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コラム > オピニオン > 【韓国コラム】元大統領の呼称
元大統領を何と呼べばいいだろうか。
親戚や知人たちは相変わらず「○○○閣下」という言葉を口癖のように使うだろう。「閣下」という呼称が消えて久しいが、私たちだけでも閣下に仕えるべきだという一念を曲げない。
一般人は何と呼べばいいのだろうか?
いや、元大統領が登場する記事でメディアはどう表現すべきだろうか?
他の国では分からないが、現在韓国では悩む必要は全くない。
元大統領として優遇を受ける人が1人もいないからだ。
現在、生存している元大統領は4人いる。
第11、12代大統領のチョン・ドゥファンと第13代大統領のノ・テウは1995年12月に軍事反乱の疑いで拘束起訴され実刑を言い渡され優遇が剥奪された。
禁固以上の刑を受けた場合、優遇しないと法に明示されているがチョン・ドゥファンは最高裁判所で無期懲役、ノ・テウは懲役17年の判決が確定した。2人とも赦免されはしたが、優遇してもらうことはできなかった。
そして17代大統領イ・ミョンバクは10月29日の最高裁判所上告審で会社資金を横領し、サムスン(三星)などから巨額の賄賂を受け取った容疑で懲役17年と罰金130億ウォン、追徴金57億8000万ウォンの判決を言い渡された。
これに先立ち、第18代大統領のパク・クネは、弾劾訴追されて罷免され裁判所の判決とは関係なく元大統領としての優遇が剥奪された状態だった。
元大統領が受けられなくなった優遇は何だろうか?
本人と配偶者に対する年金、記念事業支援、墓地管理、3人の秘書官と運転手1人、交通通信と事務所支援、医療支援などだ。簡単そうだが詳しく見てみると、生きている間は国がしっかり面倒を見ていることが分かる。国の支援を受けてセミナーもでき図書館の建設もできるし、死ぬと国立墓地に埋葬される。
このすべての優遇を受けられる元大統領が現在韓国に1人もいないという点は、明らかに韓国現代史の悲劇だ。チョン・ドゥファン、ノ・テウ、イ・ミョンバク、パク・クネなど4人の元大統領は死んでも国立墓地に埋葬できないようになったという話だ。
元大統領の呼称について法が明示した内容はない。
○○○元大統領と呼んでも○○○さんと呼んでも構わない。
一般人なら好きなように呼べばいいが大衆にニュースを伝える新聞、放送では事情が少し異なる。元大統領を嫌悪する人も積極的に支持する人もいるからだ。
メディアでは通常、○○代大統領○○○さんという表現で論争を避けようとする。保守メディアであればあるほど、○○○元大統領という表現に違和感を覚える傾向もある。それに「彼に追従しているのか」という誤解を招く可能性があるからだろう。
国が騒然としている時に中心を定めてくれる元大統領がいる国、韓国にもそのような時代が訪れることを願うだけだ。