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[SNSの世界] 不信をを食べて育つSNSのデマ


  • [SNSの世界] 不信をを食べて育つSNSのデマ
#死傷者400人余りが発生した中国の長江フェリー沈没事故。最近ニューヨークタイムズは、沈没した旅客船から生存者を救助できる可能性が希薄になり、中国政府が「情報統制」を強化していると報道した。事故現場で外国人記者に対してホテル宿泊や病院取材を防ぐなど、外国メディアの取材を妨害しているということだ。また、デマの拡散を防ぐために、SNSの取り締まりもこれまで以上に強化していると指摘した。ニューヨーク・タイムズは「政府所有の旅客船沈没をめぐり、国民的怒りが共産党政権に向かないようにSNSのブロックと削除などの情報統制を強化している」と分析した。

#2012年、米国東部で100人余りの命を奪ったスーパーハリケーン・サンディ(Sandy)。電気が切断され、燃料・食糧不足で困難が大きくなると民心が悪化した。SNSには「移民者は連邦政府の支援を受けることができない」「政府が被災者に500ドルずつの小切手を支給する」など、確認されていないデマが出回った。

アメリカ合衆国の連邦緊急事態管理庁(FEMA)は、直ちにデマ対応チームを編成してホームページに「デマ統制(Rumors Control)」コーナーを新設した。SNSに出回っているすべての噂について「事実(Fact)」かどうかを説明して、電話・インターネットを通じてデマの確認及び質疑にも積極的に対応した。

SNSが中東呼吸器症候群(MERS)に関するデマで熱病を患っている。「どこの病院で患者が発生した」であるとか「鼻の下にワセリンを塗れば、予防することができる」など、内容もさまざまだ。「当分の間、ラクダに乗って出勤しないことにする」などの保健当局を嘲笑するような投稿もあふれている。

病気と自然災害、大規模な惨事などが発生した場合、社会共同体に正常な疎通の機能は一時中断される。ソーシャルネットワークサービス(SNS)は、このような状況で、最新の情報を最も迅速に広めることができる強力な手段だ。最近発生したネパールの地震も、全世界の人がSNSを通じて、どの地域の被害が大きく、どのような支援を必要としているかを迅速に把握することができた。一方、状況をより不安定にして被害を悪化させる「噂のブラックホール」として悪用されたりもする。

では、天災地変が発生した場合、SNSにはなぜ噂があふれるのだろうか。その理由として、専門家が発生原因と結果を最終確認するまでに「時間差」があるからだと説明する。個人は天災地変が発生すると、必要な情報を十分に確認するのが難しい。情報不足のため空虚さ(不安感)を埋めるために虚偽の情報に惑わされて、これを流布しようとする属性がある。SNSの登場は虚偽の情報が全国的に再送信されて拡大再生産される速度を「一瞬」に短縮させた。特に「悪い噂」は、状況をさらに悪化させている。

デマを最初にSNSに投稿する人は、自らが創作したり、オフラインで聞いた(見た)情報を掲載するのだろう。内容が事実かどうか知らないまま邪悪な目的ではなく、好奇心や楽しみのために投稿したりする。情報の出処や内容が確認されるやいなや、これを確認するための不安感に上げる事例も多い。

「○○病院で患者が発生したというのは本当ですか」というような文は、不安感を表出したものだ。特に、自分と関与している内容(同じ町内の病院や学校など)であれば、焦りは大きくなってデマの最初の生産者になる可能性も大きい。

問題は、これを再送信する「クリック行為」だ。毎日多くのデマが投稿されるSNSで、デマが急速に拡散される主な原因は、最初の生産ではなく、数多くの再送信だ。通常、SNS上でデマを見ると、これを無視するか受け入れるか、再送信するか否かの2度の意思決定を下すことになるという。このとき、決心するのに最も大きな影響を与えるのは、情報の内容の「妥当性(attractiveness)」と最初のデマ生産者に対する「信頼性(credibility)」だという。

韓国政府は中東呼吸器症候群(MERS)発生病院の情報を統制したまま、怪談流布者を処罰するという。SNSに出回っているデマが、何故それらしく見えた、より信頼感が生まれるのかを政府はまず直視しなければならない。米国のように災害発生の直後にSNSデマ専門チームを構成し、怪談が芽生える余地を作ってはならない。
  • 毎日経済_ソ・チャンドン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-06-05 17:30:27




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