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平壌はいまや資本主義を勉強中…朝鮮エクスチェンジ


  • 平壌はいまや資本主義を勉強中…朝鮮エクスチェンジ
  • 「朝鮮エクスチェンジ(Choson Exchange)」の講師が平壌人民大学習堂の講義室でフェイスブックとギネスビールのロゴを見せながら、成功的なデザインについて講義している。 写真提供=朝鮮エクスチェンジ



今月9日、北韓の平壌中区域に所在する人民大学習堂のある講義室で、「金日成・金正日バッジ」をつけた平壌住民約130人の目は青いFの字のロゴに向けられた。全世界20億人のユーザーを保有しているフェイスブックのロゴだが、彼らには多少見慣れないものに見えた。

壇上に立った外国人講師が、「米国の情報通信企業のロゴ」だと紹介するやいなや、難なく理解するようすだった。この参加者らは平壌市街地で小さな店を運営したり、新しい創業アイテムを探している人々だった。

小商工人の彼らは、「チームを組んで自分たちだけの新事業アイテムのブランドロゴを作って見よう」という講師の話を聞いて頭を突き合わせた。各チームは壇上に出て新事業について説明した後、投票で優勝を選んだ。西側の大学の講義や企業のワークショップで見る「チームプレー」というわけだ。毎日経済新聞は最近、平壌で講義を進めていた非営利団体(NGO)の活動家であるイアン・ベネット氏と、電子メールインタビューを通じて北韓の状況を詳細に伝えた。

◆ 創業に関心の多い北の住民

北韓のエリート層はすでに市場経済を積極的に学び始めた。シンガポールのNGOである「朝鮮エクスチェンジ(Choson Exchange)」が7~9日の三日間、平壌人民大学習堂で行われた起業家精神のワークショップを通じてだ。このワークショップは小商工人や起業意志のある北韓の住民を相手に小規模で行われる。講義は創業アイデアや新商品を構想すると、その後の事業のための費用を計算してみる。どこに店を出すのか、また商品はどのくらいで売るのかも悩んでみる。損益分岐点を付けて、営業維持がどのように可能かも検討をつけてみる。外国人講師らの助けを通じて、北韓のエリート層がそれぞれ自分のビジネスを想像してみるという式だ。

2010年から毎年数回行われたこのワークショップは、全世界の講演者が志願し、平壌に入って企業の管理・創業・ブランドマーケティングなど、さまざまな要素について講義する。

朝鮮エクスチェンジと似たような事例は他にもある。昨年11月には平壌科学技術大学で、イタリア出身の講師がブロックチェーンと仮想通貨の講演を展開した。カナダのブリティッシュ・コロンビア大学(UBC)は、平壌で2011年から学術セミナーを開いている。市場経済を学ぶドアは開いていたわけだ。

ベネット氏は「約130人が参加した、非常に成功したワークショップだった」とし、「北韓の参加者から質問などで大きな関心を受けた」とした。 2010年のワークショップ開始当時の参加者は50~60人程度だったが、金正恩(キム・ヂョンウン)北韓国務委員長の執権後の2012年から参加者が増えた。ベネット氏は「事業の過程で行うべきことと、してはならない事例を議論して、成功した外国の創業事例や経験について講義した」とし、「特に女性起業家たちのストーリーが人気が高かった」とした。

◆ 「市場」用語をさけるが関心大きく

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  • 平壌人民大学習堂の講義室で「市場経済」の講義を聞きながら筆記をしている北韓の人々。授業中にタブレットPCで検索するなど、自由な雰囲気だ。 写真提供=朝鮮エクスチェンジ



とは言え、北韓のエリート層は市場経済と資本主義に対する理解がまだ低いという。ベネット氏は「北韓でビジネスをする人は、3つの原則的な問題に直面することになる」とし、「行政障害、資本(の不在)、および見習うべきスタートアップの事例不足」だと指摘した。

北韓のエリートたちは市場経済に対する関心はあるが、直接言及することはなかったという。ベネット氏は、「彼らは暗黙的に市場経済と開放に関心を示した」とし、「ただし講演者は敏感な単語、例えば資本主義(capitalism)や市場化(marketization)などを使うことを避けた」と語った。ベネット氏は続けて、「非公式経済(Grey Economy)を通じて経済活動が行われているので、かなり低いレベルの対外開放の準備状態を持っている」とし、「外国の民間資産に対する保護は劣悪で、(対北制裁でドアが閉じた)開城工業団地や金剛山観光などがその事例」だと述べた。

◆ 北の住民「ムン・ジェイン大統領に好意的」

朝鮮エクスチェンジがワークショップを開いた期間は、マイク・ポンペオ米国務長官の第二の平壌訪問(9~10日)と重なる。当時、北韓労働党の機関紙「労働新聞」は金委員長とポンペオ長官の会談のニュースを10日付1面で伝えた。

「4・27板門店宣言」以後に急変した南・北・米の情勢が、ポンペオ長官の訪北でさらに高まっていた時期だ。当時、北韓住民には知らされなかったが、ポンペオ長官訪問直後の10日(現地時間)にドナルド・トランプ米大統領が「6・12米・北首脳会談」の計画を明らかにした。

ベネット氏は「北韓の人々はムン・ジェイン大統領の平壌訪問計画について興奮しながら自由に話したりした」とし、「個人的に私が出会った人たちは、すべて彼(ムン大統領)を非常に肯定的な視線で見た」と述べた。ベネット氏は「北韓の住民は米・北首脳会談に大きな関心がある」とし、「(米・北国交正常化の可能性について)私は慎重な楽観論を唱えたい」と語った。
  • 毎日経済_キム・ヒョソン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2018-05-30 19:45:47




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