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金融業界、過度な自己紹介書を要求…原稿用紙60枚分量

就職準備生を「2度泣かす」金融業界 

  • 金融業界、過度な自己紹介書を要求…原稿用紙60枚分量
銀行業界への就職を準備する大学生イ・サンイル君(26)は、最初の段階の自己紹介書から挫折感を味わっている。自己紹介書に「自社と他社の店舗を訪問し、長・短所を比較分析しなさい」という項目のためだ。イ君は、「銀行の店舗に潜入し、不親切な職員がいるかいないか調べてみた」とし、「会社のやることを就職準備生に押し付けるような印象を受けたが、どうなんだろうか」と吐露した。

下半期の金融業界の採用がひとしきり進行している中で、一部の銀行が過度な自己紹介書を要求して、ただでさえ就職にのどが渇いた就職準備生たちを二度も泣かせている。最近の銀行業界では「開かれた採用」を標榜しつつ、出願書類に資格証・語学成績などを記載しないようにした。しかし、「コンサルティング」レベルの質問と「大河小説」分量の自己紹介書のせいで、就職準備生たちの間に不満の声が高い。

新韓銀行(シナンウネン)の下半期の公開採用では、自己紹介書の項目に「本人居住地近くの新韓銀行の営業店を訪問し、本人が思っている営業店の営業環境と、近隣の他銀行の営業店と対比して競争力を確保できる戦略を記述してください」という質問が新規にできた。ウリ銀行(ウリウネン)も自己紹介書の項目に「ウリ銀行の営業店と他の都市銀行の営業店を直接訪問し、ウリ銀行が相対的に優れている点と改善すべき点を比較説明してください」という質問を、昨年に引き続いて今年も明示した。

▶「自宅近くの営業店を訪問して営業戦略を書いて来い」数千名の会社戦略報告、タダどり之図

ある就職準備生は、「ウリ銀行と新韓銀行を同時に訪問した後に、お互いの長所と短所をとり代えて自己紹介書に別々に書いた」とし、「スパイでもないのに、なぜ就職準備生が銀行の内部監査部署と企画部署が行う仕事までやらなくてはならないのか分からない」とため息をついた。また別の就職準備生は、「けっきょくタダで志願者数万人から会社戦略報告書を得ようとするものじゃないか」とし、「自己紹介書で銀行は`甲`のつもりでいる」と語った。驚異的な自己紹介書の分量も、就職準備生たちには苦役だ。新韓銀行の自己紹介書の分量は200字詰め原稿用紙で約60枚分だ。新春文芸短編小説部門(原稿用紙70枚以内)に匹敵。

このため、求職者たちからは「新韓文芸」と呼ばれるほどだ。他の銀行も事情は似ていて、 「国民論述」(国民銀行)、「ウリ(私)小説」(ウリ銀行)などと呼ばれているのが実情だ。このため自己紹介書の代筆業者が大手を振って、就職準備生たちにはまた別の負担となっている。

▶ 原稿用紙60枚分量...代筆業者だけが「ばっちり」

情報が不足している就職準備生たちの自己紹介書を代筆したり添削指導するという名目で、一枚当たり10万ウォンから数十万ウォンまで取っている。有名な添削業者は口コミに乗って、代筆費用が数百万ウォンに達することもある。各銀行は、志願者数万人が押し寄せたために、弁別力を確保するためには仕方ないという反応だ。新韓銀行の関係者は、「営業支店訪問を要求することは、会社に対する関心を見ようとすること」だと語った。

「よく合う人材」を探すために各企業固有の採用方法だと言うが、一部では企業の過剰な要求との指摘もある。高麗大経済学科のチョン・ビョンホン教授は、「企業がコストをかけずに志願者の自己紹介書を利用して、会社の営業戦略に役立つアイデアを得ようとする姿は望ましいとは思えない」と指摘した。ノ・ヨンウ亜洲大学社会学科教授は、「過度の自己紹介書で、志願者は率直な自分の姿ではなく演出された姿を見せるしかない」とし、「会社としても、望む人材を採用するという趣旨を正しく達成するのは難しいかもしれない」と語った。
  • 毎日経済_ウォン・ヨファン記者/キム・シギュン記者 | (C) mk.co.kr
  • 入力 2014-09-30 17:19:53




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