なぜ「イカゲーム」のようなものを作れないんだ


国会の国政監査会場に呼び出された KBS(韓国放送公社 )の社長は、ひどい仕打ちを受けた。

「なぜ『イカゲーム』のようなものを作れないんだ?」

KBS社長は「受信料を上げてほしい」と切り出したが元も子もなくなった。

「韓国のコンテンツで外国資本が巨額の金を稼ぐのを傍観するつもりか?」という与野党議員の質問に対して、KBS社長は釈明で少し難色を示した。

「『イカゲーム』は公営放送KBSが放送するには過激だ」

評論家のホ・ジウン(許志雄)さんも「想像力より中間CMを優先するため作れない」という苦言に賛同した。

もしかしたらKBSの釈明が正しいかもしれない。

Netflixの放映分と同等レベルのドラマがKBSで放送されたら「公営放送がこんな残忍なドラマを作っていいのか」と攻撃されたかもしれない。放送審議規定のため、カットやモザイク処理までしたら視聴者はそっぽを向いたはずだ。制作費の問題ではないということだ。

しかし筆者の意見は少し異なる。

『イカゲーム』はJ.K.ローリングの『ハリー・ポッター』と同じ状況にあると感じる。J.K.ローリングが執筆を終えた後に出版社12社から断られたように、『イカゲーム』も10年間、資本を誘致できなかった。お金がなくてノートパソコンまで売ってしまい、シナリオ作業まで中断したほどだった。

ドラマの脚本を書き、メガホンを取ったファン・ドンヒョク監督は、『トガニ 幼き瞳の告発』や『天命の城』、『コレクターズ ~ソウルに眠る宝刀を盗み出せ~』などの問題作を演出したが、ポン・ジュノ監督のようなスター監督に分類するのは少し難しい。それに興行も保障されておらず社会的に問題の大きい素材を好んで扱っているので映画配給会社も嫌がるだろう。

スター監督でもないしスター俳優が出演するという保障もないし興行にも疑問符がつけられ、暴力を美化するという非難も受けるかもしれないため、簡単にお金を出すのは難しいだろう。このドラマのように好き嫌いが極端に分かれる作品にKBSがお金を出すのは難しいという意味だ。

全世界を舞台にしたNetflixではなく韓国だけで放送されたドラマだったら成功できなかったかもしれない。

見方によってはファン・ドンヒョク監督の作品がNetflixの資本とネットワークに出会い初めて 日の目を見たとも言えるだろう。全世界を舞台にしたNetflixは韓国の放送局に比べて素材に制限を設けないしリスクも恐れない。Netflixが今年のコンテンツ制作に注ぎ込んだ170億ドルのうち、『イカゲーム』の制作費220億ウォンは見方によっては端金に過ぎない。

今年、Netflixがコンテンツ制作に韓国で支援した金額はおよそ5500億ウォンだ。KBSの年間ドラマ制作費1300億ウォンの3倍を超える。

そのため与野党議員のKBSへの糾弾は方向が間違っている。

「なぜ『イカゲーム』のようなものを作れないのか」ではなく、「『イカゲーム』のようなものを作る制作環境を作れないのか」と尋ねるべきだということだ。

このような質問なら、1回当たり5000万ウォン以上、多ければ1億ウォン以上を受け取るスター作家の問題、コンテンツよりもスターに依存する興行構造など、問いただす事柄が多くなるだろう。
  • Lim, Chul
  • 入力 2021-10-16 00:00:00