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見逃せない機会、韓米原子力協定


1978年4月、古里原子力発電所1号機が稼動し、原子力時代が開かれた。原発の危険性について社会的議論をせずに、政府の強力な支援の中で原発は、その数を増やしていった。その過程で、二酸化炭素の排出が少なく、 「環境にやさしいエネルギー源」というニックネームまでついた。

学界と産業界は国民との疎通をせずに、簡単に自分たちだけの囲いを作っていった。古里原発1号機の再稼働が決定された2007年12月、国民はもちろん、マスコミでさえも、この問題に関心を持たなかった。原発は安全だから当然10年以上さらに稼動してもいいと思った。 2011年に日本で原発​​事故が発生し認識が変わり始めた。放射性物質を保有している危険な「爆弾」へとイメージが墜落したのだ。

学界・産業界と一般市民の視点の差が生まれ始めていた。市民は不安がったが、専門家たちは安全だという言葉だけを繰り返した。2012年には古里原発1号機の外部電源が切断された事故を隠蔽しようとする試みが発生し、原発不信を煽ることになった。

「安全だ」という国の保証だけで積み重ねられてきた原発に対する肯定的な見解は、それ故に簡単に崩れるしかなかった。その後に発生した原発部品不正事件は、原発不信を頂点に到らせた。

22日に締結された韓・米原子力協定は、崩れた原発への信頼に与えられた一筋の希望だ。韓国もいよいよ使用済み核燃料についてのリサイクル研究をすることができようになった。放射性物質を実験する「照射後試験」も以前より自由に行うことができる。原発の安全性とも直接関連がある。増える使用済み核燃料の処理問題が目前に迫っているだけでなく、照射後試験を介して原発で発生した燃料の事故原因を把握することができるからだ。

これまで原発学界は、この問題に言及すると、「行いたくても、米国のせいで行うことができない」と否定してきた。今回の協定の妥結が原発不信を解消する機会となりえるのもこのためだ。学界と産業界、政府が積極的な投資と研究開発を通じて問題を解決していけば、底にまで落ちた原発への信頼を少しずつ回復していくことができるだろう。一度崩れた信頼は再び積み重ねることが難しい。協定が妥結されたと拍手して喜ぶだけでなく、その分、肩の荷が重くなったということを覚えておかなければならない。
  • 科学技術部 ウォン・ホソプ記者
  • 入力 2015-04-23 17:34:40




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