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[社説] ソン・ワンジョン前会長の自殺復讐劇は、未遂に終わるのか


  • [社説] ソン・ワンジョン前会長の自殺復讐劇は、未遂に終わるのか
ソン・ワンジョン(成完鍾)前京南企業会長の命をかけた復讐劇は、実を結ばない可能性が大きくなった。

ソン会長が自殺しながら残したメッセージに名前のあった8人のうち、捜査を受けたホン・ジュンピョ(洪準杓)慶尚南道知事とイ・ワング(李完九)元首相は在宅起訴処分を受けた。

もちろん、検察が起訴意見を明らかにしただけで、裁判の過程で有罪が確定する場合は法の裁きを受けるが、現在としては法の基準が峻厳だと見ることは難しい。検察の捜査過程でホン知事は、元検事らしく法の盲点をついた状況が多分に見える。大物政治家に提供される国会対策費を持ち出して、捜査網を避けていくと同時に、政権の中枢に警告状を投げ入れる緻密さを見せた。

妻から受け取った政治資金は、妻が密かに貸金庫で管理してきたお金だと釈明し、道義的責任を負うどころか、法の処断は受けないという確固たる意志も明らかにした。

検察がホン知事の剣幕により、一歩後ろに引いたと断言することは難しい。政治上層部の指示を受けたとは考えたくもない。それでも検察の在宅起訴決定に物足りなさが残るのは事実だ。

検察は、政治資金法違反の場合「2億ウォン未満であれば在宅起訴」で通すことにしているという内部基準を持っていると強調している。しかし、このような基準を認めたとしても、この事件を見守る国民の視線、政界への徹底した不信風潮などは気にせずに、内部基準を適用して在宅起訴を決定をしたことに同意する国民は多くない。

ソン前会長が冷たい遺体で発見された後、検察は捜査初期にソン前会長の側近を証拠隠滅の疑いで相次いで拘束した。金をあげた人を処罰しようとする検察の刀が、金を受け取った大物政治家の前では鈍くなるのであれば、すぐにでも衡平性に問題が生じる。

特にホン知事とイ前首相は側近を利用して証人を懐柔し、虚偽の陳述を強要する状況が明らかになっただけに、拘束捜査をしなくてはいけないというのが法曹界の大体の意見だった。検察が拘束状を請求しても、提示した証拠が貧弱で棄却される可能性ももちろんある。しかし、これは検察が心配したり、考慮すべき点ではない。

ソン前会長のリストに載っていた人物のうち、比較的証拠が裏付けされている二人の在宅起訴の決定が、他の人に対する検察捜査の基準と考えられているからだ。リストに名前のあった残りの6人は、検察にとってさらに手強い相手だ。生きている権力の最側近だったり、大統領選挙の資金に関連する関係者だからだ。

ソン前会長のリストに名前があったからと罪を作って審判することはできない。しかし、法の執行者として、最低限の責任を感じる捜査機関であれば、国民の耳目が集まったこの事件で政治的判断を下すべきではない。

青瓦台(大統領府)に劣らない莫大な権力を行使する検察が、力のない市民にのみ刀を振り回すという不信を育てては困る。検察は裁判所の前で法治主義を実現し、「法の前には平等だ」という自明の事実を示さなければならない。
  • O2CNI_Lim, Chul/写真=毎日経済
  • 入力 2015-05-24 08:00:00




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