トップ > コラム > FOCUS > ロシアショックの後遺症、恐怖に包まれたロシア現地の表情
5年前に韓国のある自動車メーカーに就職して、ロシアのサンクトペテルブルクで勤務中の駐在員ウ・ヨンフンさん（仮名・40）は16日（現地時間）、市内の両替所を3時間も尋ね回った。自宅の最寄りの両替所は、ドルをすべて売ってドアを閉めた状態だった。なんとかみつけた営業中の両替所では、数十人が長く列をなすところが多かった。ウさんは、「少し前にマートに行ったら買い占めが起きていて、今ではドルへの両替に警報が鳴った」とし、「戦争でもないのに、いったい何が起こるか分からない状況」だと語った。
最近、デフォルトの危機にまでしだいに可視化するやいなや、いまや生業の心配まで大きくなる雰囲気だ。モスクワで貿易業・不動産賃貸業・旅行業などを行うモスクワ韓人会のチ・ホチョン会長は16日、毎日経済とのインタビューで「貿易業を一緒に営んだ近隣地域のロシア人でさえ、続々と事業をたたんでいる」とし、「輸入価格は途方もなく上がって、需要は大きく減少して、どんな方法があるのか」とため息をついた。ルーブルの価値が暴落したなら観光客でも増えてこそなのに、ウクライナ事態などで社会雰囲気までが冷え冷えとして、観光さえ「ぱったり」と途切れて旅行業者と航空会社も売上げが底をさまよっている。
ルーブルは史上初の金利引き上げを断行したにもかかわらず、墜落を繰り返すやいなや、ロシアの交易にも衝撃波が大きくなっている。
現地の貿易業者は、急騰した為替レートと景気後退による需要減少に耐えられず、輸入注文を次々とキャンセルし始めた。さらに懸念されるのは、企業の「エクソダス（脱出）」だ。デフォルトの危機がさらに可視化するやいなや、混乱に陥った多国籍企業・主要交易パートナーがロシアでの事業規模を縮小したり、撤退したりする兆しさえ見せ始めたからだ。ロシア政府は、「為替レートの下落は、むしろ海外資本と企業誘致の競争力を高めるだろう」と大言壮語したが、現実は正反対だ。ルーブル暴落の直撃を受けたなかの一つは、現地の貿易会社だ。苦労して結んだ輸出契約は、むしろ「損失」として作用するようになったからだ。
鉄鋼製品の販売会社であるポスチル社のある関係者は、「先月、約500万ドル規模の契約をむすび、現地企業から前金の30％を受けた」とし、「数ヵ月後にルーブルでもらう70％の残金が心配で、夜もおちおち眠れない」と語った。
12月から外国企業と取引していたロシアの各企業は、これまでに出したオーダーまでキャンセルしている。例えば、いま船積すると来年の1月に到着し、その時に市場価格を反映することになるが、ルーブル安が継続すると、製品単価が来月には2倍にふわりと跳ね上がることがあるからだ。為替レートがある程度落ち着く気配を見せるまで、注文そのものを出さないのが良いというわけだ。LSネットワークスのチョン・ミョンス ウラジオストク支社長は、「ルーブル暴落で現地進出企業やロシア企業の両方が、生活的・事業的なすべての面で大きな衝撃に巻き込まれた」とし、「すでに対策を立てることができる水位を超え、今となっては追加で大幅に金利を上げるといってもあまり意味がない状況」だと語った。
ロシアで事業を行う多国籍企業も、困難に見舞われているのは同じだ。Apple社はスマートフォンなど、自社商品のロシアでのオンライン販売を電撃的に中断した。Appleは16日に出した声明を通じて「ロシアではiPhoneやiPadなど、自社製品のオンライン販売を中止する」と発表した。スポーツメーカーのアディダスは、ロシア国内の売り場を減らしている。アディダスはロシア事業の不振で、今年の実績展望値を20～30％削減する予定だ。仏エネルギー会社のトータル社は、ロシアの民間最大のエネルギー会社ルーコイル（LUKoil）社と共同で進めようとしたシェール開発の合弁会社設立を中断した。
現地の食品企業ボーケル（BOCHER）社のアレクセイ・キサク代表は、「肉・野菜などの購入価格がすでに20～25％も高くなり、今も上がっている」とし、「現在、入店している店舗の賃貸料もドルで支払っているが、為替レートの急騰で家賃も30～40％上がった状況で利益は最悪」だと語った。
懸念されるのは来年からだ。チ・ホチョン韓人会長は、「これまでのところインフレが本格化してはいないが、来年の1月ころには高い価格で輸入した物品が市場に流れ、物価上昇もさらに大きくなるだろう」と語った。
ロシアショックの後遺症、恐怖に包まれたロシア現地の表情
ロシア進出の外国企業「売ったところで損…ルーブルで受け取るとひどいことに」
< ルーブル暴落後、ロシア現地市場の変化 >
最近、デフォルトの危機にまでしだいに可視化するやいなや、いまや生業の心配まで大きくなる雰囲気だ。モスクワで貿易業・不動産賃貸業・旅行業などを行うモスクワ韓人会のチ・ホチョン会長は16日、毎日経済とのインタビューで「貿易業を一緒に営んだ近隣地域のロシア人でさえ、続々と事業をたたんでいる」とし、「輸入価格は途方もなく上がって、需要は大きく減少して、どんな方法があるのか」とため息をついた。ルーブルの価値が暴落したなら観光客でも増えてこそなのに、ウクライナ事態などで社会雰囲気までが冷え冷えとして、観光さえ「ぱったり」と途切れて旅行業者と航空会社も売上げが底をさまよっている。
ルーブルは史上初の金利引き上げを断行したにもかかわらず、墜落を繰り返すやいなや、ロシアの交易にも衝撃波が大きくなっている。
現地の貿易業者は、急騰した為替レートと景気後退による需要減少に耐えられず、輸入注文を次々とキャンセルし始めた。さらに懸念されるのは、企業の「エクソダス（脱出）」だ。デフォルトの危機がさらに可視化するやいなや、混乱に陥った多国籍企業・主要交易パートナーがロシアでの事業規模を縮小したり、撤退したりする兆しさえ見せ始めたからだ。ロシア政府は、「為替レートの下落は、むしろ海外資本と企業誘致の競争力を高めるだろう」と大言壮語したが、現実は正反対だ。ルーブル暴落の直撃を受けたなかの一つは、現地の貿易会社だ。苦労して結んだ輸出契約は、むしろ「損失」として作用するようになったからだ。
鉄鋼製品の販売会社であるポスチル社のある関係者は、「先月、約500万ドル規模の契約をむすび、現地企業から前金の30％を受けた」とし、「数ヵ月後にルーブルでもらう70％の残金が心配で、夜もおちおち眠れない」と語った。
12月から外国企業と取引していたロシアの各企業は、これまでに出したオーダーまでキャンセルしている。例えば、いま船積すると来年の1月に到着し、その時に市場価格を反映することになるが、ルーブル安が継続すると、製品単価が来月には2倍にふわりと跳ね上がることがあるからだ。為替レートがある程度落ち着く気配を見せるまで、注文そのものを出さないのが良いというわけだ。LSネットワークスのチョン・ミョンス ウラジオストク支社長は、「ルーブル暴落で現地進出企業やロシア企業の両方が、生活的・事業的なすべての面で大きな衝撃に巻き込まれた」とし、「すでに対策を立てることができる水位を超え、今となっては追加で大幅に金利を上げるといってもあまり意味がない状況」だと語った。
ロシアで事業を行う多国籍企業も、困難に見舞われているのは同じだ。Apple社はスマートフォンなど、自社商品のロシアでのオンライン販売を電撃的に中断した。Appleは16日に出した声明を通じて「ロシアではiPhoneやiPadなど、自社製品のオンライン販売を中止する」と発表した。スポーツメーカーのアディダスは、ロシア国内の売り場を減らしている。アディダスはロシア事業の不振で、今年の実績展望値を20～30％削減する予定だ。仏エネルギー会社のトータル社は、ロシアの民間最大のエネルギー会社ルーコイル（LUKoil）社と共同で進めようとしたシェール開発の合弁会社設立を中断した。
現地の食品企業ボーケル（BOCHER）社のアレクセイ・キサク代表は、「肉・野菜などの購入価格がすでに20～25％も高くなり、今も上がっている」とし、「現在、入店している店舗の賃貸料もドルで支払っているが、為替レートの急騰で家賃も30～40％上がった状況で利益は最悪」だと語った。
懸念されるのは来年からだ。チ・ホチョン韓人会長は、「これまでのところインフレが本格化してはいないが、来年の1月ころには高い価格で輸入した物品が市場に流れ、物価上昇もさらに大きくなるだろう」と語った。
- 毎日経済_ニューヨーク＝パク・ポングォン特派員／ソウル＝イ・ジヨン記者／ヨン・ギュオク記者 | (C) mk.co.kr
- 入力 2014-12-18 03:00:11
