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韓国労働市場、正規職労組は利己主義を捨てなければ

非正規職の犠牲の上に積みあげた正社員の高賃金・終身雇用 

  • 韓国労働市場、正規職労組は利己主義を捨てなければ
  • < 総賃金水準の高い韓国 >

現代自動車入社25年目のイ某氏(52)は7月に管理職から生産職に転換して、今では蔚山3工場で働いている。昨年、課長に昇進する機会があったが、これも自ら放棄した。

「管理職」と「昇進」という二匹のウサギをともに放棄したのは、「組合員」という資格を維持するためだ。現代自動車では課長に昇進すると、組合員の資格が剥奪される。組合員は定年が保障されるが、昇進した課長は保証されない。

このために、生産職の人気がはるかに高い。残業手当と特別勤務手当まで得ているので、賃金も管理職幹部よりも多い。したがってイ氏のように、社会的通念を遡っても「生産職労働者」に転じる正規職が多い。イ氏は、「オフィスにいるときは5分という時間も惜しかったが、現場では自分の仕事だけすればいいので余裕ができた」とし、「何よりも雇用安定と高い賃金が同時に保障されて心強い」と語る。

このように「大企業」「正規職」「組合員」は、私たちの社会のもう一つの特権層になってしまった。かつてゴリアテクレーン(ゴライアスクレーン)の上に登って民主化と労働三権を叫んだ彼ら自身が、われわれの社会のもう一つのゴリアテになったわけだ。

労働者の「賃金」は、もはや総額を増やすことができないレベルに達した。経済協力開発機構(OECD)によると、全体の賃金所得から賃金労働者1人がどれうらいの剰余を持っていくのかを意味する「賃金労働者の1単位の取り分」は韓国が0.70で、日本の0.62やドイツの0.64あるいはや米国の0.61よりも大きい。これは韓国の賃金労働者は、日本やドイツ、米国の賃金労働者よりも多くの剰余を持っていくという意味だ。

労働者が持っていく分け前は増えたが、労働者内部の賃金格差はさらに大きくなっている。1993年の時点で企業(300人以上)と中小企業(5~299である)労働者の賃金格差は40%程度だったが、2013年には56%まで拡大した。

正規職に比べると非正規職の賃金水準も格差がさらに広がっている。2001年の0.63から2013年には0.56に拡大した。

賃金労働者のうち、下位10%に対する上位10%の賃金水準を意味する賃金十分位倍率も、韓国は2010年時点で4.5倍に達し、OECD加盟国の中で6位だった。この倍率が韓国より高い国はイスラエル(5.1倍)、チリ(5.1倍)、トルコ(4.8倍)、米国(4.8倍)、ハンガリー(4.8倍)などに過ぎなかった。このように、賃金労働者の一人が持っていく取り分は大きいが、賃金労働者間の格差が拡大しているのは、労働者の賃金というパイの大きさの問題ではなく、労働者内部の分配がより深刻な問題だという証拠でもある。

キム・デホ社会デザイン研究所長は、「賃金労働者の中で、(正規職か非正規職であるかという)従事者の地位、企業の規模に応じて格差が非常に大きい」とし、「このような構造を変えなければ、未来の世代と青年たちには機会と希望がない」と主張した。最近、政府が労働市場の二重構造の打破と雇用創出を主張しながら、「大企業の正規職労働者に対する過保護」を取り上げているのもこれと関連している。

大企業の正規職労組は、自分たちの雇用安全性と高い賃金を維持するために非正規職差別を容認し、企業の立場からは、正規職労組との対立を避けるために、非正規職採用を増やしているわけだ。これをパク・テヂュ労働教育院教授は、「労使の談合」だと主張した。

イ・ギグォン雇用労働部長官はこれと関連し、「大企業の正規職労組は利己主義を捨てなければ、会社は楽な道を捨てなければならない」と語った。
  • 企画取材チーム=キム・ギチョル(チーム長)/シン・ヒョンギュ記者/ソ・デヒョン記者/チャン・ウォンヂュ記者/チェ・スンヂン記者
  • 入力 2014-12-03 17:45:53




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