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コラム > FOCUS > 韓国財界、趙顕娥事態で反企業情緒の拡散に緊張状態
韓国の財界が「趙顕娥(チョ・ヒョナ)事態」による反企業情緒の拡散に戦々恐々としている。
21日の財界によると、総帥リスクと経営権の継承問題を抱えている多くの大企業が大韓航空の趙顕娥前副社長の「ピーナッツリターン」事件の後、反財閥、反企業の情緒が拡散して極度に萎縮している。趙前副社長個人に集中していた叱責と怒りが大韓航空を超え、韓国の財閥と企業へと拡大され、会社を所有物にして従業員を下僕のように考えている前近代的な考えの企業が他にいないか、矛先が変えられている。
特に財界は、今回の事件の余波が、ややもすると経済民主化や財閥改革の談論につながらないか、オーナー子弟への経営権継承の動きにブレーキがかからないか心配が深まっている。総帥の法的問題で裁判を受けていたり、拘束・収監されているグループらは、「趙顕娥波紋」による反企業情緒の拡散が企業人に対する温情論の火種を瞬時に消してしまったと見ている。
▶ 経済活性化が必要な時期に反企業情緒は毒
財界はいつの時よりも企業の積極的な役割が求められていた時期に趙前副社長の逸脱行動が起こした反企業情緒の拡散を惜しんでいる。ただでさえ、内外の経済環境が悪く、来年も景気低迷が予想される状況で反企業情緒は、企業の経営活動に負担になるしかない。
反企業情緒は企業の士気を落とし活動に制約をもたらすだけでなく、社会全般の企業家精神と創業世代のチャレンジ精神を後退させ、企業に対する規制を強化させる可能性が大きい。ある経済団体の関係者は、「一部の財閥家の逸脱行動が口実を提供し、反企業情緒を招いた側面も否めない」とし、「積極的な経済活性化が推進されるべき時に、経済民主化の議論が再点火しないか心配だ」と話した。
去る18日に開かれた代案談論フォーラムでは、KDI政策大学院のユ・ジョンイル教授が財閥が政治、経済のすべての分野を支配する現状況を指摘し、経済民主化を実現するための改憲推進を主張したりもした。特に、一部の企業グループは、大企業の内部取引、不公正取引に対する規制強化に続き、支配構造に対する集中的な攻撃が行われる可能性があるという点に注目している。
経営権継承が間近に迫ったグループは、反企業情緒に押され、企業の所有構造制度に変化が生じた場合、これまで組んできた構図が乱れる可能性があり蓋然性も排除できず、現事態に対する世論の流れを見守っている。
▶ 組織運営の先進化の契機に
今回の事件に対する大韓航空の不十分な対応を見守り、最近、企業ごとに危機管理対応体制とマニュアルを確認し、関連教育を実施していることが分かった。また、今回の事件を他山の石として、韓国の企業文化の弊害を直して組織運営を先進化、透明化するなど、企業システムを変えなければならないという内部の自省論が提起されている。
「趙顕娥事態」の余波で話すに話せない悩みに包まれたところも少なくない。総帥の赦免を期待してきたSKグループや総帥の寛大な判決を期待してきたCJグループなどは、世論の流れに耳をきつく立てている。ハンファグループも金升淵(キム・スンヨン)会長が経営復帰を控えて、イメージ刷新のために悩んでいた時に、今回の事態で火の粉がどのように飛ぶか心配している。
特に企業経営活動の過程での横領・脱税などの不法行為のほかにも、財閥家内部の紛争、暴言、暴行、逸脱行為や兵役忌避や遠征出産など、各種の疑惑が企業の評判を越えて経営に致命的打撃を加えることがあるという点が確認されるきっかけにもなった。
これにより、一部の財閥家では、子供たちの言行に対する取り締まりに乗り出す雰囲気も現れている。後継者のリスクを減らすことができるよう財閥子弟の人格教育とリーダーシップ教育の重要性が想起されるきっかけにも作用した。
財界のある関係者は、「富と経営権の継承に対する視線が冷たく、経営が失敗すれば、膨大な社会的、経済的費用をもたらすことがあるという点から、後継経営者についてはさらに厳しい判断基準が必要だという点を認識する契機になった」と話した。