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コラム > FOCUS > [FOCUS] チラシ① 社会が不安になるほど企業・個人に大きな衝撃
#去る5月16日午前10時頃、サムスングループの李健煕(イ・ゴンヒ)会長の死亡説が証券街のメッセンジャーに乗って急速に拡散した。李会長が死亡し、サムスン側でこれを報道機関にエンバーゴ(報道自制の要請)を介して関連情報が拡散されることを防いでいる、という内容だった。 1時間後、サムスンソウル病院のユン・スンボン社長が緊急記者室を訪れて否定し、焦ったサムスングループも「危篤説は全く事実ではない」と、噂を鎮火させた。
< 私設情報誌の流通・拡散経路 >
私設情報誌である「チラシ(*)」は、このような確認されていない内容が流布され、企業や個人に大きな打撃を与える。韓国を代表する企業を揺るがしたチラシ騒動は、現在、舞台を青瓦台(大統領府)に移した。青瓦台を強打している「チョン・ユンフェ氏の国政介入」事件も最初の発端は証券街に出回ったチラシだった。昨年、「キム・ギチュン大統領府秘書室長の認知症説」に代表される各種のデマがチラシで回っていたが、ついには「チョン・ユンフェ氏の国政介入」文件流出事件に拡大されたのだ。
この文件が真実かどうかは、検察の捜査などを介して明らかにされる見込みだ。チラシは「情報マン」と呼ばれる政界・証券街・企業情報担当者などが定期的に集まって情報を交換した事からはじまった。情報が不足していた当時のチラシは、このような欲求を満たしてくれた。しかし、最近では、政治工作や株価操作の手段になるなど、弊害が大きくなった。
本体を揺さぶる尻尾の「妖術」は、経済不況と構造調整、犯罪率の増加、選挙シーズンなどの社会の安定性が低下するときに、より強力な力を発揮する。米国ロチェスター工科大学のニコラス・ディフォンツォ(Nicholas DiFonzo)教授は、著書『うわさとデマ 口コミの科学(原書:THE WATERCOOLER EFFECT)』で、「人々が噂を信じる主な理由は、噂を受け入れたい心理的な空間があるからだ」と一喝する。
東国大学のキム・サンギョム法大学長は、「単純な楽しみとして流布したチラシであっても、結果的に相手の名誉を毀損する可能性を十分に予想することができる事案であれば、故意が存在するもの」と述べた。
(*)チラシ:証券街の情報誌を指す用語