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韓国経済、来年の展望…KDI「世界の平均成長率に未達」暗鬱な診断

来年は3.5%成長も難しい…「低成長恐怖」もぞもぞ 

  • 韓国経済、来年の展望…KDI「世界の平均成長率に未達」暗鬱な診断
  • < 韓国とOECD、世界の成長率比較 *2014年、2015年はKDI展望基準、資料=企画財政部、IMF(世界)、OECD >

韓国開発研究院(KDI)は、今年の韓国の国内総生産(GDP)の伸び率を3.4%と予想した。来年も3.5%の成長にとどまると展望した。これは政府が展望した成長率の、今年3.7%、来年4%にかなり満たない暗鬱な展望だ。国際通貨基金(IMF)が来年の世界経済成長率を3.8%と予測したことに比べれば、韓国の成長率は世界平均よりも0.3%ポイントも低い。韓国の経済成長が当初の予想より大きな幅で低下して、政府の経済運用にも警報が鳴った。

KDIは10日に発表した「2014年下半期の経済見展望」で、今年と来年の経済成長率の展望値をそれぞれ3.4%と3.5%と予測した。これはKDIが5月に出した今年3.7%と来年3.8%の予測値を、それぞれ0.3%ポイントずつ下げたものだ。今年と来年の成長率見通しには、政府が下半期から推進してきた拡張的財政政策の効果が含まれている。この効果が成長率に0.1~0.2%ポイント程度反映された点を勘案すれば、民間部門の成長率は3.3~3.4%にとどまる。 KDIは、特に国内外の経済環境が不確実な点を勘案するとき、来年の韓国経済の成長率はさらに低下する可能性が大きいと見ている。キム・ソンテKDI博士は、「IMFは来年の世界経済成長率を3.8%と予想したが、これは下方調整される可能性が高い」とし、「この場合、わが国の経済成長率は3%台前半まで低下しうる」と語った。

通貨危機を体験した1998年、クレジットカード事態が起こった2003年、新興国が急浮上した2005~2008年、米国・欧州の財政危機があった2011年のように、特定の問題があった年を除けば、韓国の経済成長率は常に世界成長率を上回ってきた。来年度の成長率が世界経済の成長率を下回ることで、韓国が本格的な「低成長の沼」に入ったとの懸念が提起される。

KDIの分析によると、来年の韓国経済は消費と投資がそろって不振に陥り、なんとか好調を見せた輸出は、対外変数に振り回される可能性が大きいと見る。民間消費はセウォル号惨事による不振から抜け出してきているが、家計の消費余力が縮小し、期待寿命が延長されるなどの構造的な要因のせいで、今年よりも小幅に拡大した2.3%の増加にとどまるものと予想された。設備投資あるいはまた企業の業績が低調になり、増加勢が制限されるとにらんでいる。対内外の経済環境が大きく好転しない中で、売上額の増加勢が鈍化して営業利益率も落ち、設備投資は今年(4.7%)に比べて低い3.3%の増加にとどまると予測される。ただし、建設投資は住宅市場の回復で、しだいに改善の流れを示すものと期待した。

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  • < KDI韓国経済の見通し >

輸出は世界経済の緩やかな回復に伴って、増加勢が小幅に拡大し、輸入の増加勢も徐々に拡大していくと予想される。しかし、ユーロ圏の長期低迷や中国経済の成長勢の鈍化、米国の基準金利の引き上げなどの不確実性が浮き彫りになっており、楽観することは難かしい状況だ。経常収支は今年(905億ドル)と同様に、890億ドルの黒字を記録するとKDIは分析した。

原油価格の下落に伴う「低物価脅威」もやはり続く見通しだ。消費者物価の上昇率は1.8%で今年よりは高くなるだろうが、タバコの値上げ分(0.6%ポイント)を除けば、1%台前半の低上昇率を持続すると予想された。KDIは来年の世界経済成長率を3.8%と前提し、原油価格はバレル当たり70ドル前半、ウォンの値は年平均5%下落を想定して来年の展望を出した。

KDIは、韓国の経済の低成長基調が本格化するにつれて、政府が経済を運用するところに困難をともなうと予想した。物価と実質成長率を合わせた経常成長率は、政府の予測値の6%より1%ポイント以上低い5%前後と予想した。経常成長率が低くなって税収が下がり、政府の財政事情はさらに悪化すると予想した。KDIは来年の管理財政収支の赤字幅は33兆4000億ウォンで、GDP比で2.2%まで上昇すると予想した。

KDIは、政府がより果敢な財政・金融政策を展開し、景気下降リスクに積極的に対処しなければならないと注文した。

まず微弱な景気回復を勘案すると、拡張的な財政政策を通じて財政赤字が拡大されることを容認すべきだと指摘した。特に、今年の税収が予想よりも低ければ、政府が必要なところに支出できないと見て、税金を積極的に取り立てなければならないと注文した。キム・ソンテ博士は、「まずは非課税減免幅を減らし、税源を拡大するなどの対策が必要だ」とし、「短期的には難しいだろうが、中・長期的な増税も考慮する必要がある」と指摘した。税源の透明性強化のために現金領収書の義務発行業種を拡大し、金融情報分析院(FIU)の情報活用などで、所得申告漏れを通じた徴税回避を防ぐべきだと強調した。

KDIは拡張的な金融政策も注文した。

低い物価上昇率が持続することから、経済主体の期待インフレ率は下落する恐れが出ており、物価安定目標を守るという確固たる意志を、政策当局が見せなければならないと主張した。現在、物価安定の目標値が2%以上であることを勘案すれば、政策当局がこれを守るために、金利引き下げを含む追加的な金の解放を積極的に考慮しなければならないという指摘だ。特にKDIは、韓国銀行が物価見通しを実際よりも高いレベルで展望することが繰り返されることを指摘して、物価の展望方式を再点検する必要があると強調した。
  • 毎日経済_ノ・ヨンウ記者/チェ・スンヂン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-12-10 17:26:48




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