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油価60ドル時代、墜落する原油価格…5大経済指標で見た韓国経済

原油価格10%下がると消費増加率0.68%Pと輸出1.19%Pアップ 

  • 油価60ドル時代、墜落する原油価格…5大経済指標で見た韓国経済
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来年の平均原油価格が今年の平均91ドルより30ドルほど低い60ドルを維持する場合、韓国の国内総生産(GDP)は12兆ウォンほど増えるものと推算された。原油価格の下落で輸出と消費が増えるからだ。しかし、短期的には過度の低物価による経済心理の悪化と、経常収支の黒字による為替レートの問題などの副作用も懸念された。企画財政部が9日に発表した報告書「最近の経済動向」によると、原油価格の下落は韓国の経済に短期的には悪材料として作用するが、中・長期的には肯定的な影響を与えるものと分析された。

企画財政部のソン・ウンギ物価政策課長は、「原油価格の下落は、企業の生産費の削減と家計の実質購買力の増大などを通じ、韓国の経済にプラスの影響をもたらすだろう」と明らかにした。とは言え、原油価格の下落が経済指標にどの程度の影響を与えるのかに対する政府のシミュレーション数値は公開しなかった。

しかし、政府の推定値と類似すると伝えられた韓国銀行と現代経済研究院の発表した報告書を毎日経済新聞が分析した結果、原油価格が10%落ちたときのGDPは0.24%ポイント増えることが分かった。原油価格が10%低下する場合、今年は約1500兆ウォンと推算されるGDPが3兆6000億ウォン、追加で増えるというわけだ。

ブルームバーグの推算による、今年の平均バレル当たり91ドルのウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の価格が60ドルに、34%ほど追加で下落する場合は12兆ウォンのGDPが増える効果を見ると計算される。

特に輸出増加率は1.19%ポイントほど増加すると推算された。原油価格は産油国の景気に悪影響を及ぼすが、他の国の経済成長には全般的に肯定的な影響を与え、輸出量が増える効果があるからだ。

最近、クリスティーヌ・ラガルド国際通貨基金(IMF)総裁も、「国際原油価格の30%の低下は、大多数の先進国経済ではGDPを0.8%ポイント引き上げる効果がある」と明らかにもした。

長期的に消費に及ぼす影響も大きいと予想された。消費増加率は0.68%ポイントさらに高くなると推定される。輸入品の単価下落で家計の実質購買力が増し、消費が増大する効果が発生するからだ。とは言え、原油価格の下落が投資に与える影響はそれほど大きくない。投資増加率は0.02%ポイントの増加にとどまると予想された。ここ数年間、世界的な供給過剰によって、設備投資じたいの必要性が大きく減ったためだと思われる。

物価の場合、消費者物価上昇率が0.33%ポイント下落する効果があった。ガソリン・軽油などの石油製品の価格が落ちる「直接経路」と、経済全体の需要・供給の変化を勘案した時の「間接経路」の両方をシミュレートして見た場合の結果だ。

しかしこのような見通しは、原油価格の下落が経済に及ぼす影響が一定の比率で起こるという「線形」仮定を行う限りは、単純な理論計算に過ぎない。政府も国内外の条件を勘案する場合、原油価格下落の肯定的な波及効果は、過去に比べて弱化する可能性があるとにらんでいる。

昨年基準で全体輸出の8.1%を占める中東とロシア地域への輸出が、すぐさま減少するものと見られる。また、原油価格の下落で造船と石油化学などの主力産業が不振になるうえに、低物価によって経常成長率の増加が鈍化する可能性がある。特に造船会社の場合は、グローバルな石油メジャーの海洋ボーリング設備の発注などが遅れ、長い低迷期を迎える可能性さえ提起されている。また、ユーロ圏では継続してデフレ懸念が出てきており、中国も成長率が鈍化すると予想される点も懸念される。韓国経済の3大輸出地域のうち、米国を除いた2ヶ所の経済が難しくなることで、原油価格の下落によるプラス影響は半減するだろうという見通しが強くなった。

最近、国内の物価上昇率が鈍化している状況で、低油価の持続に伴うデフレ懸念も出ている。経済主体は物価が継続して落ちると期待して、すぐさま現在の消費を減らす悪循環が起こる可能性もあるということだ。

実際に、国内消費者の平均消費性向は第1四半期の74.5から、第3四半期の72.6へずっと下落し続けてきた。これに対して、ソン・ウンギ課長は「全世界的に、低油価でデフレが発生した事例はない」とし、「デフレ懸念は過ぎた話」だと語った。

政府は原油価格下落の悪影響を減らし、プラスの効果を高めるために努力するという方針だ。企画財政部のキム・ビョンファン経済分析課長は、「原油価格の下落効果を最大化するために、消費と投資の改善のための内需活性化対策を滞りなく推進する必要がある」と明らかにした。

去る7月、崔炅煥(チェ・ギョンファン)経済副総理兼企画財政部長官の就任後、政府は消費と投資の活性化対策を相次いで出している。

まず消費刺激のために、政府は雇用創出を通じた家計所得の拡充という伝統的な方法とともに、直接収入を増やす方策などを出しもした。

また、「家計所得の増大税制」3大パッケージを通じて、家計の勤労・配当所得と企業の投資を増やす誘因を来年から施行する。また、様々な企業に関連する規制を大々的に解いて、民間投資事業方式を改編する方案を出すなど、企業の投資活性化のための対策も登場させた。
  • 毎日経済 _チョ・シヨン記者/チェ・スンヂン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-12-09 17:27:16




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