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コラム > FOCUS > 金融の新しいトレンド「フィンテック」とは? 金融と技術を合わせた造語
「フィンテック・インターネット専門銀行などにより、簡便かつ迅速なプレーヤーが市場に参入することができるようにします」(チェ・ギョンファン経済副首相兼企画財政部長官)
「フィンテック・創造金融など時代的潮流を活用して、韓国の金融成長動力が絶えず創出されるように金融革新を持続していかなければなりません」(シン・ジェユン金融委員長)
「非金融企業の金融業への進出が活発になることです。インターネットやソーシャルネットワークサービス(SNS)に基づいて、金融の消費者とメーカーが直接取引する『脱仲介化』が急速に進んでいます」(イ・ジュヨル韓国銀行総裁)
最近、チェ・ギョンファン経済副首相をはじめとするすべての経済・金融界の首長らが一堂に集まった「2015年汎金融機関新年会」が開かれた。
興味深かったのは、すべての参加者の挨拶・祝辞の中に同じ単語が入っていたという点だ。その単語とは外でもない「フィンテック(FinTech)」だ。わずか6か月前までもフィンテックは、韓国金融界では聞き慣れない言葉だった。しかし、今では誰もかれもフィンテックを強調する。銀行の中でフィンテック専担部署が作られたほどだ。
だとすると、フィンテックとは何なのであろうか。
フィンテック(FinTech)とは、文字通り「金融(Financial)の技術(Technology)」を意味する。もっと正確に言うと「金融生活をより便利にしてくれる高度化された技術」だ。すでに多くの消費者が使用しているテレフォンバンキング、インターネット・スマートフォン決済などがすべてフィンテックに含まれる。
ところで、なぜ今更フィンテックが話題なのだろうか。過去には複数の条件により、金融と技術の組み合わせが制限されていた。消費者は銀行の窓口職員と顔を見合わせる対面取引に慣れていて、発展した技術や金融を結合してくれる媒介体もなかった。
しかし、スマートフォンの登場がすべてのことを変えてしまった。消費者はスマートフォン環境に慣れて、その中ですべての金融取引をしようとしている。実際、スマートフォンはフィンテック消費者の金融ライフを丸ごと変えている。スマートフォンにインストールされている資産管理アプリケーション(アプリ)を介して消費計画・パターンなどの様々な金融情報を一目で見ることができ、投資ポートフォリオの調整も可能だ。
その他にも、仲介手数料なしで国家間の送金をしてくれるアプリと安い利子で個人間の金融融資を行うフィンテック企業も登場した。
iPhone 6・6 Plusに搭載された「アップルペイ」も代表的なフィンテックだ。アップルペイは、近距離無線通信(NFC)技術を活用した決済手段で、アップルと連携した外国銀行で発行されたカードさえあれば、国内の一部の加盟店でも使用することができる。
では、フィンテックは韓国の金融業界における危機だろうか、チャンスかだろうか。
フィンテックは、銀行の窓口職員、個人資産管理士(PB)、保険代理店、クレジットカード募集人などの人がすることができる部分を代替する可能性が高い。そうなると、自然とこれまでの金融機関内の人材の需要が大幅に減少し、新入社員の採用などが減少する可能性がある。
既存の金融機関の立場では、複数のコストを削減することになる肯定的な側面がある一方、市場の一部を通信社や電子会社などのICT業者に渡さざるを得なくなるだろう。また、先制的にフィンテックを受け入れなければ競合他社に押されて淘汰する可能性もある。
フィンテックを便利さだけを追求するための手段と考えてはならない。簡便性・迅速性だけを考えて安全性を見落としてはならないからだ。