕(ムンマク)工場は24時間3交代で動いているが力不足だ。しまいには「工場から火が出た」というデマまで飛び出した。中古品サイトでは、コンビニエンスストアで1200ウォンのハニーバターチップが2000~5000ウォンで取引されるというニュースまで聞こえる。品薄状態を醸し出すお菓子だからこそ食べてみたいという、人間の群衆心理が発動した側面が大きい。

このような大騒ぎを見るヘテ製菓の人々の感慨は格別だ。最近になって、国内製菓業界はこれはというヒット商品をあまり出せなかった。今年はロッテ製菓のキャラメル「マルランカウ(ふわふわ牛)」が3ヶ月余りの期間に26億ウォンを記録したことが唯一だ。ヘテの立場では、ガムひとつでシェア40%を達成した「デンタキュー」以来20年ぶりのヒット商品だ。クラウン製菓までを合わせても、2004年の「マイチュー」(フルーツキャラメル)以来10年ぶりのことだ。

なんとハニーバターチップの開発を統括したヘテ研究所のチョン・ミョンギョ所長は、20年前のデンタキュー開発の主役。チョン所長は毎日経済とのインタビューで、「ポテトチップ市場では後発走者なので、はるかに大胆な試みを行えた」と語った。ヘテはオリオン(ポカチップ)と農心(秀美チップ)におさえられ、外国産(プリングルズなど)に押されてポテトチップの市場ではそれこそ「マイナー」だ。しかし、弱者の立場から開始したために、既存の強者たちの「塩味のポテトチップ」概念を脱皮できたというわけだ。

ハニーバターチップは、これまでのポテトチップの塩味をぐっと減らし、甘い味と香ばしい風味を強調した製品だ。ポテトチップといえば「塩辛い」という偏見を破ったわけだ。チョン所長は、「国内のみ2000億ウォン台規模を形成するうえに、お菓子の中で唯一7~8%の成長を見せるポテトチップ市場を放棄することはできなかった」とし、「しかし、既存の強者とは別の道を行かなければいけないと考えた」と説明した。

チョン所長を含めて6人の従業員が、「新ポテトチップの味さがしプロジェクト」チームを立ちあげたのは2012年末。開発まで1年半以上かかった。全世界に散在する数百種のポテトチップと、ベンチマークできる菓子類はすべて食べてみた。たくさん食べると味と香りに鈍感になるが、最初の味と次の味の違いも調べなければならなかったので、一口食べて水ですすぎ、他の製品を味わってまた水で口をすすぎまた食べてみる、苦痛の伴う作業が続いた。こうしてベンチマークするべき製品2つが出てきた。ヘテと提携を結んでいる日本のカルビーの「ハピネスバターポテトチップ」と「意外」にもヘテの菓子商品である「新堂洞トッポッキ」。

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  • < ハニーバターチップの開発統括チョン・ミョンギョ研究所長 >

チョン所長は、「新堂洞トッポッキはトッポッキ特有の甘さと辛味がうまく調和したのが特徴で、ハピネスバターポテトチップは、他のポテトチップよりも香ばしさが強かった」と語る。甘い味と香ばしい風味、一見すると似合わないような2つのフレーバーをポテトチップスに盛り込むことが、チョン所長チームの宿題となった。一言で言えば「食欲を呼ぶ甘さ」を見つけることだった。甘さは砂糖やオリゴ糖よりもはるかにスムーズなアカシア蜂蜜で、香ばしい風味はバターで出すことにした。しかし、思ったより味が良くなかった。何か欠けていた。

この時、ヘテのシン・ヂョンフン代表取締役が「グルメバターどう?」と一言投げかけたことが契機になった。グルメバターは一般バターとは異なり、12時間発酵させてチーズのような「味と香り」をつける。このため、研究チームはグルメバターとアカシア蜂蜜の配合作業を開始したが、通常20回程度行われている配合実験は、ハニーバターチップでは29回行われた。内部の反応が良くなった。飽きがこなくて格別だという評価だった。

一般消費者を対象としたブラインドテストでは、通常の100~200名ではなく1000人を呼んだ。70%以上の満足度が出れば成功と判断するが、この製品に満足していると回答した消費者の割合は93%。

チョン所長はこの時点である程度の大ヒットを期待したという。しかし、その彼も「この程度とは思わなかった」という。数十年の間、命脈を保ってきた伝統のお菓子(ホームランボール、オーイェスなど)を引き継いで行く大ヒット商品の誕生は、最終的に「これまでとは全く別のもの」に悩んだ後発者の格別な思いと勘で出てきたわけだ。
  • 毎日経済_パク・イネ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-11-19 17:27:51




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