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デフレ?…「体感物価」と指数の間に乖離


  • デフレ?…「体感物価」と指数の間に乖離

2日午後、ソウル市中区に位置する平壌冷麺食堂。2017年には1万ウォンだった冷麺一杯の価格は昨年の1万1000ウォンから今年は1万2000ウォンで、2年連続で上昇した。ここをよく訪れるヨム某氏(50)は、「価格がかなり上がって負担になるが、代わりがない」とし、「近の別の冷麺家は一杯が1万4000ウォンだし、そこに比べるとまだ良い方だ」と語った。 30年目の常連というチェ某氏(79)も「収入は増えないのに飲食代だけ高くなって残念だが、この冷麺家は長い付き合いなので訪れる」と言う。

先月、国内消費者物価の上昇率がマイナス(-0.4%)を記録して、物価が持続して下落する「デフレ」に対する懸念が高まっている。

とは言え、会社員らが感じる体感物価は指標と大いに違う。特に昼休みにレストランを訪れる会社員は、物価が下がるのに飲食代はなぜ上がるのか理解できないと不満を吐露している。ソウル駅近くのあるサムバプ食堂で会った7年目の会社員イ・ソウンさん(32)も似たような苦情を吐露した。イさんは「会社がソウルスクエアの近くなのでこの辺りで毎日昼食を食べるが、一食をきちんととるには一人当り最低1万ウォンずつかかる」とし、「わずか1~2年前は7000~8000ウォン台で商売するところを探すのは難しいことじゃなかったが、この頃はほとんど目につかない」と言う。彼は続けて「食事代に出ていく金が少なくないので弁当を持って通おうかと思うが、家が京畿道なので朝早く起きるのが負担になりあきらめた」と付け加えた。

韓国消費者院によると8月の時点で、ソウル地域の消費者が好んで食べる外食メニューの中でサムギョプサルを除く7品目(冷麺、ピビンバ、キムチチゲ定食、チャジャンミョン、サムゲタン、カルグクス、キムバプ)の平均価格が前年同期比で大幅に上昇した。キムバプ(のり巻き)が9.9%(216ウォン)で最も高い上昇率を示した。その後に続いてピビンバが5%(423ウォン)、キムチチゲ定食が4.5%(269ウォン)、カルグクスが2.8%(192ウォン)、冷麺が1.7%(154ウォン)の順で上がった。ソウル以外の地域も似たような推移を見せた。

これは統計庁の資料からも知ることができる。今年の第3四半期の国内外食費は、前年同期よりも約1.6%上昇した。第1四半期2.7%と第2四半期の1.9%に続き、3四半期連続の上昇だ。個別メニューでは、第3四半期を基準にしてチュク(6%)、チキン(5.3%)、チャジャンミョンとチャンポン(4%)などの上昇率が目立つ。

外食業の従事者は、農畜水産物のような原素材のほかに人件費、店舗家賃などの固定費負担がますます大きくなっており、品台の値上げは避けられないという立場だ。平壌冷麺食堂の所有者A氏は、「昨年の今頃は白菜3網で1万ウォン台だったが、今では2万ウォンを超える」とし、「肉の価格も大きく上がって、販売価格を引き上げるしかなかった」と語る。忠武路の近くでプンシクチプ(一般食堂)を運営するキム・ヒジンさん(50)も「今年の初めに5000ウォンだった餅ひと袋が最近は5500ウォンに上がった」と話した。

キム・ヒジンさんは最低賃金引き上げの負担も打ち明けた。キムさんは「もともとは店員2人にそれぞれ200万ウォンずつ給料を払って店の運営を任せ、私は別の仕事をした」とし、「収支がまったく合わず、先月に2人ともやめてもらい、厨房からサービングまで私がやっている」と語った。

飲食代の変動は全体の消費者物価指数に反映される重みが低いことも、「体感物価」と指数の間に乖離が発生する原因だ。消費者物価指数を構成する品目のうちで、庶民が好んで食べるチキンと冷麺の価格変動の重みはそれぞれ0.52%と0.21%に過ぎない。一方、家賃のような住居項目は5%に迫る。飲食代がかなり上がっても、政府が測定した家賃が安定を示せば消費者物価指標は下がったという解釈が可能だ。
  • 毎日経済_キム・ギヂョン記者/シム・ヒジン記者/カン・インソン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2019-10-02 19:12:15




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