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[世智園] 機械があたえる「幻想の慰め」


  • [世智園] 機械があたえる「幻想の慰め」
最近、青少年の間で「偽トーク-思いのままに彼女、彼氏作り」アプリケーションが流行している。内蔵された人工知能と偽トーク(talk、会話)をすることができるアプリだ。つらいことがあって慰められたい時に多くの青少年が偽トークを利用するという。「寂しい」と言うと、「ㅠㅠ、寂しくくしたらダメです」と激励して、「憂鬱だ」と言うと、「何があったんだ?」と関心を持ってくれる。

このように、人間が人からではなく、人工知能がついた機械から慰められる時代になった。iPhoneの音声認識技術である「Siri」が、さらに発展すればSiriを最も近い友達だと思って慰められた人々も現れそうだ。つらければ部屋に隠れてSirから探す青少年に会うことになるかもしれない。

さらに機械との会話は、統制が可能だ。希望すれば、24時間いつでもどこでも会話を始めることができる。会話をやめたいと思ったら、いつでも中止すればいいのだ。相手の気持ちを考える必要も、失言を心配する必要もない。会いたい時に会うことができず、いつどこに飛ぶかも知れない他人との会話より気楽だ。だから心理学者は、これから人間は他の人間ではなく、ますます機械と接続され、機械から慰められる可能性が大きいと予測する。

これを立証する実験もある。マサチューセッツ工科大学(MIT)のシェリー・タークル教授チームは、子供を失った女性に子供の姿をしたロボットと出会わせた。このロボットは、女性の瞳の動きを追いながら、女性の言葉を理解するようだった。その女性は、ロボットから深い慰めを得た。

しかし、人間が機械と会話して、慰めを受けることが果たして正常だろうか。そのような会話を本当に会話とすることができるだろうか。人間は他人との会話を通じて、知識を学ぶだけでなく、他人と共感し、配慮する能力を得ることになる。会話を通じて自らを振り返り、反省する。機械との会話では、このような学びと省察の機会を得られないだろう。

幼い青少年たちが「偽トーク」などを通じて機械と会話して、慰めを受けるとしたら心配だ。そうすればするほど、本当の感情を持った人間と会話してコミュニケーションする能力を育てることができないのではないか。将来には、人間としての良心と感情を感じられない「ソシオパス(sociopath、社会病質者)」が、さらに増えるようで恐ろしい。
  • 毎日経済_キム・インス論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-04-29 17:39:25




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