トップ > コラム > FOCUS > パンテック、米・中の3社が買収意向示す…希望拷問に疲れた社員たち

パンテック、米・中の3社が買収意向示す…希望拷問に疲れた社員たち

SKYやVEGAの神話を作った社員はほどんど去り「固有技術が無名の中小企業に渡るのではないかと憂慮」 

  • パンテック、米・中の3社が買収意向示す…希望拷問に疲れた社員たち
△写真=去る2日、新年が明けたが、稼働を停止したパンテック金浦工場内のすべての生産ラインは空いている。法定管理期間が長くなり、コスト削減に参加した職員も会社に戻らずにいる。 [イ・チュンウ記者]

かつて、売上高3兆ウォンでグローバル携帯電話企業の7位にまで上がったパンテックが企業の清算を心配しなくてはいけない境遇に置かれた。 24年前に営業担当者であったパク・ビョンヨプ副会長(53)が、住宅保証金だった4000万ウォンで設立したパンテックは、大企業系列ではなく、製造のスタートアップとして兆単位の売り上げを上げた珍しい「第1世代のベンチャー成功事例」と「サラリーマン神話」を作った。しかし、ほとんどの従業員が去った金浦工場には数人の従業員だけが残り、期限なく休職した仲間たちを待ちながら酷寒の新年を迎えていた。米国系ファンドと中国の電子メーカーの2社が買収意向を示し、希望は捨てていないが、パンテック独自の技術と特許を無名の中国企業に渡すかもしれないという錯雑な心境も伺えた。

「休職中なのに会社にはなぜ出てこられたのですか」(記者)
「これまでの20年間、新年に目覚めれば出勤していたのに行くところがなくて…」(パンテックの生産スタッフ)

新年の初出勤日だった去る2日午前10時、携帯電話メーカー、パンテックの京畿道金浦工場に出勤した従業員はわずか10人余り。 6か月前までは、1000人を超える従業員で賑わっだった工場は空しくなった。明かりの消えた工場に足を運び習慣のように席に着く少数を除けば、人も来なくなった。

現代電子の入社を始まりとして、ハイニックスとSKキュリテルを経て、これまでの29年間、パンテックと盛衰を共にしたパンテックのシン・ジェドク生産部長(47)は、工場を眺めるたびに胸が詰まる思いだ。先輩・後輩たちと意気投合してパンテックを「未生」(未完成な状態)から「完生」(完全な状態)へ作るという決意で新しい年を重ねてきた。

シン部長は「工場設備の配置のあちこちにアイデアや経験が染み込んでいるが、現物の価値だけを見て無形の資産を軽く扱われ、惜しい」と話した。工場で会った、ある生産職の課長は「昨年9月初めに休職する時には、10月頃にでも、法定管理(回生手続)から卒業することができるという楽観論が濃厚だった」とし「しかし、『希望拷問』(小さな可能性だけがあり、結局願った結果を得られない状況のこと)が長くなったため期待ないことが最善という雰囲気に変わった」と述べた。

  • パンテック、米・中の3社が買収意向示す…希望拷問に疲れた社員たち
  • < パンテック株主現況 *資料=サムジョンKPMG >

難航しているパンテックの新所有者探しが年を越えながら、役職員の強制休暇が長くなった。寝ても覚めても適切な買収者が現れ、会社を活かして欲しいと願うばかりだ。

パンテックのヤン・ユルモ常務は、「将来の方向性について議論しているが会社を管理するレベル」とし「現在、交渉が昨年よりよくなったと知っているので小さいながらも希望を持っている」と伝えた。

現在、生産も本社も関係なく月単位で交互に休んでいる職員は、昨年8月と11月の2回にわたる賃金削減により勤務時には平常時の70~80%、休職時は約半分(55%)を受けて働いている。昨年8月に法廷管理が開始された後、スマートフォンの出荷台数は、国内17万台、輸出8万台だ。全盛期のひと月の生産量にはるかに及ばない。

しかし、先月末に中国系2社と米国系1社を含む海外メーカー3社が裁判所にパンテック買収意向書を出したニュースが5日に伝えられ、職員たちは、再度靴ひもを結び始めた。

雰囲気が良くないため、ため息だけついていた従業員は、携帯電話の話を交わす時だけは瞳が輝く。評判に傷がつかないようにするという自負心においては企業の危機を垣間見ることができなかった。一寸先を見通すことができないが、3か月予想生産・販売計画を構想して、昨年の出荷分の不良品の商品化と事後管理(アフターケアサービス)は、これまで以上に徹底的にしているということだ。昨年12月にはソウル市の水西洞に新規のサービスセンターを開いたりもした。

企業が売れて所有者が変わっても、最終的に残るのは人とブランドだけという信念が強い。これまでに稼働を中断した工場を早期に正常化させるには、休職期にも勉強しなければならないと語った。

シン部長は「企業破産は一瞬で終わるが、製造施設と組織を再構築するためのコストと時間は、負債1兆ウォンの価値も超えるだろう」とし、「市場が変化する速度と競争企業が変化する速度に遅れをとらないないために、希望を捨てずに努力する」と覚悟を固めた。
  • 毎日経済 ユン・ジェオン記者 / キム・ユンジン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-01-07 04:01:01




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア