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最も身近な内科の危機…初めての専攻未達

「政府が低い診療報酬の問題を解決するべき」 

  • 最も身近な内科の危機…初めての専攻未達
  • < 減り続ける内科専攻志願率 *資料=大韓病院協会 >

キム・ヨンホさん(仮名・46)は、京畿道のある新都市で13年間運営していた内科医院を昨年末、売りに出した。現在は「ペイドクター」(サラリーマン医師)だ。キムさんは「従業員の給料はおろか生活費さえ稼ぐことが難しいほど病院の運営が大変だった」とし「内科は、国民と一番身近にあるのに、閉めてから1年になるが売れていない」と述べた。

仁川の某院長も最近、病院を整理して雇われ医者になろうと心を固めた。ようやく仁川に病院を開院したが、経営難で開業時に融資を受けた負債が彼の肩を押し潰したからだ。彼は「低い診療報酬が足を引っ張っているため、運営が苦しくならざるを得ない」とし「医師も家長なのだから家族を養って生きなければならない」と吐露した。

最も身近な病院、内科が危機に陥った。内科は頭がずきずきと痛む時、お腹がなんだか痛いときに手軽に訪れることのできる病院だ。子供が急に熱が出たときにドアをノックする病院も内科だ。

視診(見て)・聴診(聞いて)・触診(触ってみて)・打診(叩いてみて)を介して病気を見つける、近くに感じられる病院でもある。このように、身近な病院である内科に危機が訪れた。

医療系のメジャー4科である「内科・外科・産婦人科・小児青少年科」の中で、内科は困難な状況ながらも、毎年専攻の定員を満たしてきたが、今年は事情が違った。

2015年度、レジデント1年目の願書受付締切日だった去る3日、全国の修練病院の内科の志願率は93%だった。史上初の未達事態だ。カトリック中央医療院は、50名定員に41人を満たした。乙支大学、忠北大学病院や済州病院などは志願者が一人もいなかった。内科の未来が不透明だと医学生が志願を避けるためだ。

なぜ不透明なのか。まずは収支が合わない。ソウル市恩平区の開業医のケースを考えてみよう。まず、病院を開くには内視鏡などの機械とインテリアの費用がかかる。機械は性能に応じて価格が千差万別だが、平均して7000万~8000万ウォン程度だ。インテリアの費用は、通常、3.3㎡当たり150万~200万ウォンだ。通常の内科の広さである132㎡を基準にすると、6000万~8000万ウォンだ。看板設置など追加費用を加えると1億ウォンだ。賃貸保証金5000万ウォンと各種付帯費用が追加されると、開院時に、少なくとも3億ウォンが必要だ。

ここに人件費が追加される。病院は通常、看護助手が少なくとも2人(税金込みで400万ウォン)を置く。看護助手の代わりに看護師を雇うこともできるが、賃金が20~30%ほど高い。建物の使用料(月300万ウォン)、輸液・注射剤などの薬剤費が200万ウォン、銀行からの融資元利金の償還に月400万ウォンほどがかかる。毎月1300万ウォン程度の費用が出ていく。

それでは、収入部門を見てみよう。内科の診察料は初診(1万3000ウォン)と再診(9000ウォン)に分けられる。患者は医療保険から支援を受けて3000~4000ウォン程度を負担する。医師の分け前は、患者1人当たり平均1万ウォン程度で、一日の患者数が50人で月に25日間病院のドアを開けるとすれば月の診察料収入は1250万ウォン程度だ。その結果、内科で一日に50人の患者を毎日見ると仮定したとき、いろいろな費用をすべて抜くと毎月最低50万ウォンの赤字を見ているわけだ。

これさえもうまくいっている病院の状況だ。ある内科医は「町の病院は、一日に患者を30人受け付ける所も多くはない」と述べた。

なぜ内科の患者がこのように減少したのだろうか。すべての患者が大病院に集中していることが最大の理由だが、内科の固有領域が消えていることも主な理由だ。過去に内科の固有領域であった血圧や糖尿病疾患などを、最近では、家庭医学科や整形外科で扱っている。内科間の競争に加え、他の科との競争が激しくなっているという話だ。

ソウルで病院を運営する某内科院長は「家庭医学科や整形外科、産婦人科でも血圧の薬を処方してくれる」とし「患者があえて内科を訪れる理由がなくなっている」と述べた。このため、ほとんどの内科医は、消火器、循環器、呼吸器、アレルギーなどの専攻の分科を決めて2年間追加修練過程を経た専門家として開業する。ソウル市広津区で12年間内科を運営してきキム・ヨングァン院長は「単純な風邪の患者の治療だけではなく、検査などがない場合は耐えきることができない」とし、「内視鏡の機械を備えたが、ほとんどの医院で内視鏡検査をしており、月に検査が数件に過ぎない」と述べた。

大韓開院内科医者会のパク・グンテ総務理事は「医師が使命感を持って仕事をする未来が保障されなければならない」とし、「診療報酬の現実化のために政府が積極的に取り組まなければならない」と述べた。
  • 毎日経済 イ・ヨンウク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-12-15 16:59:54




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