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韓国で特許料で稼ぎ、税を一銭も払わない米セミコンダクター社

「韓米租税協約」優先適用…課税根拠法人税法は死文化 

  • 韓国で特許料で稼ぎ、税を一銭も払わない米セミコンダクター社
韓国の大法院2部(主審イ・サンフン大法院判事)は16日、米国の半導体企業セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・エルエルシー(Semiconductor Components Industries LLC)が「源泉徴収した法人税32億ウォンあまりを返してほしい」と東水原税務署長を相手に起こした訴訟で、原告勝訴で判決した原審を確定したと明らかにした。

セミコンダクター社は、「サムスン電子が自社の米国内特許を侵害した」とし、米国現地でサムスン電子との特許紛争を繰り広げた以後、216億ウォン(約1400万ドル)を使用料として受け取って和解契約を結んだ。韓国の国税庁はサムスン電子が支払った金額の15%(32億4500万ウォン)をセミコンダクター社の法人税として源泉徴収した。するとセミコンダクター社は、「韓・米租税協約にしたがって、課税対象ではない」として、国税庁を相手に訴訟を起こした。大法院は「韓・米租税協約に基づいて、米国法人であるセミコンダクター社が、国内に登録されていない特許権の使用対価としてサムスンから支給された所得は、国内の源泉所得として見ることはできない」と、最終的にセミコンダクター社の手を上げた。

判決が確定したことから、国税庁は法人税32億ウォンをセミコンダクター社に返さなければならない。セミコンダクター社の特許使用料収益に対する課税権は、米国に渡ることになった。

最近の特許紛争が急増している中で、米国企業が韓国内で稼いだ特許収益に対して、韓国が税金を課すことができないという大法院の判決が出たことから論難が予想される。現在、国税庁が進めている類似の訴訟は10件で、税金の規模だけでも3000億ウォンあまりに達するが、すべて敗訴する可能性が高い。

大法院は韓・米租税協約に基づいて、「特許権が米国であれば、それに対する販売収益も米国内の所得」だと見た。また、大法院は外国法人に対し、国内所得税法や法人税法よりも協約を優先適用している。

しかし、この判決に対する異議も多い。韓・米租税協約には「韓国政府は課税できない」という明示的な規定はないという主張もある。また政府は、2008年末に改正された法人税法では、「国内に特許登録されていない」外国企業の特許使用料に対して課税できる根拠が設けられている。今回の判決で、この規定は「死文化」することが避けられなくなった。法曹界の一部では、この判決をめぐって「課税権の放棄」だと主張している。

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  • < セミコンダクターと国税庁の税金紛争日誌 >

訴訟の争点は、米国企業のセミコンダクター社がサムスン電子から得た特許使用料収入を「どこで」稼いだと見るべきかということだ。これに対し大法院と国税庁は、「韓・米租税協約」と国内「法人税法」の解釈を異にしたものだ。

韓・米租税協約は、「特許使用料所得は、契約を結んだ国内の使用権利に対して支給される場合にのみ、該当国に源泉を置いた所得として扱われる」と規定している。一方、国内法人税法は、「特許権が国外で登録され、国内での製造・販売等に使用された場合、(特許権の)国内登録の可否に関係なく、国内で使用されたものとみなす」とされている。

もしセミコンダクター社が韓国にも特許を登録した場合、韓国が課税するところに問題はない。セミコンダクター社は米国でのみ特許が登録されており、韓国のサムスン電子がこの特許を使用して製品を生産・製造したが、「どこで」使用したのかで解釈の違いが生じたわけだ。

裁判部は「セミコンダクター社が米国で登録した特許は、その効力は米国内でのみ発する」とし、「その外の国では特許権の‘侵害’ということ自体が発生しえないないため、これを‘使用’したりその対価を‘支給’するという概念も話にならない」と説明した。したがって、セミコンダクター社の特許権が国内で製造・販売等に使用されたかを問う必要もなく、これは国内源泉所得と見ることはできないというわけだ。

一方、国税庁側は「韓・米租税協約で、国内に登録されていない特許の使用料収入に対して、政府が課税できないという明示的な規定はない」という主張だ。協約で使用料収入と関連し、「使用」の概念を確立していなかったのだ。

国税庁側を引き受けた法務法人太平洋のユ・チョルヒョン弁護士は、「協約で定義されていない用語は、国内法に根拠して解釈することになっている」とし、「政府が改正された法人税法に‘使用’の概念を明示的に規定しておいたにも関わらず、大法院はこれを土台に判断しなかった」と指摘した。

国税庁を共同代理した法務法人和友(ファウ)のチョン・ワンギュ弁護士は、「特許使用料収益は、両国が税金をそれぞれどれくらいずつ賦課するのかの合意を通じて決める余地もあったが、今回の判決によって合意さえ難しくなった」と語った。

一方、特許を持つ国内企業が米国現地で米国企業から使用料を受け取ったなら、今回の判決のような結果を出せるのか不透明だとの指摘も提起されている。
  • 毎日経済_イ・ヒョンジョン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-12-18 03:00:09




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