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韓中FTAに関するQ&A…6つのカテゴりに分けて9個の質問を投げてみた

原産地を決定する付加価値基準…「60% vs 40%」いまだ結論だせず 

  • 韓中FTAに関するQ&A…6つのカテゴりに分けて9個の質問を投げてみた
  • < 韓中間の投資の比較 / 経済領土の順位がどのように変わるのか >

韓・中自由貿易協定(FTA)が妥結したが、あまりにも切迫して妥結されただけに、政府もその内容を十分に消化して説明できないでいる。状況がこのようなわけだから、普通の人にとって韓・中FTAを正しく理解することはさらに難しい。 「中国の輸出品と輸入品が関税を引き下げただけに安くなるんだね」「中国市場確保の新しい転機になるなあ」などの漠然とした期待感と、「わが国の農村が大きな被害をこうむるのではないか」という皮相的な不安感があるだけだ。韓・中FTAが韓国経済や生活にどのような影響を与えるのか等について、交渉に参加した関係者と通商の専門家らに質問してみた。

① 日本の部品を輸入して韓国企業が製造したら韓国産?日本産?

Q:交渉の争点は原産地表示基準(PSR)だったと言うが、なぜ原産地表示の基準がそれほど重要なのか?

A:両国間のFTAは、両国で生産された物品に対する自由貿易を意味する協定のため、どんな製品を「メイド・イン・コリア」や「メイド・イン・チャイナ」と規定することは重要だ。農産物のようにどこの土地で育ったかが確実ならば問題になることは無いが、複数の部品の組み合わせで成される工業製品は話が違う。特に部品と原材料を輸入して、製品に加工した後に輸出する加工貿易中心の韓国国内産業としては、この規定が非常に重要だ。製品の原産地表示の基準を過度に大きくすると、国内で生産しても「メイド・イン・コリア」製品として認定を受けられず、FTA締結による関税引き下げのメリットを得られないこともある。

Q:それでは韓・中FTAの締結で、全部品の何パーセントが国内産なら「メイド・イン・コリア」として認められるのか?

A:PSRでは「関税分類番号変更基準」「付加価値基準」「特定工程基準」があり、例外的に域外加工を認めるケースがある。韓・中FTAは「付加価値基準」が基本的に適用される。全体製品工程の中で、国内で発生した付加価値が基準以上を超える場合、国内産として認められるだろう。しかし何パーセントにするかは、双方でまだ確定していない。協定文の作成過程で決定するものと見られる。FTA締結に向かう過程で、この問題が障害になりうることもある。開城工業団地の生産製品を韓国産として認めたのは、中国がわが国の特殊性を認め、域外加工を認めたからだ。

② 完成車は抜けて部品のみ開放…なぜ?

Q:自動車が関税撤廃の対象から除外されると、韓国としては損害じゃないのか?

A:完成車の関税率(22.5%)は現行のままに維持される。韓国で生産された韓国車や、中国で生産された車が互いに輸入される可能性は低いだろう。とは言え、国内の自動車メーカーに与える影響は大きくはない見込みだ。現代自動車の場合、大部分を中国現地で生産して現地で販売するために、影響をほとんど受けない。しかし、中国に生産拠点のないルノーサムスンや双竜(サンヨン)自動車などは、韓・中FTAによるメリットを得ることはできない。中国で生産されたフォルクスワーゲンやBMWなどが韓国に輸入される可能性もまた大きくない。

完成車とは異なり、自動車部品に課せられる6~10%の関税は、20年以内に撤廃される。関税率そのものは変化は大きくないが、品質に比べて相対的に価格の低い韓国産部品に対する中国内の需要が増えるかもしれない点に、関連業界は期待をかけている。

また、中国への輸出は自動車より自動車部品が多いので、全体の損益を考えてみると、決してわが国に不利ではない交渉結果だ。

③ 韓・中交易はどのように増えるか

Q:FTAが結ばれると経済領土が広くなるというが、交易の増加効果はあるのか?

A:理論上ではそうだが、しかし必ずしもそうはならない。これまでわが国が締結した韓・米FTA、韓・EU FTA、韓・チリFTAを見てもそうだ。2012年の韓・米FTA締結の後、2013年には両国間の貿易は6%以上増加したが、2011年の韓・EU FTA締結後は2012年と2013年は連続して交易量が減少した。交易に与える影響の大きさの側面では、FTA効果よりは景気悪化の効果がより大きく作用したためだ。

しかし、中国の内需市場の成長速度を見たとき、韓・中FTAは明らかに両国間の貿易増大に肯定的な影響を与えるものと見られる。世界銀行の予測では、中国の消費市場の規模は現在の4兆7000億ドルから、2020年には9兆9000億ドル水準に膨張する。このことから、韓・中FTAはこの市場を先行獲得できる機会であることは明らかだ。

Q:当初「高レベルのFTA」を推進したが、結果的に「低レベルのFTA」になったという評価も出ている。

A:今回の交渉でわが国の代表的な輸出品の自動車が譲許対象から除外されたし、また代表的な輸出品目の液晶表示装置(LCD)の場合、10年撤廃に延期された。これは農水産物の譲許例外対象を増やすための苦肉の策だ。農産物を守るために自動車とLCDを除外した側面が強い。韓・中のFTA交渉が政治的な雰囲気に流されて、急いで妥結したことからこうなった側面もある。14回目の交渉突入前まで、協定文に入る22章のうち16章については妥結または意見の接近を見たが、残りの6つの章に対しては、意見の相違が狭まらなかった。意見の相違が大きかった6つの項目をパッケージとして処理したことから、低レベルのFTAになるしかなかった。

  • 韓中FTAに関するQ&A…6つのカテゴりに分けて9個の質問を投げてみた
△写真=去る10日、中国との自由貿易協定(FTA)を締結することにより、韓国は米国・欧州連合(EU)に続き、世界3大経済圏とすべてFTAを結ぶことになった。写真は京畿道の平沢港から輸出品を満載して米国に向かう5万トン規模の中・大型船サンフランシスコ号の姿。[毎経DB]

④ 低価格中国産キムチが食卓に上がる?

Q:わが国の農業がこうむる被害はないのか?

A:農産物1611種のうちで「超敏感品目」は581品目だった。超敏感品目とはわが国が開放したときに、国内農業の被害が非常に大きい項目をいう。このうち548品目が譲許除外の対象となった。譲許除外とは何らの開放義務も持たないことをいう。

コメは最初から協定対象から除外されたし、牛や豚、鶏・アヒル、牛乳・鶏卵なども譲許除外とされた。

リンゴ・梨、ブドウ・みかん・柿・イチゴ・スイカ・桃などと、消費代替効果の大きいオレンジとグレープジュース、リンゴジュース、トマトジュースなども譲許除外品目だ。ナッツ・クルミ、松の実、ナツメ、ギンナンなどのナッツ類と唐辛子・ニンニク、タマネギ、生姜、白菜、ニンジン・大根・キュウリや高麗人参類なども譲許除外とされた。

キムチの場合、現在の関税20%を2%ポイント以内で部分的に下げることにした。現在、中国産キムチはキロ当たり500~600ウォン程度で輸入されており、関税引き下げで最大12ウォン程度の値下げ効果が生じる。

そのため、農業部門では善く防いだというのが一般的な評価だ。ただし、譲許の対象とされた品目の生産農家は被害をこうむらざるを得ない。このような農家に対する保護対策は、関係部処と議論を経て用意する計画だ。

⑤ 中国の違法操業水産物があふれ過ぎ

Q:中国漁船の西海(黄海)不法操業が深刻だが、これら水産物も関税引き下げのメリットを得るのか?

A:そうではない。「違法操業物は特別関税の対象外とする」という一文が、全世界のFTA協定史上初めて明示された。

また、不法操業の可能性があるチョギ(冷凍)・太刀魚(冷凍)・ヒラメ・(冷凍や活魚)・エイ(冷凍)・タイ(冷凍)・いわし(乾燥)・サバ(冷凍)・カレイ(冷凍)などはどそもそも譲許除外品目として指定された。カニ(冷凍)は関税率を、従来の14%から13.86%に0.14%ポイントだけ下げる。

タコ(20%)・どじょう(10%)・あさり(20%)などは国内輸入量のうち、一定量に限って関税が一部下がる。ただし、これらの項目は輸入が一定量を超えると再び関税が課せられるので、急激に輸入が増加する可能性は高くない。

⑥ 韓流コンテンツの知的財産権を50年に拡大

Q:中国人の韓国投資や観光客が増える可能性は大きいだろうか?

A:これまで中国の韓国投資は、韓国の対中国投資よりも投資の質は良くなかった。2013年時点で韓国の中国直接投資(FDI)は550億ドルで、中国株式市場に対する投資は78億ドルだった。一方、中国の対韓国直接投資(FDI)は21億ドルで、これに比べて韓国の株式市場への投資は206億ドルだった。中国の韓国市場への投資は、短期的な利益を実現するための株式投資に偏った面が大きい。今回のFTA締結で、このような投資の質が改善される可能性が大きい。しかし、投資自由化の要素は後続交渉を通じて議論することにしただけに、その結果に応じて異なりうる。

中国人の海外旅行業務を、今回のFTA協定を通じて韓国に開放した。韓国の旅行代理店が中国で、中国人を対象に旅行業を行うことができる。これまで中国は、米国・日本・ドイツの3カ国のみこれを可能にした。したがって、中国人の韓国観光が今よりも増えるのはもちろん、国内旅行代理店の利益もさらに増える見通しだ。

Q:今回のFTAが韓流の影響力をより高める可能性はあるだろうか?

A:そのとおりだ。韓・中合作ドラマや映画製作が容易になり、中国内で韓国人が最大49%の株式を所有する合弁企業の設立が可能となる。また、両国が共同制作する映画や放送番組に対して、国内産に準ずる利点を与えることにした。放送コンテンツの知的財産権の保護期間が20年から50年に伸び、韓流コンテンツを保護できる基盤も強化された。
  • 毎日経済 _キム・ギチョル記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-11-11 17:52:23




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