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視覚障害を持つ生徒のため「訓練ロボット」を開発したウォン・ジェヨン教師

13年の独学による結実 

  • 視覚障害を持つ生徒のため「訓練ロボット」を開発したウォン・ジェヨン教師
コンピュータとノートパソコン3台、タブレットパソコン2台。研究室を彷彿とさせる机の一方に様々な用具、ソケット、電子部品が積まれている。反対側の卓上に載せられたRCカー(リモートコントロールカー)の間にオレンジ色のロボットも見える。一見、研究所なのかと思うここは、京畿道南楊州市に位置するオナム高校の「マクガイバー」、ウォン・ジェヨン教師(37)の工房であり、特殊クラスの子供たちの教室だ。

ウォン教師がオレンジ色のロボットの電源をつけると青色LEDの光を放ちながら、あちこち障害物を避けて動いている。床に引かれた線もしっかり認識する。何かと思ったら「視覚障害者歩行訓練ロボット」だそうだ。オナム高校の特殊学級の教師である彼は、「一人で歩く練習ができていない中途失明者や未就学児を助けるために開発した」と説明した。

彼が最初にこのようなロボットを作ろうと思ったのは、2001年の教育実習の時だ。彼は「当時、視覚障害のための特殊学校であるソウル盲学校でさえ盲導犬を持つ学生が1つの階に1~2人しかいなかった」とし「残りの学生は、親の助けをもらったり、一人で杖に頼って生活しなければならなかった」と述べた。

その時に持った関心は、2002年に特殊教師に任用されてからも12年以上続いた。視覚障害をもつ学生のほんの一部だけが盲導犬の恩恵を得ることができ、それさえも5~6年で盲導犬が引退して伴侶人と別れなければならない事例を頻繁に見かけたからだ。そんな2013年11月、生徒と木工職業教育を行ったときに解決策を見つけた。工房に到着して授業の準備をしていたところ、子供たちが片側に集まってザワついていたのだ。彼が近くに行ってみると、タンク一台が前後に動いて光を発していた。タンクの所有者に「arduino」という標準化されたロボット基板を介して作成されたおもちゃだという説明を聞いた。

「これなら盲人を案内するロボットを作ることができだろうと思った。普段、あれこれコーディング(ソフトウェア開発)もしてみたり、RCカーも触ってみていたので、器用ではあるとそれなりに自信があった」

ウォン教師が作ったロボットは、盲導犬とできるだけ同じような感覚を持たせようとロボットを引っ張るひもを「コの字」の形で製作した。もしかしたら視覚障害者がロボットを離してしまう場合に備えて、センサを取付けてブザーが鳴る装置も忘れなかった。リモコンや本体にも点字で名称を記入しておいて、点字マニュアルも別途製作した。

開発の最後には、視覚障害者である同僚教師に試運転をお願いし入念なアドバイスまで受けた。彼は「制作費は自費でカバーした」とし「やり甲斐もあって楽しさもあり、もったいないとは思わなかった」と述べた。このような努力を認められたからか、彼のロボットは、昨年8月に京畿道の教育展で入賞した。しかし、ウォン教師は「まだ非常に不足な段階」とし、「階段や傾斜を登ることができるよう、モータやトラックを追加してみよとしているが、非専門家としての限界を切実に感じている」と笑った。

「視覚障害学生が転校してくると、トイレがどこなのか感覚的に身につけ、繰り返し歩かなければならい。それほど視覚障害者には、すべての日が挑戦だ。取るに足りないものだが、自分のロボットが完璧な視覚障害者の案内ロボット誕生の基礎になったらと思う」
  • 毎日経済 ウォン・ヨハン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-01-11 17:50:44




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