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開城工業団地10年目、6か月の稼働中断を乗り越えて回復…今年歴代最高の生産額


  • 開城工業団地10年目、6か月の稼働中断を乗り越えて回復…今年歴代最高の生産額
繊維・製靴は善戦

「パンガ~プスムニダ!パンガ~プスムニダ」。10年来、北韓の歌謡曲を携帯電話の着信音にしているムン・チャンソプ三徳通商会長は、開城工団進出とともに会社を6倍に成長させた。2006年と2008年、開城(ケソン)に製靴工場2カ所を竣工した後、売上が急上昇した。北韓労働者だけで約2700人を雇用し、開城工業団地で最大の企業として定着した。売上げは2006年の147億ウォンから2008年に437億ウォンへ、2010年の700億ウォンに続いて昨年は906億ウォンにまで成長した。年300万足を生産し、「世界最高の製靴会社」という目標を実現しつつある。今年の初めには開城工業団地の会社で初めて、ドイツの製靴会社「ME&フレンズ」社と、開城工業団地に対する投資の誘致に合意したりもした。ムン会長は「5・24措置のために実際の投資は保留されているが、まだ可能性は開かれており、さらなる成長も期待できる」と語る。

電子・機械は苦戦

電子部品メーカーのK社は、昨年の操業中断事態以後にバイヤーを半分以上失なって、回復するために苦労している。300億ウォンを超えた会社の売上げは、昨年は40%も下がった。K社の関係者は、「電子部品の特性上、一度契約すれば長く取引を行うので、一度切れた取引先はなかなか帰ってこない」とし、「今年、新しい取引先を何カ所かこじあけたが、最近‘対北ビラ’散布問題に続いて‘賃金’問題まで起こり、納期不安の問題から外国企業を説得するのは容易ではないのが実情だ」と打ち明けた。K社の平均稼働率は、操業停止事態の前は90%を超えたが、今年に入って60%台にとどまっている。

今年、稼動10周年を迎えた開城工業団地は、最大の生産額を記録すると予想される。昨年の6ヶ月間の操業中断事態を乗り越えて、1年ぶりに回復する姿だ。しかし、繊維・製靴などのいくつかの業種に偏った成長と、「5・24措置」による追加投資の問題、賃金上昇論争などで心配する声も出ている。

12日、中小企業業界と統一部によると、現在、125社の韓国の中・小企業が進出した開城工業団地の生産額は、9月までに3億5072万ドルを記録した。年末までには史上最高の5億ドルを突破すると予想される。生産量は2005年の1491万ドルを皮切りに、2007年には1億8000万ドルを超えた。2010年の「天安艦事態」以後、開城工業団地への追加投資を妨げた5・24措置の後も高い成長を維持している。年度別では、2010年は3億2332万ドル、2011年は4億185万ドル、2012年には4億6950万ドルとなった。ただし操業中断という事態を経験した昨年だけは2億2378万ドルにとどまった。

開城工業団地の成長は、繊維・製靴・衣料品などの業種がリードしている。三徳通商をはじめ「ナイン」「シンウォン」「インザエフ」「チョウンサラム」など、70社あまりの企業が今年の生産額のうちの約70%を担った。衣類業種は内需分野が大きく、季節ごとに納品を行うことから、新しい納品先を見つけるのは比較的容易だ。衣料品の特性上、初期の設備投資の後は工場を大幅に再編したり再投資が少ないため、5・24措置後も労働力の向上による品質改善効果が現れていると把握される。


  • 開城工業団地10年目、6か月の稼働中断を乗り越えて回復…今年歴代最高の生産額
  • < 増える開城工業団地の年間生産額 *資料=統一部 / 数字で見る開城工団の10年 >

最も成功した事例は、開城工業団地の共同衣類ブランド「シスブロ(SISBRO)」だ。今年、旋風的な人気を集めたことに続き、来年の事業展望も明るい。去る8月、フランシスコ教皇訪韓行事に奉仕団の服を製作して注目され、ホームショッピングで完売を記録するなど、開城工団の独自ブランドも成功できるという可能性を見せつけた。

これに比べ、30社に及ぶ電気・電子・機械金属・化学メーカーは苦戦を強いられている。新技術の開発にともなって継続的な設備投資が伴わなければならないが、開城工団の不安な状況のために再投資は容易ではない。昨年に失われた納品先も回復していないのが実情だ。開城工団の再稼働後、最初の撤退会社であるアラモードは、時計ケースとスマートフォンケースを生産してきたが、5・24措置と操業中断という連続悪材料を克服できなかったものと伝えられた。

開城工団に入居したある電子部品メーカーの関係者は、「追加投資を通じて設備を拡充し、新しいバイヤーを確保しなければならないが、5・24措置以後、ますます難しくなっている」とし、「このような状況で、急速な賃金上昇問題まで起きた場合、会社は大きな危機に陥る可能性がある」と訴えた。

北韓経済の専門家であるチョ・ボンヒョンIBK研究所首席研究委員は、「今年、開城工団は全体的に稼働率も高くなって生産量も増えたが、業種別に明暗が分かれている」とし、「繊維・アパレルの方は、内需市場の効果と労働生産性の向上で成長しているが、電子・機械分野は、バイヤーの信頼を大きく失った打撃を取り出すことができないでいる」と分析した。チョ研究員は続けて、「開城工団は投資だけが計画通りに進めば、いつでも現在の5億ドルから10億ドルまで、2倍以上の成長が可能だ」とし、「ただ、賃金問題が再び投資を妨げる火薬庫になるか懸念される」と付け加えた。
  • 毎日経済_チン・ヨンテ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-12-12 15:38:41




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