Q.ソウル市内にはなぜカラスがいないのですか?

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A.
ソウル市内ではあまりカラスを見ないのですが?

韓国の都市部にはカラス(カマグィ)がほとんどいません。山に行けばカラスを見ることもできますが、ソウル市内でたまたま見かけた時には、不思議に思って写真を撮るくらいです。ソウル市内にカラスがいない理由として、「パルパル(88)オリンピック」の時に政府がカラスをなくすために、カラスを捕まえると賞金を与えたからだという噂を以前、聞いたことがあります。また一方では、カササギ(カチ)と縄張り争いで負けた結果だという説もあり、あるいはソウルの位置する緯度がカラスが広範に分布している緯度ではないからだという説も聞きました。この緯度説を裏付けるかのように、済州島市内にはカラスが出現することが知られています。どれが本当でしょう?なぜソウルにカラスがいないのでしょう?

カラスを見たいですか?それならば蔚山(ウルサン)へ行ってみてください。韓国にいるカラスはほとんど蔚山に集まって生息しており、韓国人もカラスを見物したければ蔚山に行く必要があると言います。

ソウルにカラスがいない理由がやっとわかりましたか?あ、まだ分からないですか?韓国のことわざに「友達と一緒に江南道に行く」というものがあります。どれだけ遠く険しい道でも真に友情を分け合った友人なら苦労を共にするのが道理だ、という意味です。カラスだからといって、友人の情を知らないわけは無いでしょう。友達同士で蔚山に集まっているので、ソウル近隣に残っていた数羽のカラスたちも、友達を追って蔚山に行ってしまったということです。もしかるすと、ソウルの住み心地が良ければまた戻ってくるかもしれませんが、家賃も高く最近では仕事に就くのも大変で…何のために進んで苦労を招くでしょうか。

ところで、日本ではカラスは幸運をもたらす吉鳥だといわれていませんか?韓国ではカラスはやや悪いほうへ属する鳥とされています。何かしょっちゅう忘る人に「カラスの肉をゆでて食べたのか、なぜそんなに物忘れがひどいんだ」と面責したり、カラスを食べると顔の黒い子どもが生まれると信じられていたこともありました。実際には、カラスの肉は食べませんが。もっとも、捕まえて料理して食べたくても近くにいないので捕まえることもできません。蔚山にもおそらくカラス料理を出す店はないでしょう。

ところで、韓国でもカラスが遠い昔から不吉な鳥として烙印を押されていたわけではありません。「反哺の考」という言葉があるように、カラスは大人になったら老いた親に食べ物を咥えて与える孝行心の深い鳥と褒め称えられたこともあります。新羅時代には王を助け、姦通する僧を探し出すことを手伝ったカラスもいたといいます。

同じ新羅の時代に「延鳥郎細鳥女(ヨノランセオニョ)」という説話もあります。「夫婦の延鳥郎(ヨノラン)と細鳥女(セオニョ)が座っていた海辺の岩が流され、二人は日本に行ってしまった。夫婦が去ってから、新羅では太陽と月が光を失った。新羅の日月が光を失ったのは延鳥郎と細鳥女がいなくなったせいだということを知った新羅の王は、急いで夫婦を連れ戻すよう使者を送った。延鳥郎は新羅に帰るかわりに、細鳥女が織った絹で祭祀(チェサ)をすると光りを取り戻せると教える。はたして細鳥女が織った絹で祈ると、新羅の太陽は光を取り戻した」。説話のあらすじはこのような内容ですが、この説話に登場する夫婦はカラスです。韓国でもカラスを太陽に住む「三足鳥」と看做していたことがあったという意味です。

韓国でカラスが蔑視されはじめたのは、考えてみると200~300年程度しか経っていません。ここにも説話が関連しています。「閻魔大王の言いつけで人間の寿命が書かれた紙を伝えに下った降臨(人間の世界に降り立った神。天使程度に考えればよいでしょう)が、面倒なのでそれをカラスに任せた。ところがカラスは行く道でトンビと争ったが紙をなくしてしまい、適当に寿命を伝えた。そのせいで人間の寿命は人によって長かったり短かかったり、めちゃくちゃになってしまった」。

済州に伝わるこのような説話が広がって、朝鮮時代初期からにらまれていたカラスが、朝鮮時代中期以降には不吉な鳥として烙印を押されてしまいました。そういえば、朝鮮時代に変わったのはカラスとカササギの地位ばかりではなく、儒教を尊重したせいで高麗まで伝わっていた風俗が大きく変わりました。

「カラスが遊んでいるところにシラサギよ行くな」という諺が生まれたほどなのでよく分かるでしょう。この諺は朝鮮の開国の功臣で領議政(ヨンウィヂョン)、つまり今でいう首相ほどの高い官職を務めた人の詩を変形させて生まれた言葉です。本来の詩の意味はまったく異なります。もともとの詩の前文は以下のとおりでした。

 カラスが黒いからといってシラサギよ、笑うな
 見た目が黒いからといって内まで黒いのか
 見た目が白くて内が黒いのはお前だけではないのか

さて、韓国の大都市がどのあたりにあるか知っていて、勘の良い方はすでにお判りになったことでしょう。カラスが蔚山に留まったことは、昔を懐かしむからかもしれません。カラスをとても貴重な鳥とみなしていた国は新羅です。新羅は今の慶尚道に土台を置いており、新羅の首都は慶州で、蔚山はすぐ近くにありました。

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  • Lim, Chul /写真_Photopark.com
  • 入力 2014-04-30 17:13:23

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