トップ > コラム > FOCUS > [I ♥ 建築] 文化財と枝打ち

[I ♥ 建築] 文化財と枝打ち


  • [I ♥ 建築] 文化財と枝打ち
泰陵(テルン)選手村を撤去しなければならないという話がある。その理由は、隣にある貞陵(ジョンヌン)をより適切に保存するためだという。泰陵選手村は国威を宣揚することに、大きな役割をした近代韓国スポーツ史の揺籃だ。このような施設は、外国では珍しい特殊な近代主義の産物でもある。恐らく、ソビエト連邦、中国共産党、東ドイツなどに、このような施設があったのだろう。

国家代表は当然、国の施設で訓練すると考えていた子供の頃の筆者は、米国の国家代表選手が自分の農場で訓練する姿を見て驚いた記憶がある。泰陵選手村は特殊な歴史的建築遺産だ。

泰陵選手村と貞陵の対決は、まるで近代遺産と朝鮮時代の遺産の対決のように見える。私たちは、知らぬ間に朝鮮時代の遺産だけが重要で、近代のものは重要でないと考えているようだ。もちろん近代は数十年前の事で、朝鮮時代は数百年前の事だから、そう感じるのも無理はない。しかし、1000年が過ぎれば、1050年前の遺物も1600年前の遺物もすべて重要に感じるだろう。

韓国は近代史について批判的だ。その時代は、独裁時代と定義される。一つの事件に光と影が同時にあるはずなのに、主に影だけ見つめているようだ。独裁が打倒の対象であるように、近代史の建築物も撤去対象としてのみ見ているようだ。私たちが数十年経った、意味のある建築物を壊し続ければ、我が国の近代の歴史は、建築的に空白になってしまうだろう。

建築の保存が常に正しいわけではない。中央庁が景福宮を覆っているとき、中央庁の建物を壊すほうが正しかったと思う。なぜなら、より大きな絵からソウルという都市設計に景福宮が持っている重要な概念を中央庁と真ん中にあったイチョウの並木が覆っていたからだ。時には壊すことも正しい。中央庁の建物が独立門のように他の場所に移転したなら、さらに良かっただろう。当初の計画は、移転だったが、残念ながら中央庁は石造りの建物ではなく、コンクリートの建物であるため、壊すことしかできなかったという。

建築は時々には壊さなければならないし、時には保存する必要がある難しい意思決定の過程だ。まるでしっかりとした木を作るために、慎重な枝打ちが必要なのと同じだ。
  • 毎日経済 ユ・ヒョンジュン弘益大学建築学科教授 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-12-10 17:47:10




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア