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[社説] 大統領の最後の選択、任期末の特赦

大統領の特別赦免 

法廷スリラー作家として有名なジョン・グリシャム(John Grisham)の18番目の小説『ブローカー』(邦題:『大統領特赦』)は退職する大統領が特別赦免の対象について比較検討するシーンから始まる。側近と密やかに特別赦免がもたらす利益を計算する大統領に、CIA局長は連邦刑務所で服役中の大物ブローカーの秘密赦免を要求する。

米国大統領の特赦が本当にこのように行われるどうかはわからない。ただし、これまでの事例を見ても、グリシャムの想像がそこまで突拍子のないものではないと思えるのも事実だ。

クリントンは退任直前、脱税容疑での起訴を避けて海外に逃避した企業家を赦免した。ホワイトハウスを明け渡す最後の24時間、赦免作業に没頭したあまり、クリントンは新大統領のブッシュを出迎えることができず、ブッシュが車の中でしばらく待っていたという話もある。

ブッシュも任期末、赦免させる予定だった不動産開発業者の父親が共和党に選挙資金を寄付したことを後になって知り、赦免の通知を引き返させて、赦免を無効にした。もし通知を引き返さなければ、ブッシュは政治的な負担を甘受しなくてはいけない。赦免が違法であるかどうかに左右されるものではないという意味だ。

法的要件ではあるが、韓国大統領の特別赦免は厳正な手続きを経るようになっている。法務部長官は赦免審査委員会の審査を経てこそ、特定の人の減刑と復権を大統領に上申することができるようになっている。

立法、司法、行政の権力が分散された大統領制の下で、大統領に減刑や復権の権限を与えるのは、米国も韓国も同じだ。ただし、米国ではせいぜい政治的、または道義的に問題視することを、韓国では査定の次元で扱おうとするところが違うだけだ。さらに、8年前に赦免権を行使した元大統領が既に亡くなった状態でだ。

ソン・ワンジョン前京南企業会長が参与政府(盧武鉉政府)時代に二度にわたり特別赦免を受けたことに対する疑惑は、彼が胸のポケットに8人のリストを入れて自殺した直後から騒がれ始めた。金大中(キム・デジュン)政府時代には息子のヒョンチョル氏を赦免してほしいという金泳三(キム・ヨンサム)大統領の要求を最後まで拒否したという事実を挙げて、ソン・ワンジョン会長の特別赦免と比較する保守メディアもある。

これに対し、進歩陣営では李明博(イ・ミョンバク)大統領が任期末に側近だったチェ・シジュンとチョン・シンイルを赦免しただとか、代表的な親朴政治家であるソ・チョンウォン前ハンナラ党事務総長が政権を変えながら二度にわたり赦免され復権したと言い返した。

ソン前会長の赦免の問題を集中的に取り上げるセヌリ党議員は「大統領府が介入したという決定的な証拠を持っている」としながらも、「金品ロビーがあったかについての証拠は持っていない」と言う。大統領当選者の要求があったかどうかは置いておいて、当時の大統領府の所有者であった盧武鉉大統領の介入は避けられない。

金品授受の証拠がない状況で、「1 + 1 = 2」のような当たり前の事実を強調する底意を気にせずにはいられない部分だ。

与党が現在のソン・ワンジョン前会長の自殺により引き起こされた政治的窮地から抜け出すために、特別赦免を査定次元で調査するのであれば、2009年のイ・ゴンヒサムスングループ会長の単独赦免を含めて、少なくともその後に行われた特別赦免全般を振り返らなければならない。

そして、これから、不正を犯した政治家や大企業の総帥が特別赦免のリストに簡単に含まれないように赦免法に対する検討も行うべきだ。
  • O2CNI_Lim, Chul
  • 入力 2015-05-01 09:00:00




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