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「マーズ」に対する心得…過度の不安感を持つ必要はない

◆ マーズ警戒 ◆ 

「各自が咳エチケット、個人衛生の指針をきちんと守るなら、マーズは十分に勝ち抜くことができる疾患です」

ソウル大病院が委託運営しているアラブ首長国連邦(UAE)の王立シェイク・カリファ専門病院感染症科で諮問を担当している、ソウル大学病院感染内科のチョン・ジェヒョン教授は8日、毎日経済新聞とのインタビューで「中東呼吸器症候群(MERS/マーズ)」に対して過度の不安感を持つ必要はないとしながら、このように強調した。

王立シェイク・カリファ専門病院は、ドバイから東に約30キロメートル離れたラスアルハイマに位置しており、地上5階・地下1階の規模の専門病院だ。がん・心臓・神経系疾患を重点して治療し、ソウル大学病院は昨年6月に、5年間で1兆ウォン規模のシェイク・カリファ専門病院の委託運営権を確保した。チョン教授は、「特別に危険な状況が存在しない日常生活でも、手洗いなどの手の衛生や咳エチケットなどを生活化できるように意識を変えることが重要だ」とし、「政府の役割だけではなく、個人的な防疫もたいへん必要な時代に生きているということを自覚しなければならない」と強調した。

チョン教授は、最初の患者は中東旅行に出て戻った後にマーズが国内に伝播したことを想起させて、「旅先に対する情報を事前に知って、一般的な旅行安全上の注意を守るなら、海外感染症を心配する必要はない」と語る。現在、チョン教授が滞在しているUAEは、マーズの患者数が欧州疾病管理センター(ECDC)と世界保健機関(WHO)などの8日の集計で世界3位(76人)の国家だ。 87人の韓国よりは少ないが、中東ではマーズ震源地であるサウジアラビア(1026人)に続いて2番目に多くの患者が発生した場所だ。

チョン教授は、「マーズはワクチンは無く治療剤が無いというが、生命が危険にさらされないように助ける治療だけでもきちんと行われれば、死亡に至る状況は大幅に減らすことができる」とし、「サウジアラビアや中東で多数の患者と死亡者が発生して不安に思うかもしれないが、中東は韓国より医療水準が低いのでこうなりうる」と語った。現在、韓国ではマーズ恐怖が全国を覆っている。一部の専門家らはマーズより恐怖の拡散がより心配だと指摘した。チョン教授は、「国民は過剰な反応を自制する必要がある」とし、「慢性疾患者や免疫抑制者のような患者を除き、感染後の合併症の恐れを持たなくても良い」と強調した。

チョン教授は政府が情報を透明に公開することが事態の収拾に重要だと力説した。

チョン教授は「政府は国民に正確な事実を、加減なくそのまま伝えなければならない」とし、「これ以上病気に対する恐怖感にくわえ、不確実性による恐怖感まで倍加することがあってならない」と語った。

チョン教授は、「中世にペストが流行して何百万人もの命を奪ったとき、誤った医学知識と宗教的な信念で人々が狭い空間に集まっていたが、これはペスト拡散を助長した」とし、「韓国も新型インフルエンザの流行、殺人ダニの発生時に政府が情報を正確に教えず、国民の間では誤った常識が蔓延して不安が極大化する経験をした」と語った。

チョン教授は、マーズは最終的に過ぎ去るだろうが、事態が落ち着いた後にわれわれは今回のことから何か教訓を得なければならないと強調した。

チョン教授は、「すでに地球のあちこちで発生する疾患が韓国に流れ込む世界に生きている」とし、「マーズ同様またはそれ以上に深刻な病気が国内に流入する可能性がある」と指摘した。
  • 毎日経済_イ・ヨンウク記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-06-08 17:51:43




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