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[MWC 2015] サムスンペイ、今夏に開始…既存のクレジットカードリーダー利用


  • [MWC 2015] サムスンペイ、今夏に開始…既存のクレジットカードリーダー利用
  • < GALAXY S6の破壊力 >

サムスン電子のフラッグシップスマートフォン「GALAXY S6」の発売は、大きく3つの部分から関連市場に大きな波紋を起こすと思われる。モバイル決済「サムスンペイ」と、独自のモバイルプロセッサ(AP)「Exynos(エクシノス)」、そしてワイヤレス高速充電方式がそれだ。サムスン電子がモバイル決済サービス「サムスンペイ」を今年の夏、国内と米国で開始することにしたことで、既存の金融会社も超緊張状態に入った。支払い情報が記録されるサムスンペイは、既存のクレジットカードリーダーでもそのまま支払いできるからだ。

GALAXY S6の公開イベントで申宗均(シン・ジョンギュン)社長は、「汎用性と安全性の両方を重視しているサムスンペイは、来る夏に米国と韓国で開始される」とし、「すでにマスターカード、ビザ、アメリカンエクスプレス、バンク・オブ・アメリカなどの、さまざまなところと提携を結んだ」と明らかにした。サムスン電子は先月18日、米国のモバイル決済会社ループペイ(LoopPay)を買収し、市場の関心を集めた。ループペイは磁気セキュア転送(MST/ Magnetic Secure Transmission)方式を使用するために、特別な装置がなくても店舗での直接決済が可能だ。米国内の90%近くの店舗で利用できる。サムスンペイにもこの技術がそのまま受け継がれた。

決済する際にカード番号を直接入力せずに、一時的な番号であるトークン情報を使用することでセキュリティが強化された。取引情報も端末には保存せず、流出の危険を防いだ。モバイル決済市場が世界的に大きく成長しているため、サムスン電子の「フィンテック(Fin Tech)」挑戦にはタイムリーだという評が多かった。

特にスマートフォンにおけるアンドロイド陣営には、はっきりしたモバイル決済の強者がいないという点も、迅速な決定だと評価された。キム・ギョンミン大信証券アナリストは、「サムスン電子のスマートフォンの最大課題は生態系を形成すること」だとし、「短期成果を示すことは難しいが、モバイル決済を通じて意味のある変化を見せてくれた」と評した。

国内カード会社は非常事態だ。新韓・サムスン・KB国民・現代・NH農協・ロッテカードの6社は、スペインのバルセロナに実務陣を派遣したが、状況を短期間で反転させる鋭い解決方法は出てこないだろうと思え、カード会社の憂いは深まるものと思われる。

あるカード会社の関係者は、「国内のスマートフォンのシェア60~70%を独占しているサムスン電子に決済機能が備わると、クレジットカードをすぐさま代替できる」とし、「まだ主のいない‘無主空山’的な国内のオフライン決済市場をサムスンが掌握できる」と予想した。

  • [MWC 2015] サムスンペイ、今夏に開始…既存のクレジットカードリーダー利用
  • サムスンGALAXY S6とGALAXY S6 Edgeアンパックイベントを訪れた観覧客らが製品を試している。 [写真提供=サムスン電子]

サムスン電子は今回、これまで積極的に採用してきた米クアルコム社のモバイルプロセッサ(AP)「スナップドラゴン」と決別した。最新モデルのスナップドラゴン810で発熱現象が起きたからだ。代わりに独自APのオクタコア基盤の「エクシノス 7420」を搭載した。エクシノス 7420は、サムスン電子が業界初の3次元トランジスタ構造「FinFET」プロセスを適用した、14ナノメートルモバイルAPだ。このプロセスによって前作よりも速度は20%高速化する一方で、消費電力は35%減少した。

GALAXY S6のパフォーマンスの向上とバッテリ寿命の維持を成し遂げた背景に、エクシノス 7420がある。もしもエクシノス 7420が安定してGALAXY S6に供給された場合、サムスン電子としては、昨年クアルコムが記録した世界AP市場シェア52.9%のうち、かなりの部分をサムスン電子にもたらすことができる見込みだ。こうなれば、APの生産市場はクアルコムとアップル、サムスン電子の3大軸に大きく再編されるわけだ。

サムスン電子の「ワイヤレス高速充電」も事実上、業界の新たな標準となる見込みだ。これまで固守していた着脱型バッテリーを捨ててまで一体型のデザインを選択したというニュースに、ユーザーはバッテリー性能と充電方式を心配してきた。一体型デザインを採用したiPhoneの(アップル)の慢性的な問題は、すぐにカラになるバッテリーだったからだ。サムスン電子はワイヤレスと高速充電を答えとして提示した。

これのおかげでGALAXY S6とGALAXY S6 Edgeは、ワイヤレス充電パッドの上に置いておくだけで充電できる。充電速度も前製品よりも1.5倍速い。10分間充電すれば、バッテリーは4時間耐えられるというのがサムスン電子側の説明だ。

より簡単にワイヤレス充電環境を作るために、家具メーカーのIKEAと協力した点も目立つ。

アップルがサムスン電子の大画面戦略に沿ってiPhone 6で花を咲かせたように、業界内外ではアップルもけっきょくワイヤレス充電技術を採用する可能性が大きいとにらんでいる。事実上のスマートフォンの充電技術の標準で、業界が再編されるわけだ。
  • 毎日経済_バルセロナ(スペイン)=ユン・ジェオン記者/ソウル=ホン・ジャンウォン記者/イ・ギョンジン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-03-02 20:00:25




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