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[世智園] サイワールドとデジタルの思い出


  • [世智園] サイワールドとデジタルの思い出
大学を卒業してからずいぶん後の2001年、学科同期の中で最も勤勉な友人がインターネットにサークル部屋を開設した。当時、コミュニティサイトの元祖として名をはせた「フリーチャル(freechal)」にだった。大学時代、サークルの部屋にあった日誌に日常をだらだらと書いていたように、それぞれの職場生活、子育て、旅行記などを書き込みながら、小さな話が思い出として積もっていった。ところが、加入者数が急増したことから、フリーチャルは天文学的な管理コストを理由に、2002年、有料化を宣言した。悪手だった。反発が大きくなり、退会者が手に負えないほど増え、ついには破産した。結局、2013年2月、コミュニティ、メール、動画などのすべてのサービスを停止するに至った。

突然、難民のような形になった私たちは、「ネイバーカフェ」へ急いで引っ越しをした。しかし、引っ越しの荷物はほぼ持って行かなかった。 10年間のデータをバックアップするのには手間がかかるため、宝石のような文と写真のほとんどが宙に消えた。その後、ネイバーカフェはしばらくの間、ウェブ上の交流の空間の役割をしたが、モバイル時代に入り、アクセスが少なくなった。先日、ネイバーバンドに新たに巣を移して、再び疎通が活発になった。

かつて旋風的な人気を呼んだサイワールド(cyworld)が最近、イルチョンピョン(一言コメント)、ゲストブック、メッセージサービスなど、一部の機能を来月1日に終了すると発表した。今月末までにデ​​ータをバックアップするようにという公示がされ、数年ぶりにサイワールドに接続してみた。目いっぱいかっこつけた写真や文章、「黒歴史」と呼んでもいい10年前の写真が思い出の倉庫を守っていた。ゲストブック、イルチョンピョンなど、投稿されていた文章をバックアップしようとしたが、量も多く、意欲も出ないため、辞めた。結局、思い出の欠片がまた一つ消えることになった。

かつて「サイジル(サイワールドの様々なサービスを利用する事)」に熱を上げて、仮想通貨である「トトリ(ドングリ)」でアイテムを買って集めて、会員が2600万人に達したが、フェイスブック、ツイッター、カカオストーリーなど、新しいサービスが登場して、かなりのユーザーが「裏切りではない裏切り」をした。

サイワールド側はサービス終了を公式的には否定し、来月モバイル環境に適した新しいサービス「サイホーム」を披露する計画だと明らかにした。写真やアルバムや掲示板、日記などは維持されるという。

しかし、フリーチェルで思い出が消え去る経験をしたため、「デジタルの思い出」の永続性については疑問符を投げかけるしかない。デジタルのほうが情報の保存には、より便利で安全だと知られていたが、IT業界の浮き沈みが激しく、思い出をバックアップして、他の場所に移動する騒動をまたしなくてはいけないかもしれないため不安だ。利用者には「情報の保管を強制する権利」がないからだ。今、全盛期を謳歌しているフェイスブックも、新しいSNSに押されて、ある日突然、ドアを閉めることもあるだろう。だから「デジタルの思い出」が旧世界の遺物になった手書きの日記やアルバムよりも長く安全に保存可能であると誰が確信することができるだろうか。
  • 毎日経済 シム・ユンヒ論説委員 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2015-09-29 10:22:53




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