記事一覧

ニュース

数字経済

テクノロジー

コラム

ビューティー

カルチャー

エンタメ

旅行

韓国Q&A

新造語辞典

もっと! コリア (Motto! KOREA)
HOME > 韓国Q&A

  • Q.
    韓国では若者に報酬を渡さずに仕事をさせる事例が多いのですか?(下)
  • A.
    (※この記事は「韓国では若者に報酬を渡さずに仕事をさせる事例が多いのですか?(上)」の続きです。)

    ヨルチョンペイはスペックを積みたい就業準備生のみが対象とだろうか?その質問に対する答えが「NO」でるところに韓国社会の深刻性がある。

    世界的なファッションスクールで4~5年間のつらい留学生活を終えて帰ってきて、韓国のファッション業界にデザイナーとして就職した人が受ける報酬は月にせいぜい100万ウォンだ。自由に働いて創作生活を並行するためだろうか。とんでもない。毎日きちんと出勤して14時間ずつ働き、物を運ぶ重労働も並行して受け取る報酬だ。

    しかも、この処遇は良い方に属する。韓国最高のデザイナーと自ら自負するイ・サンボン氏の下で働いていた見習いが受け取る給与は月10万ウォン、インターンは30万ウォンだ。昼食はもちろん、交通費にも満たない。見習いの報酬を時給で計算すれば、約300ウォン。2015年の韓国の最低賃金である時給5580ウォンの20分の1より少し多い。

    彼はファッション労組と青年ユニオン(靑年Union)が選定した「2014青年搾取者」の肩書きをつけることとなった。

    イ・サンボンはそれでも韓国社会に貢献した。ヨルチョンペイの問題を韓国社会のアジェンダ(Agenda、議題)として作り上げたからだ。

    ヨルチョンペイは単純にファッション業界だけの現象ではない。コンビニのアルバイトの単純な賃金搾取と合わせれば韓国の若者の半分以上が搾取の対象となっている。昨年、大統領直属の青年委員会が調査した結果、正規職と同じようなことをしても最低賃金に満たないお金を受け取ったり、最初から一銭も賃金を受け取れていないケースが75%に達した。

    ヨルチョンペイが生じる理由は簡単だ。働く人が多いからだ。イラストレーターの場合、米国ではキャラクターを一枚描かせるだけでも、少なくとも数万ウォンは渡さないといけないが、韓国ではほとんど無料だ。

    実際、イラストレートカフェ「バンバンコッコク」では、従業員や学生、自分の作品を紹介したい人の作品を勝手に使用して、まさしくヨルチョンペイを謳歌していると非難を受けた。堂々とヨルチョンペイを悪用しようとする企業は、今となっては、一つや二つではない。

    ある韓服の会社は、コスプレのカテゴリーを作りながら、モデルを求める広告を掲載した。モデル料はゼロ。服を着てみることができる機会を提供し、必要に応じて服を着た自分の写真を無料であげるというのがメリットの全てだ。服を着てモデルをしたいという人は溢れているため、変な考えは起こすなと、モデルをしたい人(女性の身体条件160センチ以上)は5万ウォンの保証金を預けろと大声を張り上げる。

    昨年、ある新聞に掲載された病院の院長のインタビュー記事はヨルチョンペイの雇用者の心境を端的に教えてくれる。

    彼は看護師の給料が高くなって求人が難しくなったことについて、「少し仕事が大変だったり気に入らない場合は、看護師が出て行ってしまう」とし「ナイチンゲールの精神がない」と非難した。

    給与を適切に与えるつもりは最初からないのだろう。正しく働いた分の給与をくれと要求した場合、「お金の奴隷になるのか?」と脅かし、叫ぶ。苦しいからこそ青春だ、だから「大変で苦しくても、私のために懸命に働いて、あなたの人生はあなたが勝手にどうにかしなさい」というのがヨルチョンペイの実状だ。


    情熱ページが一般的な職種

    ・仕事自体から楽しさとやりがいを見つけることができる職種。報酬と勤務時間が劣悪でも人気が高い。ファッション、芸能産業、イラストなど。

    ・学位、試験の成績、資格よりもキャリアを優先する職種