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[コラム] ごめんなさい


韓国の男性、特に慶尚道(キョンサンド)の男性たちは、「ごめん」という言葉をよく言えない。
幼い頃から口喧嘩をして、「ごめん、俺が悪かった」と言わずに、また一緒に遊ぶのが癖になったからだろうか?

ごめんという言葉を口にしたら、どこか弱く見えて、男らしくないような気がするからだろうか?
自分が少し悪かったとしても、これくらいは大丈夫だろ、俺はそんなに気にせず終わるから、というように「ごめん」という言葉の代わりに、「お前が理解しろ」という言葉で、さりげなく済ませる。

心の中では、すまない気持ちでいっぱいだが、照れくさいし格好悪いので、とても口にできないならば、まだマシなほうだ。何が申し訳ないのか、自分が何を誤ったのか分かっていない男も多いだろう。

それでも最近の若い男性たちは、昔の父親世代に比べて、ごめんという表現に、あまりけちではないようだ。昔の世代が、死んでも謝罪はできないと踏ん張っていたその姿は、もはや珍しくなった。道を歩いていて、少しすれ違っただけで、ごめんなさいと丁寧に謝る若い男性たちもよく見かけるようになった。

ところが、状況が変わった。
「ごめん」という言葉を簡単に口にするなという警告が出された。

夫婦ウェブトゥーンの作家、ユン・セノットは「危機の夫のための教育」というマンガで「女性が理由もなく不愉快になって謝罪を要求した時は絶対に謝罪しないほうがいい!」とアドバイスしている。

簡単に謝罪すれば、性犯罪者に追い込まれる可能性があるという忠告だ。
実際に謝罪をした事実が犯罪を認めた証拠として採択され、一夜にしてセクハラに追い込まれたケースもある。

知らない男女の関係の場合、こんなことが起こるので、言葉だけ注意すればすぐに避けることができるだろう。
「僕がぶつかったから謝罪をするのであって、セクハラを認めるのではない」と事細かく説明してから謝罪するならば、たとえ裁判所に立たされても不利益を受ける心配は少なくなる。

しかし、このような謝罪が癖になることを考えると心配だ。
夫婦や恋人の関係なのに、細かく説明しながら謝罪するなら、それが本当の謝罪だと受け入れられるのだろうか。
言葉だけで謝って、心の底から悔いてるようには見えないと、怒りをあおるのではないだろうか。

ごめんなさい。この一言で千両の借金を返すこともできた時代もあった。
すべてが申し訳ないことばかりの世の中が「ごめん」という言葉も言えないようにしたのではないのかと思うと残念だ。
  • Lim, Chul
  • 入力 2019-08-22 00:00:00




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