「前代未聞」インフルエンザワクチンが汚染…常温で放置


「コロナ19」とインフルエンザが同時に流行する「ツインデミック」を防ぐために、政府が例年よりも早く始めたインフルエンザ無料接種が全面中断される初の事態が起こった。インフルエンザワクチンに対する汚染の可能性が浮き彫りになり、来月までに予定された年齢別無料接種の開始日程がぞろぞろと延期される可能性が大きくなったのはもちろん、最悪の場合には廃棄ワクチンの急増で無料接種そのものが困難になり、一部ではワクチン接種を嫌う事例も発生するかもしれないという警告が出ている。

■ ワクチン500万ドーズが常温にさらされ

22日、政府はこの日から満18歳未満の小児・青少年に接種しようとしていた無料インフルエンザワクチン500万ドーズ(1ドーズは1回接種量)の一部が流通過程で常温にさらされ、ワクチンの有効性と安全性に問題があると見て、無料インフルエンザ接種全体を全面中断すると発表した。

鄭銀敬(チョン・ウンギョン)疾病管理庁長は食品医薬品安全処と緊急合同ブリーフィングを開き、「政府と調達契約を結んだ会社(シンソン薬品)がインフルエンザワクチンの流通過程で、一部のワクチンを冷蔵状態ではなく常温にさらしたことが確認され、今後2週間のあいだ精査に入る」とし、「製品製造の問題ではないが、安全性を考慮して22日から予定されていたインフルエンザ無料接種を中止する」と述べた。

チョン庁長は、「500万ドーズの中でいくつかの地域に配布される対策製品が、冷蔵車に配分される過程で定められた冷蔵基準温度(2~8度)ではなく、常温に一定時間さらされたことが把握された」と明らかにしたが、問題となった薬品量の正確な規模は明らかにしなかった。

該当の業者はシンソン薬品で、冷凍車から冷蔵車にワクチンを移しかえる配分作業を屋外で行い、車のドアを開けておいたり、対策製品をパレットの上に一定時間放置したものと伝えられた。シンソン薬品は国内8社と外国2社のメーカーが製造した無料接種目的のインフルエンザワクチンを流通する会社に選定されたことがある。

政府は8日から生後6ヶ月~9歳未満の対象者のうちで、生涯初の接種者や接種履歴が不明で総2回接種しなければならない小児に無料インフルエンザ接種を開始した。すでに接種を終えたワクチンは、各医療機関が別途に問屋を通じて購入・接種した後に費用を国に請求する方式なので、こんかい問題になったワクチンとは関連がない。実際に既に接種した11万8000人のうちで副作用が報告された事例はない。

■ 無料接種が遅延

無料接種の対象インフルエンザワクチンは、今年は1900万人分に策定された。例年に比べて満13~18歳と62~64歳が無料接種の対象群に追加された。 1900万ドーズの中で政府が調達契約にシンソン薬品を通じて供給することにした量は1259万ドーズだ。このうち22日からこれまでにインフルエンザ接種を受けたことがあり、1回だけ接種すれば良い18歳以下の小児・青少年の妊婦を対象に接種する500万ドーズの中で一部が常温にさらされて接種が中断された状態だ。

インフルエンザワクチンは麻疹・水痘ワクチンのような生ワクチンとは異なり、ウイルスを一度殺して不活性化させた状態で製造されたワクチンだ。しかしワクチンが常温に一定時間さらされると、内部のタンパク質の含有量が減り、これによってワクチンの有効性と安全性に問題が生じることがある。

カギは問題になったワクチン500万ドーズの中で、今後の疾病管理庁と食薬処が2週間共同で調査する過程で、どれだけが不良と判定されて廃棄されるかだ。廃棄量に応じて政府が当初定めたワクチン無料接種が予定通りに進めることができるかが決定されるからだ。

インフルエンザワクチンは動物(犬)細胞や有精卵培養を経て製造され、これら2つの方式によって一定の量を生産するために4~6ヶ月かかる。このために廃棄量が増えて無料接種量が不足すると、すぐには不足分を埋めることができないことから当初の目標どおりのワクチン無料接種は難しくなる。

国内のインフルエンザワクチンメーカーA社の関係者は、「各企業は国の調達用と有料用を区分して、需要予測と卸売業者の契約に基づいてワクチンを生産するため、物量に空白が生じるといってすぐさま埋めることができる在庫を確保するのではなく、有料用供給分もあらかじめ契約がされていうことから国の調達ぶんに回すことができない」とし、「2週間にわたる調査を通じて廃棄される量が多くなると、接種スケジュールに支障をきたすしかないだろう」と憂慮した。ただしこの人物は「無料接種のために国が準備した1900万ドーズを対象者がすべて接種するとは思えないので、廃棄量が微々たる水準に少ない場合は大きな問題はないだろう」と説明した。

いったん政府は来月13日に予定された、高齢者対象の無料インフルエンザ接種の開始時に最大限支障がないように備えるという立場だ。

チョン庁長は「昨年の国内インフルエンザ注意報が11月中旬に発令されただけに、ワクチン接種後に免疫が生じるところに2週間ほどかかることを勘案し、11月初めまでに多くの方が接種できるように努力する」と述べた。これとともに、チョン庁長は「今回の事態で高齢者の無料接種開始時期が年末や来年に延期されるとは予想していない」と強調した。無料インフルエンザ接種は中断されたが、問題のワクチンとは関係のない有料接種の方は中断することなく、今でも接種できる。

一方、チョン庁長自らが「(今回の事態は、)これまでに一度も経験したことのないことだ」と明らかにしただけに、今後の再発防止のための明確な対策樹立も必要な実情だ。チャ医科大学のチョン・ビョンユル予防医学教授(前疾病管理本部長)は、「これまでに新型インフルエンザ時に全国的な予防接種を行った経験があり、インフルエンザ接種も毎年してきたはずなのにけっきょくこのようなことが起こった」とし、「ワクチンをコールドチェーン(冷蔵状態)で流通することは常識中の常識なのに、これを守らなかったのならばその会社の責任は大きいだろうが、会社と契約した政府も今後は企業を相手に再教育を強化する必要がある」と注文した。
  • 毎日経済_ソ・ジヌ記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2020-09-22 19:26:40