トップ > コラム > ゲーム業界「年俸契約、更新できず」…「労働短縮」でパニック

ゲーム業界「年俸契約、更新できず」…「労働短縮」でパニック


「週52時間労働の趣旨に共感するが、新製品やサービスの発売直前の業務が集中するゲームとIT産業の特性に適合しません。トレンドがあっという間に変わるのがIT産業で、製品発売日に合わせられなければ何の意味がありますか」。

来る7月から300人以上の事業所に週労働時間を68時間から52時間に短縮する内容の勤労基準法改正案が適用される中で、ポータルやゲームなどの大型IT企業に赤信号が灯った。企業は内部タスクフォース(TF)を組織し、法務法人を通じて関連の労働規定を照会するなどあたふたと対応に乗り出しているが、適切な代案を見つけられずにいる。

19日、ネイバー、カカオ、ネクソン、NCソフト、ネットマーブルなどの大型IT企業の人事・労務担当者は、社員級の従業員は例外としても、核心的なプランナーと開発者は製品設計から発売までの生産プロセス全体に関与するケースが多く、製品発売を前にしてひっ迫した時点では、これらの循環勤務や代替勤務は事実上不可能だという意見がほとんどだった。

京畿道盆唐区に位置する大規模IT企業の人事(HR)担当者のA氏は、年初から始まったIT開発者との年俸契約を仕上げられずに苦労している。 A氏は「社員級職員は出勤時間を弾力的に調整し、週末勤務をさせて法定労働時間を合わせることになる」とし、「しかし仕事の成果に基づいて評価を受けるチーム長クラスの責任者らはこれに対する反発が強く、年俸契約が終わらなかった」と語った。ゲーム会社のネクソンとブルーホールの場合、52時間勤務制の導入に備えて複数の代替的勤務システムを検討しながらも、しかしまだ具体的な方針や政策を打ち出せずにいる。ネクソンの関係者は「52時間勤務制の導入に関する政府当局と、他のIT企業の決定を注視している」と語った。

サーバー運営チーム長のB氏は、「製品発売予定日の直前は開発スケジュールに合わせるために集中的に仕事をし、発売日以降は自律通勤で仕事と生活のバランスをとるのが慣行」だとし、「一律的な週52時間勤労をそのまま遵守する場合、リリースを控えたプロトタイプに致命的な欠陥が発生してもそのまま放置することになる矛盾が発生する」と語った。このために、むしろ労働者が苦情を提出する状況も生じている。

8年の経験をもつゲーム開発者のC氏は、「開発者の成果はひとえにゲームの完成度と人気で評価される」とし、「発売日を控えると責任感と義務感のために、休暇を返上してでも開発に専念したい心情だ」と語った。彼は「ゲームの最終リリース1~2ヶ月前からは、デバッグ(エラー修正)作業に入る時間だけでも週に52時間ほどははるかに超える」とし、「IT業界の特性を考慮していない法のせいで、きちんと仕上げもできていない作品をゲーマーに差し出せという話だろうか」と反発した。

開発、サービス、事業などのゲームのすべてを総括してスケジュールを調整するディレクターやPD職群でも不満は大きい。A氏は「52時間が適用されると、ディレクターはずっと仕事をすることになる」とし、「ゲームを大きな流れで見て、人材を調整し事業を進める企画担当マネージャーは、従業員が休みのあいだは平日と週末を問わず勤務することになる皮肉が発生する」と語った。

ネイバーとカカオをはじめとするポータル事業者も大きな影響を受けることになる。リアルタイムでニュースやコメントなどをモニタリングし、さまざまなサービスを管理する必要があるポータル業の特性上、週52時間勤務制を遵守することは困難な環境だからだ。ネイバーの関係者は、「2015年以降、一定の通勤時間や義務的に割り当てられた勤務時間をなくし、従業員みずから勤務時間や通勤時間を自律的に定める責任制を実施している」とし、「検索やモニタリング関連の部署がどのように週52時間勤務制に対応するか、特に決められずにいる」と語った。

上場IT企業の関係者は、「これまで数十に分かれた社内開発チームがそれぞれのプロジェクトを遂行してきており、製品の発売を控えてチーム全員が夜勤・特別勤務を通じて開発を担ってきた」とし、「グラフィックやサーバーのオペレーティングに企画など、補職別の重複人材を事前に多めに回しながら配置すること以外に何らの代案はないように思える」と語った。

ゲーム業界の場合、52時間勤務制の副作用に対する懸念はさらに大きい。新規ゲームの発売直後にユーザーが予想外に押し寄せたり、事前に見つけられなかったエラーが発生することがしばしばあるからだ。今年1月に発売されたネクソンのモバイルゲーム『デュランゴ』も、予想よりも多くのユーザーが押し寄せたことから発生する接続エラーを解決するために何日もかかる場合がよくあるが、このような現実を全く考慮していないからだ。

このためにIT業種の特性を考慮して、弾力的な労働時間制などの柔軟勤務制を大幅に拡大しなければならないという声が高まっている。

弾力労働制の適用期間も、現行の2週間以内(就業規則)または3ヶ月以内(労使合意)から、少なくとも6ヶ月~1年に拡大しなければならないというものだ。しかし労働界の反対などで、今回の労働基準法改正案にはけっきょく含まれなかった。一方、ドイツやフランス、スウェーデンなどの欧州先進国は、弾力労働制を1年単位で運営している。シーズンに仕事を集中的に行い、オフシーズンには長期休暇をとる方式が主に利用される。
  • 毎日経済_ソン・イルソン記者/ユ・テヤン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-03-19 19:27:19




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア