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[筆洞情談] 「アジア人乳母」論議


  • [筆洞情談] 「アジア人乳母」論議
先週末、BBCの「かわいい放送事故」がインターネットやソーシャルネットワークサービス(SNS)を熱くした。ロバート・ケリー釜山大教授がBBCと朴槿恵大統領弾劾関連のインタビューをしている部屋に、踊る女の子と歩行器に乗った赤ちゃんが乱入(?)した事件だった。その後、女性が慌てて部屋に飛び込んできて子供たちを連れ出すシーンが生放送で全世界に報道された。

朴元大統領の弾劾以降、韓国と北朝鮮の関係の変化について説明していたケリー教授は慌て「申し訳ない」を連発した。しかし、見る人を笑顔にする愛らしい映像だった。フェイスブックでのみ3000万回以上が再生され、爆発的な人気を集めた。表面上威厳があっても、私たちの日常の後ろ姿はあのようなドタバタの連続であるからではないか。俳優トム・ハンクスが「ここにはフェイクニュースがない(No Fake News Here)」というコメントを書き込みこの映像をツイートし、これをパロディした動画も先を争って投稿された。

この愉快なハプニングを苦々しいものに変えたのは、映像に対して書き込まれたコメントとメディアの誤った報道だった。「あの可哀そうなベビーシッターが解雇されませんように」などの文が次々と書き込まれたのだ。子供を連れて出て行った女性を「乳母(nanny)」だと断定したのだ。私は音声なしに映像を見たにもかかわらず「韓国女性と結婚したんだな」と考えたが、外国人たちの認識は完全に異なっている状況だった。実際に彼女はケリー教授の妻だった。多くの人々がこの女性をベビーシッターだと思い込んだのは、「白人家庭の東洋人女性はベビーシッター」という人種偏見に起因したもののようだった。無意識のうちに白人優越主義が機能したのだ。BBCはホームページに、この映像と一緒に「なぜ人々は、アジア人女性を乳母だと思い込んだのか」というタイトルの記事を掲載した。

この記事は、「多くの人々が彼女を家政婦として想定したのは、アジア人女性の役割に対する人種的な固定観念に根拠がある」と指摘した。

「アジア人乳母論議」を多くの人がアジア人卑下と解釈したが、振り返ってみると韓国人の人種や民族に対する無視と偏見も少なくない。韓国は急速に多文化国家に変貌しているが、韓国人と東南アジアのカップル、タイやフィリピンなどから移住してきた女性などに対する私たちの視線は、それほど暖かくない。今回の放送事故が私たちの中に内在している人種偏見について振り返るきっかけになればいいと思う。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2017-03-13 17:34:50




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