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インターネット掲示板にうろつく20代の物乞い族

厳しい世の中で青年たちは自尊心を喪失 

  • インターネット掲示板にうろつく20代の物乞い族
「希望もなく、一日一日を窮乏の中で暮らしています。たまにご飯を買って食べなさいとお金を送ってくれる人がいます。藁にもすがる気持ちで毎日2時間ずつのぞきこみます」

ソウル駅で出会ったホームレスの話ではない。将来が有望な20代の若者の話だ。もちろん物乞いする場所はインターネットだ。ネットユーザーの間では、「サイバーソウル駅の乞食たち」という自嘲混じりの言葉さえ出てくる。

首都圏に居住する、イ・ジョンフンさん(仮名・22)は一週間前から毎日、あるインターネットの掲示板をうろつき始めた。最近ここで始まった「物乞い文化」のためだ。「2~3時間ずつのぞきこんでいたら、『お金を撒く』という書き込みが一つが投稿された。猫も杓子も口座番号を書いたコメントを書き込んだが、運良く私が落札した。その日の食事代は稼いだわけ」。彼は3日前に「物乞い掲示板」で1万2000ウォンを稼いだ。

最近、インターネットの掲示板で物乞いする若者たちが雨後の筍のように増えている。「生活があまりにも辛い。お金をちょっと送ってほしい」と自分の事情とともに口座番号を投稿するのだ。さらに「事情コンテスト」まで繰り広げ、物乞い競争をしたりもする。

個人の会社で勤務するキム・ジョンソンさん(仮名・23)も出勤するやいなや「物乞いの掲示板」から入る。多くない給料だけでは入隊前にインターネット賭博で負けてつくった借金を抱えきれないからだ。彼は「運が良ければ物乞いだけで1日5万~6万ウォンをただで稼げると聞いたが、まだ成功したことはい」と語った。

このような物乞い文化の出発点となったのは、インターネットの賭博サイトだ。賭博でお金を稼いだ少数の人が実際にゲピョン(博打でお金を稼いだ人が少しのお金をただで配ること)を与えるように「サイバー乞食たち」にお金を送ったところ、これを受け取った人が「ありがたく受け取る」と認証写真を上げた。このような成功事例が口コミを乗って猫も杓子も物乞い競争に飛び込むことになったのだ。

スポーツTOTOなどでお金を失った人々が猫も杓子も「急銭(今すぐ必要なお金)が必要だ」という式の書き込みをインターネットの掲示板に投稿し始めたことが火をつけた。スポーツTOTOを楽しんでいる会社員のパクさん(仮名・31)は、「賭博でお金を失った若者たちがトトギャラリーという掲示板に自分の口座番号を載せながら物乞いする場合が多かった」とし「これが他のコミュニティに転移し、賭博でお金を失った人だけでなく、貧しい若者さえも飛び込むようになった」と伝えた。

最近、記者がイさんとキムさんが常駐する「物乞いの掲示板」に直接入ってみたところ、すぐに「食べたもの(賭博で稼いだお金)のような気がしない。救済でもするべきだろう」という書き込みが掲載された。スポーツTOTOで稼いだお金の一部を撒くという内容で、「元金を除いて、23万ウォンを撒くつもりだ。ただし、切迫していて心に響く事情を書き込むこと」と書かれていた。その書き込みが掲載されると、数十件のコメントが瞬く間に書き込まれた。すべて自分の口座番号と一緒に「心からお腹がすいている」「タバコを買うお金が必要だ」などの「訴えるコメント」を投稿して、物乞いをした。

このようなインターネットの物乞い文化は、隣国の日本ではすでに日常化している。「金くれ」というインターネットサイトは、インターネット乞食のための口座情報登録サイトで、ツイッターと連動して、若い世代を引き込んでいる。

専門家は、青年層のこのような新文化について様々な解釈を出した。

亜洲大学社会学科のキム・ビョングァン教授は、「若者たちの『集団情緒』が否定的な方向に偏っている」とし「世知辛くなる社会の中で一部の青年層の低い自尊心を反映しているもの」と解釈した。高麗大学社会学科のイ・ミョンジン教授は、「バスや地下鉄などのオフライン空間での物乞いが引き起こす羞恥心を、オンライン空間では回避できるという考えが作用したもの」とし「成功確率は低くても簡単にできるという特性が青年層の物乞い文化を煽るようだ」と話した。
  • 毎日経済_キム・シギュン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-05-01 17:43:17




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