トップ > コラム > FOCUS > 大韓民国R&Dの逆説、理工系博士たち…研究所を離れ企業へ

大韓民国R&Dの逆説、理工系博士たち…研究所を離れ企業へ

1997年以降、急激に落ちた処遇、改善なし 

  • 大韓民国R&Dの逆説、理工系博士たち…研究所を離れ企業へ
#1. 神経科学の分野で韓国の最高権威者と呼ばれたA博士は、政府出資研究所で働いていたが、2年前に仕事を移した。海外でも碩学と呼ばれるほどの優れた研究能力を持っていた彼の年俸は1億ウォンより少し上だ。経済、金融、医療など他の分野と比較すると低い水準だった。また、関連分野の成果を新薬開発などの実用化に結びつけるためには、数十億ウォンの研究費が追加で必要だったが、これを調達することも容易ではなかった。

#2. ソウル所在の私立大学で動物誘電体関連分野で2012年に博士号を受けたB博士は、現在の学校で博士研究員生活をしながら年俸4000万ウォンを受けている。彼は博士課程の期間に、優れた研究成果で多くの賞を受賞しており、関連分野で名を知らせてきた。 B博士は「学部を卒業して大企業に入社した学校の同期よりも7~8年遅れて社会に出てきたが、年俸の差がひどすぎる」と「理工系博士の間では、子を産めば、絶対理工系の勉強をさせないという雰囲気が続いている」と打ち明けた。

研究開発(R&D)分野の中核資産は研究者だ。ところが、研究者の処遇が薄い。だから優秀な人材は、研究者の道を歩かないようになり、これにより、研究の質が落ちる悪循環が繰り返されるのだ。

韓国で理工系博士級人材の処遇は、1997年に国際通貨基金(IMF)外国為替危機の頃から急激に落ちた後、改善されていない。当時、大企業はもちろん、政府出資研究所でも一番最初に賃金を削り、整理解雇対象者となったのが理工系人材だった。

平均年俸7613万ウォン…「職場に満足」半分止まり

未来創造科学部が先月、2063人の博士級人材を調べて発表した「理工系人材育成活用と処遇等に関する実態調査」の結果によると、理工系博士の年間勤労所得は、2012年7613万ウォンで、2011年に比べて276万ウォンの上昇にとどまった。また、職場の満足率は54.1%で、2012年(54.2%)に比べて改善されていないことが分かった。韓国科学技術企画評価院(KISTEP)人材政策室のキム・ジニョン副研究委員は、「理工系のための処遇は、長年の間、過去と大きく変わっていない」と「特に今回の調査の結果、人材の60%以上がキャリア開発を全くできず、不満が大きいことが分かった」と話した。

韓国の状況がこれなので、外国に出て行った国内理工系人材が帰国していない現象も激しくなっている。

スイスの国際経営開発研究所(IMD)の調査によると、昨年韓国の頭脳流出指数は4.63で海外に勉強しに出た人材の半分以上が韓国に帰って来ないことが分かった。この指数は、0に近いほど故国を去る割合が高く、逆に10に近いほど人材が母国で活動することを意味する。

IMD調査対象60カ国のうち韓国は37位で、ノルウェー(8.04)スイス(7.6)米国(7.11)などの先進国に比べてずいぶん劣ることが分かった。
  • 毎日経済_企画取材チーム=キム・ギチョル / ウォン・ホソプ / イ・ヒョンジョン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-10-07 17:01:33




      • facebook icon
      • twetter icon
      • RSSFeed icon
      • もっと! コリア