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韓国経済でお金の循環が鈍化…デフレの懸念からか


  • 韓国経済でお金の循環が鈍化…デフレの懸念からか
「お金が回らない」

韓国経済で、お金が回らない「金脈硬化」が史上最悪の状況に至っている。個人はお金を稼いでも使わず、企業は利益を上げても社内に積み上げている。お金が回るようにするのが仕事の金融会社は保身主義に陥ってお金の流れを妨害している。経済が回るための潤滑油の役割をするお金が回らないせいで、韓国経済のあちこちに破裂音が響いている。

お金の流れは実体経済を反映している。このため、実体経済が良くなければ、お金が回らない。しかし、最近ではお金が回らず、実体経済を締め付けるている格好になっている。政府が直接お金を回さなくてはいけないほど状況は深刻だ。ペ・サングン韓国経済研究院副院長は「金融・実物など、すべての分野で政府が破格的な政策を出してお金を回さなくてはいけない」と話した。

韓国の経済は最近、生産・消費・投資のすべてが萎縮しており、景気を活性化させる対策が急務となっている。景気の活性化のために財政を投入して、金利を下げたものの、効果はわずかだった。景気活性化のために金利をもっと低くする必要があるという圧力が高まっているが、いくら財政を拡大したり金利を低くしてもお金が上手く循環しないなら、効果は大きくないだろうというのが専門家たちの分析だ。

各種指標を見ると、韓国経済の「金脈硬化」現象は、歴代最高水準にある。政府が出回らせたお金が民間でどれほど流通するかを示す貨幣乗数は、昨年12月末に19倍を記録し、歴代最低値に近接した。貨幣乗数は、昨年8月に18.9倍から昨年11月には19.5倍まで回復したものの、年末に再度急落した。個人がお金を受け取って、これを銀行に預金すると、銀行はお金をまた他の人への融資する。銀行から融資を受けた人は、これを再び他の銀行に預金する状況が繰り返され、通貨量は増え続けることになる。

貨幣乗数が高いということは、このようにどのくらいのお金が早い速度で循環するのかを示してくれる指標だ。貨幣乗数が下落すれば、政府がお金を供給しても金融機関の中で回らないため、通貨量を増幅させる効果が減少する。

韓国の貨幣乗数は、2008年に27倍に達したこともあるが、2010年以降は継続的な下落傾向を見せている。

貨幣乗数の低下現象は、最近、韓国経済に襲い掛かっているデフレ現象を反映している。物価が適切なレベルまで上がらなかったり、下落する兆しを見せると、個人がお金を保持しておこうとする傾向が高くなる。実物に投資するよりも、お金をもっていれば 、後で多くの収益を得ることができるためだ。

LG経済研究院のチョ・ヨンム研究委員は、「市中にお金が循環しないのは、デフレ状況に対する国民の懸念を反映したものである可能性もある」とし「デフレ状況では、現金貨幣を持っている方が有利だからだ」と指摘した。デフレの兆しが見えればお金が循環せず、お金が循環しなければ、再びデフレを煽るという悪循環​​が形成される可能性が高い。

建国大のオ・ジョングン特任教授は「お金が上手く循環しないため物価が下落し、今のデフレに対する懸念も生じている」と述べた。

お金が循環しないのは、韓国の地下経済が盛んだからだという見方もある。最近、5万ウォン札が市中から消えている現象が、これを反映する。市中の資金が賄賂などで不法に活用される場合、これは地上に上がってこず、地下に潜伏して貨幣乗数が低下する。

これと共に地下経済では、クレジットよりも現金を絶対的に優先するため、お金の流れがより静的になる影響もある。

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チョ・ヨンム研究委員は、「韓国経済で現金経済(キャッシュエコノミー)が活性化するなら、これはかなりの部分で地下経済と密接な関連があるため、経済の健全性が損なわれるだろう」と述べた。

貨幣乗数が金融機関でお金が回る速度を意味するなら、貨幣の流通速度はお金が実体経済をどれほどあおることができるかを示す指標だ。この指標も歴代最低値を記録した。昨年、第3四半期に貨幣の流通速度は0.73を記録し、去る第2四半期(0.74)よりも低くなった。第2四半期に続き歴代最低値を更新したのだ。

金融機関でもお金が循環せず、このお金が実体経済にもつながらないため、政府が財政拡大と金利の引き下げを通じて金融緩和を行っても政策の効果は発揮されにくい。

現代経済研究院のキム・チョング専任研究員は「市中でお金が循環しなければ、お金を供給しても景気が回復しない『流動性トラップ』が現れる可能性がある」と述べた。政府の政策も金融緩和に集中するよりは、お金が循環できる条件を作らなければならないという指摘も提起されている。

キム研究員は、「拡張的財政政策をはじめ、家計の所得を増やす政策を推進しながら、投資環境を制約する各種規制を緩和し、税制支援などを通じて投資インセンティブを提供し、企業の投資拡大を誘導する必要がある」と助言した。

JPモルガンのイム・ジウォンエコノミストは、「韓国の家計部門の資産のうち、預金が占めるポーションは50%で、米国は20%未満だ」とし「金利を下げると、韓国のような場合は預金者が多いため、利子収益が減少するため、引き下げの効果が小さい」と指摘した。

一方、お金が循環しない現象までを考慮して、破格的な金利引き下げを介して市中に流動性を大幅に供給する必要があるという主張も提起されている。現在のようにお金が回らない状況では「ほんの少しの金利引き下げ」では効果がないからだ。

韓国経済研究院のキム・ソンフン研究委員は、「韓国でも短期的処方で、基準金利を1%ポイント下げる必要がある」とし「ヨーロッパとアメリカがやったように、量的緩和も考慮する必要がある」と述べた。
  • 毎日経済_ノ・ヨンウ記者 / ソ・ドンチョル記者 / キム・テジュン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-03-06 06:20:38




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