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【韓国コラム】トロットの皇帝、ナ・フナの品格


終わりのない新型コロナウイルスに心身ともに疲れた韓国の国民を慰めるという趣旨で「トロットの皇帝」と呼ばれるナ・フナ(ナ・フナ、本名:崔弘基)の舞台が秋夕(チョソク)の前日に華やかに披露された。

韓国で旋風を巻き起こしたトロットブームの中でKBSで放送された70代歌手の公演は韓国を驚かせた。
ずいぶんと昔の曲なのに新鮮だったのだ。若いトロット歌手たちの声でナ・フナの歌を聞いていた若い世代たちは伝説のカリスマ性に圧倒された。

ナ・フナは、韓国のトロットにおいて「歌皇」という称号を与えられるのに違和感のない道しるべを立てた。 1966年にデビューして以来、800曲以上の自作曲を200枚以上のアルバムに収録した。全体の吹き込み曲は2,600曲に達しカラオケ伴奏機に最も多くの曲を収録した歌手でもある。

秋夕(チュソク、旧盆 )を迎えて繰り広げられる舞台では「テスさん!」という新曲が披露された。

たまに顎がはずけるほど笑う
そして痛みをその笑いで埋める
ただ来てくれた今日がありがたくても
死んでも来てしまう また明日が怖い
あ!テスさんどうしたんだよ。なんでこんなに大変なんだ。
あ!テスさん、ソクラテスさん、愛はどうしたの?
お前自身を知ろと ぽんと吐き捨てた言葉を
僕が分かるはずがない、分からないよ、テスさん

若い世代のコードにも似合う歌だ。

ナ・フナの人気が高まり、ずる賢い政治家を逃すかもしれない。

野党は彼の発言を政争の道具に利用した。

私たちはかなり疲れている。私は昔の歴史書を読んでも私が生きている間に王や大統領が国民のために命をかけたという人は一人も見たことがない。この国を誰が守ったかというと、今日の皆さんがこの国を守った。

野党は「国民が力を持てば為政者が生まれることはない」という70代の歌手の発言は、青瓦台(チョンワデ、大統領府)に対する苦言だと言った。

元老歌手の声に力を加えるために保守的なメディアは視聴率を高めることをためらわなかった。KT olleh TVのリアルタイムチャンネル占有率をまるでTV全体視聴率であるかのようにごまかした。 『ナ・フナのショー』が70.8%のシェアを記録したという順位資料では1位から10位までを合わせると101.4%に達するため信じられる。公演翌日、ニルソンコリアが明らかにした全国視聴率は29%とかなり高いのは事実だがオンラインで報道され40~70%に及ばないほどだ。

ナ・フナはこんな現象を喜ぶだろうか?彼がインタビューで明らかにした王や大統領が現在韓国を率いる文在寅(ムン・ジェイン)大統領を狙ったのだろうか?

そんなはずはない。彼の言った王は、自分の犠牲は少しも考えない恥知らずな政治家すべてを意味すると見るのが正しいだろう。

彼の人生をのぞいて見ると十分に理解できる。ナ・フナは1992年の国会議員選挙当時、与党の公認提案に対し「政治よりも歌を歌う方が望ましい」と断った。今年の秋夕(チュソク、旧盆)の舞台で、「どんな歌手として残りたいか?」という質問に対し「流す流、行う行、歌、流行歌の歌手だ。残るのは笑わせることだ。「どんな歌手として残りたい」という言葉自体が笑わせる話だと思う」と答えた。

このような歌手を政界とメディアが政争の道具にするなんて困ったことだ。

ナ・フナはデマを流すメディアに立ち向かったりもした。

2008年、女優のK(キム・ヘス、またはキム・ソンア)をめぐって日本のヤクザと対立して「使えなくなった人」になったというデマが広がった時のことだ。デマが静まらなかったので、これを釈明する記者会見をする途中、ナ・フナはジャケットを脱いで壇上に上がった。

そしてパンツのファスナーを下ろして「さあ、今皆さんのなかから代表で話してください。私が降りて5分をお見せします。それとも信じますか?」という型破りな発言だった。ナ・フナのファンたちが「固く信じている」と叫びズボンを下ろすことなく記者会見が終了した。

芸能人に比べてメディアのパワーがはるかに強い時代なので予想しにくかった。

ある大衆文化評論家はこのパフォーマンスで「地上に降りてきたセレブリティが再び空から輝く星に上がった」と評した。
  • Lim, Chul
  • 入力 2020-10-10 00:00:00




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